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人生100年時代 健康にはたらくためにVol.5 年代別働き方の価値観のちがい

2021.07.05

世代の異なる社員たちが働く職場では、働き方に対する価値観の違いが感じられる場面もあるだろう。考え方の違いから、コミュニケーションに違和感を感じたり、トラブルに転じたりすることもあるかもしれない。世代の違いによって、なぜ仕事に対する考え方に違いが生まれるのか、世代間ギャップをケアするための対策を知りたい担当者もいるのではないだろうか。今回は、働き方に対する価値観の変化とその理由、コミュニケーションを円滑に進めるための対策を紹介する。

目次

●仕事に対する価値観は大きく変化している
●「働くことに対する意識の違い」が生まれる理由
●若い世代の社員と管理職の気持ちはすれ違っている?このギャップをケアする方法や対策とは
●まとめ

仕事に対する価値観は大きく変化している

働き方改革やダイバーシティ経営の重要性が認識されるようになるなか、ビジネスパーソンの仕事に対する意識は、時代や年代間でどのように変化しているのだろうか。2019年9月、株式会社電通グループの社内組織「電通総研」と、学校法人同志社・同志社大学のメディア・社会心理学研究分野の池田研究室が参画し、18歳以上男女約1,000人を対象とした「世界価値観調査」の日本調査が実施された。同調査から明らかになった「働くことに対する価値観の変化と違い」について紹介する。

働くことへの意識変化の中で、家族中心のライフスタイルを志向
本調査によると、2010年に行った前回の調査に比べ、「仕事や働くことへの意識」は大きく変化している。自分の生活に重要なものが「仕事」だと回答した人の割合は、前回調査の84.2%から80.0%へ4.2ポイント減る一方、「家族」「友人・知人」「余暇時間」を重要だと回答した人は、前回と同様90%以上であった。

また、「働くことが大切でなくなる」ことに対して、「良いこと」「気にしない」と答えた人の割合はおよそ10年間で18.3%から42.6%へと24.3ポイント増加し、仕事とプライベートのバランスを重視する人の増加がうかがえる。

若い世代ほど人生の自由度が高く「働くことが大切でなくなる」と感じる割合が多い
年代別で見ると「若い世代」と「それ以外の世代」では、働き方に対する価値観が異なることも見て取れる。「働くことが大切でなくなる」ことに対し、「悪いこと」だと感じる人の割合は、2019年の調査で70歳以上が70%以上がである一方、18~29歳では32%と大差がついた。

特に18歳以上49歳以下の世代では「働くことが大切でなくなる」ことに対し、「良いこと」及び「気にしない」という割合が5割を超えており、働くことに対する重要度の低下がうかがえる。さらに、「人生をどの程度自由に動かすことができると思うか」という質問に対しては、年代が若くなるほど「自由になる」という回答が多く、自分の生活や時間を大切にしている人が多いことを表す結果となった。

参考:「世界価値観調査」1990~2019年日本時系列分析レポート・人々の価値観変容と”クオリティ・オブ・ソサエティ”の行くえ2020.3

「働くことに対する意識の違い」が生まれる理由

なぜ、世代間で「働くことに対する意識の違い」が生まれるのだろうか。理由の一つとして、育ってきた時代背景の違いが挙げられる。例えば、Z世代とも言われる1990年以降に生まれた若い世代は、褒めることを大切に、個人や個性を尊重した育て方をされている人が多い。一方で、ある程度キャリアを積んだ管理職世代の人たちは、周りからの叱咤激励を受けて、厳しく育てられた人も多いだろう。

育ってきた時代背景の違いにより、本人が意識せずとも、世代毎に異なる価値観が形成されているのではないだろうか。自分の世代にとっては「当たり前」であったことが、他の世代では「当たり前でない」。これが、仕事に対する意識の違いとなって現れているのだろう。

若い世代の社員と管理職の気持ちはすれ違っている?ギャップをケアする方法や対策

仕事の生産性をあげる上で、社員同士の円滑なコミュニケーションは必要不可欠であり、若い世代と管理職世代の価値観のずれが、企業にとってネガティブに働くことは避けたいところである。ここでは、企業内における世代間ギャップをケアするための対策を紹介する。

世代による時代背景を踏まえ、特性を理解する
円滑に仕事を進めるためには、世代によって異なる価値観や捉え方を持つ傾向にある、ということを社員同士が理解した上で、コミュニケーションを取ることが重要だ。バブル世代や氷河期世代、ゆとり世代などと呼ばれる各年代の人たちが、それぞれどのような時期に生まれたのか時代背景を知っておきたい。その人の持つ特性の理解に役立つほか、自分と異なる考えを持つ相手に対し、「相手がなぜそう考えるのか」を理解するきっかけになるだろう。

自分の価値観を押し付けない
従来のようなトップダウン型の企業文化に染まっていない若い世代の社員は、企業に対して客観的な立場で「意見」や「情報」を伝達する重要な役割を果たし得るだろう。高いパソコンスキルを持っていることも、多くの若手社員が持つ特長である。

管理職の社員は、そのような若手社員の強みを認めたうえで、普段感じる違和感を率直に伝えていくことが大切だ。自分の価値観を押しつけ、相手を否定するのではなく、お互いの長所を認め合いながら意見交換ができる企業風土が育てば、さらなる事業発展に繋がるだろう。

相手に合わせたコミュニケーションをとる
仕事に対する意識が異なる社員とコミュニケーションをとる際は、相手に合わせて話を始め、それから自分の考えを伝えると良いだろう。相手の状況や価値観に合わせて会話を始めることで、相手にも自分の考えを受け取ってもらいやすくなる。

特に若い世代は、仕事に対して給与などの金銭的な見返りだけでなく、自分の仕事が「役立っている」「貢献している」と感じられることがモチベーションに繋がりやすいという調査結果もある。仕事の話をする際には、ポジティブな言葉を選ぶほか、「なぜそのような話をするのか」といった、背景にある目的や意味づけをすることも意識したい。

お互いにとっての共通の目的を探す
考え方が異なる社員同士であっても、同じ企業に務めているからこその「共通する目的」もあるはずだ。お互いにとって「本来の目的」は何かを明確し、最も重要なことを共有しておこう。そうすることで、お互いの意見が「正しい」「正しくない」ではなく、その時どきの状況に見合った最善策を検討できるはずだ。

まとめ

仕事に対する価値観や意識は、時代とともに変化している。若い世代と管理職世代の考え方の違いは、対応を間違えれば、ネガティブに働くことも考えられるだろう。しかし、お互いの生まれ育った時代背景を十分理解し、多様な考え方を上手く企業の戦略に取り込むことが出来れば、それを企業の強みとすることもできる。世代間における意識の違いを理解し、円滑なコミュニケーションを取るための施策を社内で検討してみてはいかがだろうか。

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