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リファレンスチェックとは?パターンやタイミング、行うメリットなども紹介

2021.01.13
オフィスのミカタ編集部

 企業が中途採用者を選考する際に行う「リファレンスチェック」。リファレンスチェックはどのような目的で実施され、企業にはどのようなメリットがあるのかについて知りたいと考える採用担当者もいるのではないだろうか。

 今回は、リファレンスチェックの概要や目的の他、リファレンスチェックを拒否された場合の対応について紹介する。それぞれのポイントを押さえ、採用プロセスの参考としてほしい。

目次

●リファレンスチェックとは
●リファレンスチェックを行う目的・企業側のメリット
●リファレンスチェックを拒否された場合
●まとめ

リファレンスチェックとは

 リファレンスチェックとは、企業が中途採用を行う際に、求職者の関係者に問い合わせを行うことだ。リファレンス(reference)には「参照・照会」という意味があり、企業は求職者の前職(あるいは現職)の上司などから勤務状況や人物像、職務能力などについて話を聞き、採用の参考にする。まずは、リファレンスチェックの概要やパターン、流れについて見ていこう。

リファレンスチェックの概要
 リファレンスチェックは、中途採用希望者について第三者から情報を得る、選考プロセスの一つだ。海外企業や外資系企業では一般的な方法だが、日本でも経営層やマネージャークラスなど、重要ポジションに就く人材採用の際に実施する企業が増えている。また、新型コロナウイルスの影響などによりオンラインによる選考が普及しつつある昨今、面接では把握しきれない応募者の特性を可視化するための手段として、リファレンスチェックの必要性に注目が集まっている。

 リファレンスチェックを行うタイミングは書類選考段階や内定後など企業によって異なるが、多くは内定を出す直前の最終チェックとして実施されるようだ。

リファレンスチェックのパターンは2通り
 リファレンスチェックで企業が求職者の情報を得るための方法には、「求職者本人がリファレンス先を紹介するパターン」と「企業がリファレンス先を探すパターン」とがある。いずれの場合も、正確性を期すため複数人から情報を得ることが一般的だ。

 「求職者本人がリファレンス先を紹介するパターン」では、求職者にリファレンス先の提示を求め、紹介された人物に企業が問い合わせを行う。依頼する相手は仕事内容や勤務態度に詳しい同僚や上司になり、求職者が上級管理職だった場合は役員、それが難しい場合は部下に頼むケースもあるようだ。

また、「企業がリファレンス先を探すパターン」では、以下の方法がある。
・業界のネットワークを使って探す(同業他社からの求職者の場合)
・調査会社に依頼して探す
・間に入っている転職エージェントに委託して探す

リファレンスチェックの流れ
 個人情報保護の観点から、リファレンスチェックは原則として求職者の同意のもと実施する必要がある。本人の了承を得てリファレンスを行うことが決定したら、企業または外部の委託会社がリファレンスチェックを行う。電話やメールによるヒアリングが一般的だが、書面や面接を用いるケースもある。外部に調査を依頼した場合は、報告書や上司からの推薦状などが提出されることもあるようだ。

リファレンスチェックを行う目的、企業側のメリット

 ここでは、リファレンスチェックを行う目的や企業におけるメリットについて紹介する。

面接だけでは得られない情報を得られる
 リファレンスチェックのメリットは、面接だけでは得られない情報を得られることにある。書類選考や限られた時間内での面接では得られる情報に限りがあるため、リファレンス先からの情報を通して、ビジネス能力や実際の働きぶり、求職者の話しにくいことや説明しきれないことを確認することが可能だ。

 また、リファレンスチェックでは求職者本人ではなく複数の第三者から情報を得るため、より客観的に判断できるという利点もあるだろう。

ミスマッチや早期退職を防げる
 リファレンスチェックで在籍期間や勤務態度、人柄、職務遂行能力などを事前に把握することにより、企業が求める人材とのミスマッチや早期退職を予防する効果もある。重要なポジションにつく人材の選考であるほど、採用のリスクを軽減するための手段として有効だ。

信頼関係を構築できる
 求職者の経歴や申告内容を第三者の証言によって裏付けることで、互いの信頼関係が構築しやすくなるというメリットもある。リファレンスチェックで経歴の詐称や不祥事の有無、面接内容との差異などを確認することにより、より公平で公正な判断をすることができるだろう。

リファレンスチェックを拒否された場合

 リファレンスチェックでは求職者やリファレンス先の同意を得る必要があるが、さまざまな理由によってチェックを拒否される場合もあるだろう。ここでは、ケース別の対応について紹介する。

求職者がリファレンスチェックを拒否した場合
 求職者がリファレンスチェックを拒否する理由としては、以下のような場合が考えられる。

・現職の上司などに転職活動をしている事を伏せている
・現職・前職の上司や同僚と良好な関係が築けていない
・現職・前職の退職理由・方法が芳しくない
・経歴を詐称している

求職者が内密に転職活動を行っており、現職より以前に転職経験があるケースでは、以前の上司などにリファレンスを依頼することも可能だ。

また、リファレンスチェックは必ず行うべきものではないため、求職者にリファレンスを取得出来ない詳細な理由を確認し、その理由に妥当性・合理性がある場合は、ケース面接やワークサンプルテスト、試用期間採用などの方法で採用判断をするのもよいだろう。

リファレンス先がリファレンスチェックを拒否した場合
 求職者がリファレンスチェックに合意したとしても、以下のようなケースではリファレンス先から情報提供を断られる場合がある。

・求職者に退職してほしくない
・求職者との関係性が悪く求職者の転職活動に協力したくない
・転職の合否に関わる重大な情報提供に関わりたくない
・業務が多忙で回答に協力する時間がない
・リファレンスチェックの慣習が浸透していない

リファレンス先を企業が探した場合は、求職者にレファレンス先を提示してもらう方法もある。また、Webシステムなどを使って実施フローを効率化し、リファレンス先の負担を軽減すると、リファレンスを取得しやすくなるだろう。

リファレンスチェックの実施がどうしても難しい場合は、求職者が拒否した場合と同様、別の方法で候補者を評価することも検討しよう。

まとめ

 中途採用者の選考において、前職や現職での情報を第三者から取得するリファレンスチェック。近年は日本企業でもリファレンスチェックを行うケースが増えており、重要なポジションを任せる人材であればあるほど、採用リスク軽減の効果があるだろう。選考時における重要なプロセスの一つとして、リファレンスチェックの活用を検討してみてはいかがだろうか。