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おさえておきたい!人事・労務の基礎知識Vol.3 賞与にかかる社会保険や査定方法

2020.05.27

 その年の景気指標の一つとして、基本給のベースアップと共に、ニュースでも話題になるのが「賞与」だ。人事評価による賞与額の査定方法や社会保険料の計算など、賞与に関する労務管理は多岐に渡り、頭を悩ませる担当者も多いのではないだろうか。

今回は、人事・労務の基礎知識として、賞与の概要や査定方法、賞与にかかる社会保険について解説する。正しい知識を身につけ、賞与の支給に備えよう。

目次

●賞与の概要
●賞与の査定方法
●賞与にかかる社会保険
●まとめ

賞与の概要

 賞与とはどのように定義されたものなのか、あまり意識していない人も多いのではないだろうか。まずは、賞与の概要を確認しておこう。

賞与とは
 賞与とは、固定給の支払いがある労働者に対して、定期給与とは別に支給する給与を指す。「ボーナス」や「特別手当」とも呼ばれるが、どれも意味合いは同じだ。

 労働基準法では、賞与を「労働の対価として支払われる賃金の一つ」と定義している。ただし、定期給与として毎月1回以上支払うことが義務付けられている月給に対し、賞与は、企業が必ずしも支払いの義務を負うものではない。雇用側が「賞与を支払う」と決定した場合のみ支払いの義務が生じるため、賞与支給の有無は企業によってもさまざまだ。

賞与の支給時期
 月給と賞与は、どちらも「給与」に分類されるが、支給時期が「月に一回以上」と決められている月給とは違い、賞与の支給時期は法律上自由とされている。そのため企業が独自に支給時期を決定できるが、最も一般的なのは、夏と冬に1回づつ、年2回というものだろう。その他にも、「支給3回以上」や「年度末に1回」など、企業の方針に応じてさまざまな支給時期があるのも特徴だ。

賞与の査定方法

 賞与は従業員の労働に対する成果として支給するもので、従業員のモチベーションや帰属する企業に対する信頼感にもつながる重要な手当だ。適正な評価と査定を行うために、賞与額を決定するポイントを見ていこう。

査定期間
 査定期間は、賞与の支給時期によって異なるが、支給される時期からさかのぼって行うのが一般的だ。例えば、7月と12月に賞与を支給する場合は、7月支給分の査定期間は前年の10月~3月、12月支給分は、同年の4月~9月、といったケースがあるだろう。企業は、査定時期から支給時期までの期間を使って従業員の評価を行い、支給額の計算をする。従業員数の多い企業では、事務手続きに時間がかかるため、この期間が長くなる場合もあるだろう。

 賞与支給における査定期間は重複しないことが一般的だが、企業によっては「特定期間」と「通年」を査定期間として設置している場合もある。このようなケースは、12月~5月の特定期間の査定分が6月に支給され、1月~11月の通年査定分が12月に支給されるようだ。

査定項目
 賞与額を決定するための基本的な査定項目には、欠勤がないかなどの「出勤状態」や懲戒処分の有無などの「勤務態度」と、売上などの「業績」が挙げられる。それに加え、特定の資格保有に関する「業務能力」や「勤続年数」を査定項目に加えることもある。

 勤続年数は、年功序列が見直される風潮を受け査定項目から除外する企業もあるが、長年企業に貢献していることを評価する場合は、査定項目の一つとして扱われる。逆に、成果主義の企業では「売上」や「契約件数」に重きを置く場合もあるだろう。このように、従業員の評価を行うための査定項目は、業務の「成果」や「成績」または「プロセス」など、企業がどこに重点を置くのかによっても異なるだろう。

中途採用者の査定
 賞与額の評価をするにあたり、課題の一つになるのが中途採用者の査定だ。中途採用者は既に高いスキルを持ち、即戦力として雇用されることが多い。その一方で採用されてからの期間が短く評価対象にならない、または賞与の支給はあっても少額というケースもあるだろう。在籍期間に関わらず、中途採用者の評価を適切に行うことは、モチベーションや定着率の向上のためにも重要だ。

「360度評価」とは
 360度評価とは、上司からだけでなく、部下や同僚といった周囲にいるさまざまな立場の人や、自分自身で評価を行う評価方法だ。賞与の査定方法を見直す企業が増加する中、新しい評価方法として注目が集まっている。360度評価は、従業員をさまざまな視点から評価できるなどのメリットがあり、従業員の満足度やモチベーション向上にもつながるようだ。賞与に関する従業員の満足度が課題となっている場合は導入を検討してみよう。

賞与にかかる社会保険

 賞与の支給に関して、どのような社会保険の手続きが必要になるのだろうか。ここでは、賞与支給に係る社会保険の種類や手続きのフローについて見ていこう。

賞与は社会保険の対象
 給与の一つとして支給される賞与は、月給と同じように社会保険料領収の対象だ。対象となる社会保険には「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」がある。それぞれの社会保険の対象となる従業員の手続きをスムーズに進められるように準備しておこう。

社会保険料の計算方法
 賞与にかかる保険料は、「賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額(標準賞与額)に、それぞれの保険料率を乗じた額」で求められる。それぞれの保険料額は、従業員と企業が半額ずつ折半するのが原則だ。

●企業が従業員(27歳)に20万円の賞与を支給した場合の計算例
①健康保険料=20万円×9.91%×1/2=9,910円
②厚生年金保険料=20万円×18.182%×1/2=18,182円
③介護保険料は40歳以下で徴収対象外
徴収する社会保険料の合計(①+②+③)=28,092円
 
また、保険料率は毎年改定があるので注意が必要だ。

保険料計算時の注意点
 賞与にかかる保険料には上限が定められており、健康保険は年間573万円(毎年4月1日~翌年3月31日までの累計額)、厚生年金保険は月額150万円となっている。また、賞与にかかる保険料は年間3回までを対象としている。4回以上支給がある場合は月次給与として扱うため、計算方法が異なる点にも注意が必要だ。
 さらに、賞与は「労働の対価」として受け取るものだ。「結婚祝金」や「見舞金」などは計算の保険料計算の対象外となるので覚えておこう。

手続き方法
 賞与を支給したら、支給日を1日目として5日以内に「賞与支払書」を管轄の年金事務所と健康保険組合に提出することが必要だ。この際、賞与の支払いがない場合も、賞与支払届出総括表に「不支給」と記載のうえ、届け出る必要がある。また、納入期限は支給月の翌月末となっているため、余裕をもって準備を進めたい。

まとめ

 労働に対する対価の一つとして、企業から従業員に支払われる「賞与」。支給回数が限られるため、まとまった額になることも多く、労働者にとっては大事な生活の糧となる給与だ。賞与の額には従業員の業務に対する評価が表れるため、適切な評価を行う必要がある。そうすることで、従業員のモチベーション向上だけでなく、企業全体の生産性向上にもつながるだろう。企業にとって重視することを評価項目として設定し、正しい評価と手続きのもと、賞与支給を行ってほしい。

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