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損益分岐点って一体何?算出方法や企業体力の測定方法も解説

2019.10.02

管理会計上の概念の一つに損益分岐点という考えがあります。総務・経理など管理部門に携わる方であれば、損益分岐点の算出が必要となる機会は多いでしょう。ただ、損益分岐点の意味を知らない場合、どのように算出すればいいか分からないかもしれません。そこでこの記事では、損益分岐点の意味や算出方法に加え、損益分岐点の下げ方、損益分岐点比率から企業体力の測り方を紹介します。

損益分岐点とは

営利企業の目的の一つが利益を最大化すること、利益は「売上高-費用」で算出されます。そして損益分岐点は「売上高=費用」となり、損益がプラスマイナスゼロになる売上高を示す点です。売上高が損益分岐点ピッタリの場合は利益も損失も出ていない状態となり、損益分岐点を上回れば利益、下回れば損益が発生していると判断できます。損益分岐点を算定するためには費用を固定費(売上高に関わらず発生する費用)と変動費(売上高に応じて増減する費用)の二つに分類する必要があります。

損益分岐点における変動費とは

変動費とは売上高に応じて増減する費用のことで、売上原価に相当するものです。ちなみに売上原価は物やサービスを生み出すために直接必要とした費用の総称です。変動費の具体例としては商品の仕入費用や外注費、歩合給などの人件費があります。物・サービスを数多く販売するには多くの原材料や人手が必要となるので、売上高が増えると比例的に変動費も増えていきます。

損益分岐点における固定費とは

固定費とは売上高の変動に関わらず一定額発生する費用のことで、販売費および一般管理費に相当するものです。ちなみに販売費及び一般管理費は物やサービスを生み出すために直接必要な費用を除き、企業を経営するために必要な費用を指します。固定費の具体例としては従業員の給料・保険料、オフィスの家賃・水道光熱費、機械設備の費用、減価償却費などが挙げられます。これらの固定費は全く売上がない状態でも、払わなければいけない費用です。また従業員の給料のような人件費は固定費に分類されることが多いですが、繁忙期だけに採用するパート・アルバイトの給料、残業手当などを変動費と分類する場合もあります。

損益分岐点の算出方法

損益分岐点を算出する方法は2つあります。1つ目は販売数量から算出する方法、2つ目は売上高から算出する方法です。

販売数量から算出する方法

まず損益分岐点の算出に必要な概念に、限界利益があります。限界利益とは売上が1単位増えることで増加する利益のことで、「売上高-変動費」で算出されます。例えば仕入れ値が500円で販売価格が800円の商品の限界利益は800-500で300円となる訳です。そして限界利益から固定費を引いたものが営業利益となります。限界利益や営業利益の概念を利用すれば損益分岐点を算出することが可能です。基本的な計算式は「限界利益-固定費=営業利益」「営業利益=0」です。

具体的な数値を用いながら損益分岐点を算出してみます。販売価格が500円、変動費が50円、固定費が2700円の場合、損益分岐点となる売上高は幾らになるのでしょうか。まず販売数量をX個と置くと売上高は500X円、変動費は50X円となり、限界利益は450X円(500X-50X)となります。さらに固定費は2700円、営業利益は損益分岐点を表すので0となるため、計算式は(限界利益)450X-(固定費)2700=0となります。この計算式を解くとX=6(販売数量)、売上高=500X=500×6個=3000円となり、3000円が損益分岐点の売上高ということが算出可能です。(3000円以上売り上げれば黒字、3000円以下なら赤字となります。)

