オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

社会保険ってどういうもの?基礎知識や保険の種類について紹介!

2020.07.09

日本は第二次世界大戦後より社会保障制度を整備し、生活が困難な時でも安心して生活できる体制を整えてきた。これほど社会保険が充実している国は多くないのだ。生活で重要な社会保険だが、制度について詳しく知らないという方も多いのではないだろうか。社会保険の制度を知らなければ、給付を受ける権利などを知らずに損をしてしまうかもしれない。ここでは、社会保険の基礎知識やどんな制度があるかについて紹介していく。

1.社会保険とは?

社会保険は、ケガや病気、失業などで働けなくなった時など、国民の生活を守るために設けられた制度のことである。社会保険は、加入者から集めた保険料を財源にして、相互扶助のために必要な人へ給付を行う仕組みを持ち、主に国や公的団体が運営を行っている。社会保険は、その意味において広い意味と狭い意味に分けることができる。一般的に社会保険と言えば、狭い意味での社会保険を示しているので、健康保険など具体的な社会保険制度をイメージする人も多いことだろう。日本の社会保険は、強制加入が基本の国民皆保険である。一定の条件を満たすと、事業者や事業所で働く従業員は社会保険に加入しなければならないのだ。法人はその多くが強制的に社会保険の加入対象者となる。社会保険は、事業者側と労働者が折半して保険料を払い、お金が必要になる事態が発生した時にお金が保険から支給される仕組みとなっている。民間の生命保険などと異なり、加入は義務であるが、必要になった時にはほとんどのケースで給付が受けられる。

2.広義の社会保険とは

広い意味、つまり広義での社会保険は、病気や失業などをした時に給付される公的な保険の意味となっている。出産や死亡などで支給される保険もこの社会保険ということになるのだ。広義の社会保険では、会社勤めの人が加入する被用者保険と自営業者や学生などが加入する一般国民保険に分けることが可能である。広義の社会保険では、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つを指している。

<関連記事>
賞与にかかる社会保険や査定方法

3.狭義の社会保険とは

広義の社会保険では、5つの保険のことを意味していたのに対し、狭義の社会保険は、医療保険、年金保険、介護保険の3つの保険を指している。会社の人事部などで扱うことが多いのはこの3つの保険である。通常の社会保険は、この狭義の社会保険を示すことが多く、雇用保険と労災保険は別の保険制度として扱われているのだ。労働保険は、雇用保険と労災保険を合わせたものであるが、社会保険の計算方法と異なり、納付方法も違うことから社会保険と労働保険は別の保険制度として事務処理をするケースが多い。

4.なぜ社会保険は必要なのか

社会保険は、保険料の多さからその必要性に疑問を持つ人もいることだろう。しかし、社会保険に加入することでいざ給付が必要になった時に必要な給付を受けることができるメリットがあるのだ。病気や怪我で仕事ができなくなった時には給付金が、会社を定年退職した後には年金が支給され、働かなくても給付を受けることが可能となっている。確定申告や年末調整で、社会保険料を支払った納税者は、所得控除を受けることができる。厚生年金保険料や雇用保険料など、社会保険料は控除の対象となりその上限もないのだ。全額を控除として所得金額から差し引くことができるので、結果として所得税や住民税の削減が可能となっている。配偶者の扶養に入っている場合、パートなどの仕事では給与や労働時間に制限がある。一定以上の収入を得たい場合は、社会保険に加入することで、労働時間や収入の制限なく働けるメリットがあるのだ。

5.社会保険の種類

社会保険は、一つの保険だけでなく、事故や老後の生活に備えた複数の保険によって成り立っている。生きていく上で必要になる医療や介護、年金などの種類について紹介していこう。

5-1.健康保険

 日本は国民皆保険制度のため、国民全員に医療保険の加入義務がある。事業者や会社に勤める人に加入義務がある健康保険。加入を証明する保険証は、身分証としても使用されているのだ。健康保険は病気や怪我をした時に、基本自己負担3割で医療を受けることができる制度である。病院への通院のほか、出産や死亡などの保障もある。入院などをして一定以上の治療費が掛かった場合や支払う医療費が1ヶ月の上限を上回った場合、上限を超えた金額を国や自治体で支給するのが高額療養費制度である。医療費で家計に掛かってくる負担を減らすように作られた制度で、急な入院や病気などでも安心して治療を受けることが可能となっているのだ。

