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従業員サーベイの導入により職場環境の改善、離職防止策を推進。活用方法とおすすめのツールを解説

2022.05.20
オフィスのミカタ編集部

職場環境の改善や離職防止に役立つ従業員サーベイを導入する企業が増えている。今回は従業員サーベイを導入する目的や導入のコツ、おすすめのツールなどを分かりやすく解説する。

従業員サーベイを導入する目的と重要視される理由

転職が当たり前となり終身雇用制度が崩れつつある中、優秀な人材に会社への愛着を持って長く勤めてもらうためには、従業員の就労環境を向上させていくことが不可欠だ。そのために従業員サーベイを導入する企業が増えている。従業員をサーベイ導入する目的やメリットを見ていこう。

従業員の満足度を向上させるための課題解決方法を見出す
従業員サーベイは会社と従業員の関係性を把握するために行われるアンケートだ。アンケートによって現状を把握することで課題を見いだし、解決していくことを目的としている。
その際に重要なのが、経営者サイドからは見えない会社の課題が明らかになるということ。具体的な例を挙げると、経営サイドが良かれと思って導入した福利厚生が従業員からは使いにくいと実は不評だったなど、気づきにくい点を従業員サーベイでは発見することができる。

従業員サーベイは企業のコンプライアンス強化にも役立つ
企業コンプライアンスの高い企業は、信頼性が高いと見なされ、社会的評価の高いイメージを取引先や消費者に与えることができる。従業員サーベイは従業員のコンプライアンス強化にも役立ち、当事者意識も高めることができる

以下の記事では従業員の当事者意識が高いとコンプライアンス強化になるという結果を発表している。詳しくはリンク先の記事を読んでほしい。

「企業不祥事と従業員エンゲージメントの関係」を調査 企業のコンプライアンス強化に必要なこととは

従業員サーベイの調査対象と実施頻度

従業員サーベイの調査対象と実施頻度ごとの調査方法の違いについてそれぞれ見ていこう。

従業員の全員が調査対象となる
従業員サーベイの調査対象は、一般的に経営者サイドを除いた従業員全員である。

年単位で大規模に実施し、課題を深く理解するサンセス調査
年単位で大規模に行うサンセス調査は設問の数が多いことが特徴だ。さまざまな角度から設問を投げかけることで、問題の根本となる原因を見つけることができる。

頻回に小規模に実施し、察知能力を高めるパルスサーベイ調査
週や月単位で頻回に実施して、問題を早期に発見できるのがパルスサーベイ調査だ。回答する従業員の負担を考えて、1回の設問数は5〜15問程度に抑える。

従業員サーベイを効果的に行うには経営側・従業員側双方の理解が欠かせない

従業員サーベイを改善策実行まで行っていくまでには、従業員はもちろんのこと、経営者サイドからの理解も得る必要がある。それぞれの立場から見た理解を得る理由について解説する。

経営者サイドからの理解・合意を得てから実施する
従業員に行うアンケートであっても、経営者サイドからの理解・合意を得ることは大切だ。今後の経営・人事戦略に生かすための実施ということを事前に伝えておこう。

従業員に実施の意図を説明し、理解を得る
従業員が会社への問題や不満を伝える機会となる従業員サーベイだが、回答することで今後のキャリアに影響が出ないかを気にして率直な意見を回答できない危険性がある。そういった事態を防ぐために、匿名での回答にするなど対策をした上で、実施目的と匿名性について従業員に説明する必要がある。

従業員サーベイを形骸化させずに効果的に推進させる方法

どれだけ従業員サーベイを行なっても、分析、改善策の検討・実行をしていかなくては形骸化してしまう。ここでは、効果的に進めるための順序を紹介する。

設問項目を設定する
まずは従業員サーベイの設問項目を設定する。従業員満足度を上げる

調査を実施、分析する
設問内容を設定できたら調査を実施する。従業員からの回答率を上げるために、「回答義務について周知を徹底する」「回答期限を設ける」の2点を心がけよう。調査が終わったら、集積したデータを分析する。

分析結果をもとに改善策を検討し、実行する
分析結果をもとに、問題や課題をあぶり出し、改善策を検討する。形骸化させないためのポイントはこの後の「実行」にある。改善策を検討するまでは多くの企業がしているが、その一歩先の実行までしっかりと進めてこそ従業員サーベイを行う意義が生まれる。

従業員へのフィードバックは可視化して分かりやすく
分析結果については、さらに従業員へフィードバックすることを忘れないでほしい。それにより、意見が反映されていることを実感することができて、会社への参加意識が高まる。さらに、次回の従業員サーベイの実施にも協力的になるだろう。