損益分岐点の売上高から算出する方法

損益分岐点は売上高をX円と置くことでも求めることが可能、計算式は「損益分岐点の売上高=固定費÷限界利益率」です。限界利益率とは売上高に対する限界利益の比率のことで、「限界利益÷売上高」で算出できます。具体例として前の段落と同じく販売価格が500円、変動費が50円、固定費が2700円の場合で計算してみます。限界利益は450円(500-50)、限界利益率は450(限界利益)÷500(売上高)で0.9、営業利益は損益分岐点を表すので0です。損益分岐点の売上高をXとして計算式を作ると、X(損益分岐点の売上高)=2700(固定費)÷0.9(限界利益率)となります。これを解くとX=3000円で、販売数量から算出する方法によって計算した損益分岐点と同じ数値となるのが分かります。

損益分岐点を下げる方法

損益分岐点は赤字と黒字の境界線となる売上高を示しているので、損益分岐点が低ければ少ない売上でも利益を上げやすくなります。逆に損益分岐点が高い水準にあると利益を上げにくい状態になってしまいます。では損益分岐点を下げるにはどうすれば良いのでしょうか。まず損益分岐点は固定費÷限界利益率で算出できるので、固定費を下げるか、限界利益率を上げれば損益分岐点は下がります。限界利益率は限界利益÷売上高で算出可能なので、限界利益を上げれば限界利益率も上がります。限界利益は売上高-変動費で求められるので、変動費を減らせば限界利益が上がり、限界利益率も上がる訳です。では具体的に変動費を減らす方法、固定費を減らす方法について紹介していきます。

変動費を減らす

変動費を減らす方法の具体例として商品や原材料の仕入れ値を下げるなどが挙げられます。とはいえ仕入れ値をむやみに下げてしまうと品質低下を招き、減ったコスト以上の損失が生まれる可能性もあります。また得意先との関係で簡単に仕入れ値を下げられない場合もあるでしょう。そのため売上に貢献していない費用を調べて、ムダを削減することが重要となります。

固定費を減らす

固定費を減らす代表的な方法として人件費の削減があります。また地代や家賃を下げる方法もありますが、貸主との交渉が必要です。変動費の中にも固定されている費用(増減しても売上高に影響が出ない費目)があります。例えば広告宣伝費、宣伝効果の薄い広告を出し続けているのであれば、それは固定費のようなものです。このような売上高への影響が小さい変動費を固定費として削減するのも1つの手です。

損益分岐点比率から見える企業の体力

損益分岐点を利用して損益分岐点比率を算出できます。損益分岐点比率とは損益分岐点と実際の売上高の比率を計算した指標で、「損益分岐点売上高÷実際売上高×100」の計算式によって算出可能です。例えば損益分岐点売上高が6万円、実際の売上高が10万円の場合、損益分岐点比率は「6万円÷10万円×100=60%」となります。これは売上高が10万円から6万円、約6割に減少するまでは利益が出せる状態にあると解釈できます。損益分岐点比率は低ければ低い方が売上低下による影響が少ないので、企業体力を測る指標として使うことが可能です。一般的には損益分岐点比率が60%未満なら超優良企業、60~80%なら優良企業、81~90%なら普通企業、91~100%なら損益分岐点企業、100%超は赤字企業とされています。

また安全余裕率という、実際の売上高と損益分岐点の差がどの程度かを表す指標もあります。この安全余裕率は(実際の売上高-損益分岐点売上高)÷実際の売上高×100で算出可能です。先程と同じく損益分岐点売上高が6万円、実際の売上高が10万円で計算すると、安全余裕率は(10万-6万)÷10万×100=40%となります。これは売上が安全余裕率分の40%落ちたら赤字になることを示しています。安全余裕率が高ければ赤字になるまで余裕があり、低ければ赤字になりやすいと判断することも可能です。

損益分岐点から経営状態を把握しよう

損益分岐点を算出するための計算自体はそれほど複雑ではありません。ただ損益分岐点を算出することがゴールではなく、損益分岐点を利用して経営の実情を把握することが重要です。経営状態を安定させるためには損益分岐点を下げる必要がありますが、そのためには相応の企業努力が求められます。今回の記事を参考にしながら、さまざまな角度から損益分岐点を下げるための施策を検討してみましょう。