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サイボウズが「テレワーク」の導入について情報を公開

2020.03.11

 サイボウズ株式会社は、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、仕事にも大きな影響を与えているなか、自社のテレワークで得た経験を共有するWebサイトを開設した。テレワーク導入に踏み切る企業が増えるなか、その一例として参考になるコンテンツを目指しているという。同社が実施した、在宅勤務・テレワーク制度の段階的な導入方法を紹介する。

■試験導入期(2010年8月〜2011年3月)

■試験導入期(2010年8月〜2011年3月)

在宅勤務 試験導入開始

 まず、2010年8月から「上長の承認を得れば、月4回まで在宅勤務できる」というルールを3ヶ月間、全社員を対象に試験導入した。同社はテレワーク導入の目的として、「雇用機会の創出」や「業務効率の向上」、「ライフ重視の支援」等をあげている。

 試験導入にあたっては、「成果の判断」「勤務時間や働き方の管理」「コミュニケーションコストの増加」「情報漏洩のリスク」「モラルの低下」など、業務効率の低下が懸念として上がった。

 そのため、これらを可能な限り低下させないように前提条件として、「業務効率を低下させない」ことを掲げ、試験導入を開始したという。

■2010年10月:試験導入の中間評価、延長

■2010年10月:試験導入の中間評価、延長

 延べ19人が在宅勤務を行ったタイミングで、中間評価を行ったところ、

・一部の業務に制限は出たものの、成果物の品質は総じて低下していない
・ただし、相手の状況がすぐに分からないためにお互いがストレスを感じるケースがある

という結果が得られたという。Webカメラの貸出やスケジュールの共有方法の統一を進める等が課題として上がった。

 また当時は「在宅勤務を終了後、勤務時間と業務内容を報告する」というルールを実施していたが、「結果が分かりやすい資料作成しかできないのではないか」「結果が見えにくい”考える仕事”はあまり在宅勤務に向かないのではないか」と窮屈さを覚える社員もいたという。

 そこで、在宅勤務の利用手順として、本人による勤務時間や内容の報告に加え、以下の点について上司による3段階での評価を実施することにした。

・成果物の品質低下
・周囲のモラール低下
・コミュニケーションコスト増加
・時間、働き方の管理コスト増加
・情報漏えいリスク増加

こうした環境・制度の検討もしつつ、試験導入の延長が決定したようだ。

■原則在宅期 〜 さらなるアップデート期(2011年3月〜2013年2月)

■原則在宅期 〜 さらなるアップデート期(2011年3月〜2013年2月)

2011年3月:東日本大震災が発生、「原則的に在宅勤務」に
 2011年3月に東日本大震災が発生したことを受け、「原則的に在宅勤務」とすることとなった。そこで東京オフィスでは在宅勤務の一時原則化を決定した。
 
 この頃、経理部では決算に向けた業務を行なっており、「在宅勤務では難しい業務」と経理部のメンバーも考えていたようだ。しかし必要なシステムに自宅から安全に接続して作業できるよう、情報システム部が主導で対策を講じ、予定通りの適時開示を行うことが可能となった。

 この頃から、在宅勤務制度の本運用が定着し始めることになったという。

■2012年8月:在宅勤務を含めた「働く場所・時間の自由化(ウルトラワーク制度)」の検討を開始

■2012年8月:在宅勤務を含めた「働く場所・時間の自由化(ウルトラワーク制度)」の検討を開始

 その後も長期的に生産性を維持向上できる働き方の検討を進め、働きたい時間と場所を9分類の中から選べる「選択型人事制度」を開始。また、普段在宅勤務をする働き方でない場合も、上司に申し出れば突発的な在宅勤務ができる「ウルトラワーク制度」を試験的に導入し、本運用に向けての検討を始めた。

 社内からも広く意見を募ったところ、「制度を上手く活用して生産性を上げられた」という前向きな声も挙がったという。
 
その一方で、「制度を使っている人が、本当に仕事をしているか分かりにくくてモヤモヤする」という不安な声もあり、これらの意見も踏まえて、アップデートを重ねていったようだ。

■2013年2月:働く場所・時間の変更を当日に申請できるように

■2013年2月:働く場所・時間の変更を当日に申請できるように

 さらなる生産性向上を検討した結果、「働く場所・時間を一時変更する場合は、前日18時までに」としていたウルトラワーク制度のルールを変更。子どもの熱などで当日突発的にテレワークをするケースが増加したため、当日の申請を可能とた。

 これにより、在宅勤務を始めとした一時的な働く場所の変更は、上長・チームでコミュニケーションをした上であれば、ほぼ自由となった。

■現在

2018年4月〜:100人100通りの働き方を選択できるように
 
 働き方が多様になり、9分類から選ぶ制度では限界が出てきたため、100人100通りの働き方を宣言する「働き方宣言制度」を開始した。

「午前中は常に在宅勤務」「水曜日は在宅勤務」といった希望の働き方を社員に宣言してもらい、それ以外に突発的にテレワークをする場合は上長に承認してもらう形で現在は在宅勤務制度を運用しているという。

■快適・安全なテレワークのためにサイボウズが実践しているポイント

■快適・安全なテレワークのためにサイボウズが実践しているポイント

 また、快適で安全なテレワークを実現するために、サイボウズ社内で実践している主なポイントとして、次のような点を挙げた。
・「オンラインオフィス環境の整備」:グループウェアやチャットの活用
・「セキュリティ対策」:パスワードポリシー、2段階認証などを導入
・「テレワーク用ガイドラインの作成・周知」:端末の放置禁止、のぞき見フィルターの活用
・「心理的安全性の確保」:監視をし過ぎない

■まとめ

新型コロナウイルスの感染が猛威を振るうなか、企業においても自社の社員の働き方に対し、スピード感を持って柔軟に対応することが求められている。サイボウズでのテレワーク導入の試行錯誤のなかに、今後のテレワーク普及のヒントが見えてきそうだ。

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