オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

経理以外の従業員の約3割が「経費精算の負担増」を実感【インボイス制度および電子帳簿保存法に関する調査】

2024.03.25

経費精算や請求書処理などの支出管理プラットフォームを提供する株式会社TOKIUM(本社:東京都中央区、代表取締役:黒﨑賢一)は、全国の経理業務に携わる1046名とその他の部門の従業員1052名を対象に、インボイス制度および電子帳簿保存法に関する調査を行った。

調査実施の背景

開始からまもなく半年となるインボイス制度。多くの企業が本決算を迎える3月に、インボイス制度開始後の本決算においてどのような不安を抱えているかを把握するため、同社は経理部門を対象に調査を行った。さらに、インボイス制度が経理以外の従業員に与えている影響や、23年12月末に宥恕期間が終了した電子帳簿保存法が企業にどのような影響を与えているかも調査している。

調査概要

調査期間:2024年3月8日~2024年3月14日
有効回答数:経理部門(1046名)、経理以外の部門(1052名)
調査方法:インターネット調査
年代:20代~60代
出典元:30%の社員が経費精算の負担増、開始からまもなく6カ月が経過するインボイス制度の実態を公開~合わせて23年12月末に宥恕期間が終了した電子帳簿保存法の調査も実施~(株式会社TOKIUM)

本決算には半数近くが不安

本決算には半数近くが不安

同社によると「インボイス制度開始後の最初の本決算で不安を感じていますか?」という質問に対し「とても感じる(13.2%)」「やや感じる(35.7%)」と、およそ49%が不安を感じているとの回答結果になっている。

同社は不安を感じていると回答した人に、どのような不安があるかを尋ねており、最も多い回答は「会計システムに、経過措置や登録事業者か否かなど、税区分が正しく反映されているか(55%)」で、次いで「受け取った請求書に登録番号や税区分などの不備がないか(52.8%)」が続いたと明かしている。

経理以外の従業員の約30%がインボイス制度開始後に負担が増えたと回答

経理以外の従業員の約30%がインボイス制度開始後に負担が増えたと回答

同社は、経理以外の従業員にインボイス制度開始後の経費精算における負担をきいたところ、負担が「増えた(11.3%)」「やや増えた(19%)」と、約30%が負担増加を感じている結果になったと報告。

また「増えた」「やや増えた」と回答した人を対象とした「インボイス制度開始前と比べて月に平均何分くらい増えましたか?」との設問では、一人あたり月平均87.4分の業務時間が増えたことが明らかになったという。

増えた負担の内容としては「領収書に必要事項(登録番号や適用税率など)が記載されているかの確認(45.5%)」と回答した人が最も多い。また、16.3%が「インボイスに対応していないため経費精算ができなかった」と回答しており、インボイス制度に不慣れな従業員が課題を抱えている様子がうかがえる。

インボイス制度開始後のトラブルや困りごと

インボイス制度開始後のトラブルや困りごと

同社が経理以外の従業員を対象に、インボイス制度開始の経費精算トラブルを聞くと「インボイスに必要な記載事項が漏れており、経理に差し戻された(10.7%)」「インボイスが理解しきれずにルールに則った領収書をもらいそびれた(10.1%)」「インボイスに対応していない飲食店やインターネット通販を利用できなくなった(9.1%)」と、一部でトラブルが発生している様子が見受けられたという。

また、受け取った請求書の処理の困りごととしては「必要事項(登録番号や適用税率など)が記載されているか確認する作業が増えた(15.8%)」「請求書に不備があった場合、取引先に再発行してもらう手間がかかる(13.8%)」「インボイス制度に対応していない事業者との新しい取引を控えるように指示された(8.7%)」などが挙げられている。

電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法への対応

同社は併せて、2023年12月末に宥恕期間が終了した電子帳簿保存法に関する調査も実施。

電子帳簿保存法への対応状況について「対応できている」と回答したのは35.2%となった。また、電子帳簿保存法への対応で46%が「業務負担が増えた」と回答し、一人あたり月平均3時間程度の作業時間が増加したことも明らかになっている。

一方で「システムを利用することで、紙の帳票を探す手間が無くなった(27.6%)」「システムを利用することで、必要なデータを迅速に収集できるため、監査対応やレポート作成などの時間が短縮された(24.1%)」などの理由から業務時間が減ったと回答した人も。

同社によると、電子帳簿保存法への対応の課題としては「電子帳簿保存法とあわせてインボイス制度への対応も必要となり業務負荷が増えた(28.2%)」「経理以外の従業員が正しく理解・対応できていない(27.4%)」などが挙げられている。

また、経理以外の従業員では、電子取引は電子データで保存する義務があることについて41.3%が「知らない」と回答したことや、電子帳簿保存法への対応で46%が「業務負担が増えた」と感じていることが明らかになった。

まとめ

インボイス制度開始からまもなく半年が経過するが、経理担当者とそれ以外の従業員、それぞれが不安や業務負担の増加を感じている実態が明らかになった。本調査の回答をみると、制度の詳細を把握しきれていない、もしくは自身の理解度に不安があると感じている従業員も少なくないようだ。改めて制度に関して周知を図るほか、理解が十分ではない従業員でも安心して扱えるようなシステムの導入なども、検討が必要なのかもしれない。