「企業の想定為替レート」円安方向に修正も、実勢レートに追いつかず TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、企業の想定(設定)為替レートについて調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2026年5月調査とともに行ったもの。なお、想定為替レートに関する調査は2017年以降、毎年実施しており、今回で10回目となる。
調査概要
調査期間:2026年5月18日~5月31日
調査対象:全国2万2749社
有効回答企業数:1万521社
回答率:46.2%
分析対象:想定為替レートを設定している企業2290社
出典元:企業の想定為替レートに関する動向調査(2026年度)(株式会社帝国データバンク)
想定為替レートは平均147円87銭と円安方向に修正
TDBによると、2026年5月時点での企業の想定為替レートは、平均で1ドル=147円87銭(以下、1米ドル当たりの円レートを示す)に。前年5月の139円64銭から8円23銭、円安方向に修正された。
しかし、企業数ベースで見ると平均よりも円安水準に厚みがあることがわかる。回答企業を円高水準から円安水準へ順に並べた中央値は155円で、最も回答が多かった最頻値は160円。「130円以下」とする企業が10.1%あるなど、比較的円高水準に設定する企業も一定数あったことが平均値を押し下げ、平均値が147円台にとどまったとみられている。
分布をみると「156~160円(33.6%)」を想定する企業が最も高く、次いで「146~150円(18.8%)」「151~155円(16.5%)」が続いている。企業の約7割が146円~160円の幅で想定為替レートを設定していることがわかる。
業界別の差は12円56銭 輸出入の有無や規模によって為替前提に差
業界別の想定為替レートは『農・林・水産(156円60銭)』が最も円安水準だった一方で『建設』や『小売』『不動産』『運輸・倉庫』は144円台に。最も円安水準だった『農・林・水産』と、最も円高水準だった『建設』の差は12円56銭だった。
輸出・輸入別に想定為替レートをみると、事業として直接または間接的に「輸出」を行っている企業では150円54銭となった。一方で「輸入」を行っている企業では151円89銭となり、輸出企業を1円35銭上回る円安水準に。特に「直接輸入のみ(152円38銭)」を行っている企業は「直接輸出のみ(144円24銭)」を行っている企業よりも8円14銭の円安水準を想定していた。
規模別では「大企業(151円53銭)」「中小企業(147円84銭)」「(中小企業のうち)小規模企業(146円25銭)」と、規模が大きい企業ほど想定為替レートは円安水準に。特に「直接輸出のみ」の企業でも、大企業は中小企業より6円23銭円安の水準を想定しており、輸出入の有無だけでなく、企業規模によっても為替前提に差が生じていることが明らかになった。
まとめ
企業の想定為替レートは前年より円安方向に修正されたものの、実勢レートとの乖離は依然として残っている。輸入企業ほど円安水準を前提とする傾向も明らかになり、為替変動が調達コストや利益率に与える影響の大きさが改めて浮き彫りとなった。
経理・財務部門にとっては、為替を前提とした予算や収益計画が実態に即しているかを定期的に検証するとともに、原材料費やエネルギーコストの上昇リスクを織り込んだ資金計画を進めることが重要になる。
先行きの不透明感が続くなか、単一の為替水準に依存せず、複数のシナリオを想定した収支シミュレーションやコスト管理体制を整備し、環境変化に柔軟に対応できる経営基盤の強化につなげていきたい。











