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国内景気が全企業規模でそろって2カ月ぶりに悪化 人手不足や資材高が背景に【2024年4月の景気動向調査】

2024.05.08

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年4月16日から4月30日まで景気動向調査を行い、その結果を公表した。ここでは規模別の景気動向に絞って紹介する。

国内景気は一時後退 景気DIは前月比0.3ポイント減

国内景気は一時後退 景気DIは前月比0.3ポイント減

TDBによると、2024年4月の景気DIは前月比0.3ポイント減の44.1となり、2カ月ぶりの悪化となっている。

外国為替レートが一時1ドル=160円台をつけるなど34年ぶりの円安水準で推移するなか、原材料価格の高止まりや2024年問題への対応といったコスト負担増、不十分な価格転嫁などがマイナス材料だったとTDBは指摘する。また同一地域内においても景況感の格差が拡大する傾向もみられたという。

一方でTDBはプラス材料として、円安により活発なインバウンド消費を中心に観光産業が堅調だったほか、商業施設や小型の店舗などに向けた工事関連、人手不足に対応する各種サービスや省人化投資などがあったとしている。

TDBは今後の見通しについては緩やかな持ち直し傾向で推移すると予測しているものの、政策金利引き上げのタイミング、日米の金利差、海外の政治・経済情勢などのほか、人手不足や2024年問題への対応に注視が必要であるとの見解を示した。

企業規模別でもそろって2カ月ぶりの悪化に

企業規模別でもそろって2カ月ぶりの悪化に

TDBは2カ月ぶりに「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって悪化したことを発表した。原材料など仕入単価は上昇し利益を圧迫。2024年問題や人手不足、資材高などにより収益環境の厳しさが増した。

「大企業」(47.9):前月比0.1ポイント減 2カ月ぶりに悪化
TDBによると、中でも円安の影響を大きく受ける「卸売」は、輸入品の販売数量の伸び悩みなどから4カ月連続の悪化となっている。一方で「建設」は、商業施設や一般住宅、小型の店舗などの内装工事が好調だったことから、3カ月ぶりに上向いた。

「中小企業」(43.4):前月比0.4ポイント減 2カ月ぶりに悪化
中小企業は悪化と改善が二分しており、10業界中各5業界ずつとなっている。TDBは2024年問題に直面する「建設」において人手不足や資材高が下押し要因となったことから、関連する建材やパルプ製造などへ波及したことを指摘している。

「小規模企業」(42.3):前月比0.6ポイント減少 2カ月ぶりに悪化
小規模企業の「建設」は、部材の高騰が続く一方で工事価格は低下するなどの要因から、3カ月連続の悪化となっている。また、TDBによれば「販売価格への転嫁が不十分」との声も多く、利益面で厳しい状況が続いているという。

調査概要

調査期間:2024年4月16日~4月30日
調査方法:インターネット調査
調査対象:2万7052社
有効回答:1万1222社
回答率:41.5%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2024年4月の景気動向調査 国内景気は2カ月ぶりに悪化(株式会社帝国データバンク)

まとめ

企業規模別の国内景気は2024年3月、5カ月ぶりに全規模で改善がみられたものの、2024年4月は全規模でそろって悪化した。TDBは円安水準が続くなかで、企業の収益環境は厳しさを増しているとみている。賃上げなどによる個人消費やインバウンド需要の拡大などが、どこまで景気回復を支えられるか、今後も注視が必要だろう。