2026年度「賃上げ」8割超の企業が実施 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2026年度の賃上げに関する調査を実施。8割を超える企業で賃上げが実施され、賃上げ率では中小企業が大企業を上回ったことが明らかになった。
調査概要
調査期間:2026年7月31日~8月11日
調査方法:インターネットによるアンケート
有効回答:5909社
出典元:2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る(株式会社東京商工リサーチ)
※賃上げ実態を把握するため「定期昇給」「ベースアップ」「賞与(一時金)の増額」「新卒者の初任給の増額」「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義
※資本金1億円以上を「大企業」1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義
2026年度の賃上げ実施率は83.2%、3年ぶりに上昇
TSRの報告によると、2026年度に賃上げを実施した企業は83.2%となり、前年度から1.2ポイント上昇。2023年度の84.8%をピークに2年連続で低下していたが、3年ぶりに上昇へ転じ、5年連続で80%台を維持している。
規模別では、大企業の実施率が93.8%(前年度92.6%)、中小企業が82.3%(同80.9%)となり、いずれも前年度を上回っている。大企業と中小企業の差は11.5ポイントと依然として大きいものの、前年度の11.7ポイントからわずかに縮小した。
賃上げ率「5%以上」は42.5%、中小企業が大企業を上回る
さらにTSRは、賃上げ率について「5%以上(42.5%)」との回答が、前年度から2.9ポイント上昇した。最も多かったのは「5%以上6%未満(26.3%)」で「3%以上4%未満(25.1%)」「4%以上5%未満(15.0%)」が続いた。
「5%以上」の割合を企業規模別にみると、中小企業が42.6%、大企業が41.4%という結果に。2023年度以来3年ぶりに中小企業が大企業を上回ったことになる。物価高や人手不足、従業員の離職防止などを背景に、中小企業でも一段踏み込んだ賃上げを行う企業が増えているとみられる。
また、実施した賃上げの内容では「定期昇給」が72.7%で最多。「ベースアップ」も61.1%となり、前年度から1.5ポイント上昇したことがわかった。基本給そのものを引き上げる動きが広がっているようだ。
まとめ
2026年度は83.2%の企業が賃上げを実施し、5年連続で80%台を維持した。特に注目されるのは、賃上げ率「5%以上」の企業が42.5%に達し、中小企業では42.6%と大企業の41.4%を上回った点だ。人手不足が続くなか、賃金水準を引き上げなければ人材の採用・定着が難しくなるという状況が、企業規模を問わず広がっていると考えられる。
一方で、賃上げは企業にとって継続的な人件費負担となる。今回、ベースアップを実施した企業も61.1%にのぼっており、賞与など一時的な対応だけでなく、固定費としての人件費が増加する企業も少なくない。
今後の人員計画や人件費の推移、従業員の定着状況などを踏まえ、無理なく継続できる賃金制度が不可欠になっている、といえる。賃上げによる従業員の満足度や定着率を高めるには、給与額そのものだけでなく、評価制度やキャリア形成、働き方、福利厚生などを含めた「働き続けたいと思える環境」の整備も重要だ。経営戦略と位置付けて、検討・整備を続けていきたい。