健康保険は、大企業が独自で作る健康保険組合やIT企業などが集まって作る健康保険組合の組合けんぽ、中小企業が加入する健康保険協会が運営する協会けんぽがあり、働く会社によって入っている保険が異なっているのである。

5-2.厚生年金保険

厚生年金は、会社に勤める人が加入する公的年金のことである。リタイア後や死亡した時のための保険制度であり、老後に支払った金額に応じた年金を受け取ることが可能となっているのだ。また、遺族年金や障害年金の給付の対象になるため、万が一の時のためにも備えることが可能となっている。自営業の人が加入する国民年金の保険料は、収入額や加入年月などに関わらず一律であるが、厚生年金の保険料は収入に応じて決定される。給与額に応じて決められた31等級ある標準報酬月額から保険料が決まり、その保険料を事業主と従業員が折半して支払う仕組みとなっているのだ。厚生年金に加入すると、基礎年金に厚生年金の二つを合わせてもらうことになるため、国民年金の人よりも多い年金額を期待することができる。

5-3.雇用保険

雇用保険は、労働者が失業した時、再就職のために必要な給付を行うために制定された制度となっている。雇用保険法では、労働者が一人でもいれば雇用保険の加入が必要となる。それは、規模や業種を問うことはない。会社や雇い主自身も加入義務があるため、仕事をしているほとんどで加入義務のある保険となっている。雇用保険に加入していることで、失業した際に失業給付を受けることが可能である。生活を安定させ、生活の再起や再就職のために経済的な負担を軽減してくれる役割が雇用保険だ。失業給付は、雇用保険に加入していればハローワークで申請し、給付を受けることが可能となっている。失業給付の他に、職業訓練のための教育給付金制度も利用可能である。育児休業給付金や介護休業給付金などの給付金も、この雇用保険制度の一部で、育児や介護などで働けなくなった時に給付を受けることが可能となっている。

5-4.労災保険

 労災保険は、会社に勤める人が仕事中や会社への通勤途中で起きた怪我や事故、病気などを補償してくれる制度である。労災保険は、労働者災害補償保険という名称で、労働者とその家族を守る制度として成り立っているのだ。労災保険の対象になるのは、仕事中に起きる業務災害と通勤途中で起きる通勤災害である。業務災害は、工場での作業中に発生した事故や取引先への訪問時に起こった交通事故、上司によるパワーハラスメントでうつ病になった時などを挙げることができる。通勤災害は、会社と自宅の通勤途中で起こった事故などである。

怪我や病気をした時に、その療養費用を給付する療養補償給付がある。治療が終わった時には、その療養補償給付は終了してしまうが、障害が残った場合には障害補償給付の対象となり、障害補償年金や障害補償一時金として支払われる仕組みとなっている。それは、条件によって一時金となるか年金になるか異なっている。労災保険は、保険給付以外にも労働者が仕事に戻るための支援や亡くなった労働者の遺族への支援としても大切な役割を果たしている保険制度である。怪我や病気で仕事を続けることができない時には、休業補償給付を受けることが可能となっている。死亡した時には、遺族補償給付が支給され、配偶者や子供、父母などに遺族補償年金と遺族特別年金、遺族特別支給金が給付されるため、家族を守る保険としても重要な保険となっているのだ。

<関連記事>
賞与にかかる社会保険や査定方法

日本は社会保険制度が充実している

日本は国民皆保険制度があり、世界の国と比べても手厚い社会保険制度を備えている。社会全体で支え合うという方針のもと、いざという時でも安心して生活を送ることができるように制定されたのが社会保険制度なのである。社会保険に入っていることで得られるメリットは数多くある。高齢化社会が進む現代、社会保険制度のあり方にも注目が集まっている。これを機に社会保険についてさらに詳しく学んでいくことが大切である。

<PR>