各種サーベイを乱立しないようにすることも心がける
サーベイには従業員サーベイ以外にも組織サーベイなど様々な種類がある。ただ、サーベイを行いすぎると従業員の負担が増し、不満の種を増やしてしまう可能性も。乱立しすぎないように気をつけたい。

サーベイツールの導入時にチェックしたいポイント

従業員サーベイを行う際に、自社で設問の選定や調査、分析、フィードバックを全てするのは大きな手間となり、担当者の負担が大きい。そこで活用したいのが、ベンダーが提供しているサーベイツールだ。多くのサービスではクラウド上で管理されており、回答者の手間も少なく、回答から分析までのスピードも桁違いだ。ただ、提供しているベンダーが多数あり、どれを選んだらいいのか迷ってしまうこともあるだろう。ここでは、導入する際の選定のポイントを紹介する。

自社の現状に合ったサービス内容を選定する
サーベイツールには組織サーベイ以外にも機能が充実しているものも多く、強みとする機能にも違いがある。離職率の低下を解決したいのか、満足度を向上させたいのかなど、自社の現状に合ったサービスを選定したい。

料金体系を把握して、コストバランスもチェックする
機能が増えるのに比例して、もちろん料金もアップするため、必要なサービスだけをチョイスできるのが望ましいだろう。また、月額費用がかかるのか、ユーザー数に応じて料金がかかるのかもサービスやプランによって異なる。検討中のツールをよく確認しよう。

ユーザビリティの確保で従業員サーベイ担当者の負担を軽減する
社員全員を対象とするツールのため、使いやすさは欠かせない。視認性や操作性の高いサービスを選んでほしい。

サポート体制の充実度も欠かせない
導入後に運用していて疑問に感じることが出た場合やエラーに対処できない場合に即座に対応してくれるサポート体制もチェックポイントの一つだ。また、ツール導入前にコンサルタントが会社の現状を分析してくれたり、新入社員の支援をしてくれたりするなどのサービスがあることも。比較・検討する際の材料の一つにするとよいだろう。

国内で広く活用されているおすすめ従業員サーベイツール

従業員サーベイツールは多くのベンダーがサービスを提供している。ここでは特に多くの会社が導入しているツールを紹介する。

モチベーションクラウド
国内最大級237万人のデータベースを活用し、簡単なアンケート調査で従業員のエンゲージメントを可視化する「モチベーションクラウド」。他社との比較だけでなく、社内の部門・階層ごとや過去の数値と比較できて、さまざまな角度から客観視することができる。
https://www.motivation-cloud.com/

wevox
離職率の改善と生産性向上に定評のある「wevox」。8800万件超の解答データを蓄積したビックデータを駆使した解析機能で、これまで気づけなかった課題を発見できる。アルゴリズムが各自に最適な質問を自動配信し、分析もリアルタイムでしてくれるため、従業員サーベイを実施する管理側の労働負担が軽減されるのも魅力だ。
https://get.wevox.io/

Geppo
個人と組織の課題を両面から見える化し、本質的な働き方改善を推進できる「Geppo(ゲッポウ)」。テレワークによるストレスマネジメントにも最適で、従業員のコンディションを把握し、顔が見えないことによるメンタルの不調解消などにもつながる。
https://www.geppo.jp/

MotifyHR
新入社員のフォローや退職予備軍の発見と離職率の低下を実現する「MotifyHR(モティファイ エイチアール)」は従業員サーベイのほか、1on1という上司部下の面談ログがあるなど、きめ細やかなサポートが受けられる。
https://motifyhr.jp/

Visual
エンゲージメントを可視化して組織定着率を向上させる「Visual」。離職を検討している従業員をいち早く察知して知らせてくれる機能があり、具体的な改善アクションを150パターンも用意。離職率低下に一役買ってくれる。組織に対する信頼度・愛着度も測定できる。
https://visual.inc/

従業員サーベイを含めた従業員の人材管理に特化した機能を持つタレントマネジメントサービスを以下で比較・紹介している。参考にしてほしい。

2021年度版タレントマネジメントサービスを徹底比較|おすすめの主要8製品を紹介

まとめ

従業員サーベイは、組織サーベイ・診断と同様に会社組織・社員個人のどちらにとっても、社内風土改善へと進むための指針を示してくれる手法だ。課題の仮説立て、調査、分析、課題解決にて、人事としての力量が試される。ツールを活用することで効率的な実施とともに、戦略的なサポートも受けることができるため、ぜひツールの活用も前提に組織力強化のために役立ててほしい。