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NDAチェックとは?秘密保持契約の重要性と確認時のポイントを解説

2022.04.25
オフィスのミカタ編集部

企業間取引におけるNDAチェックは法務業務においては重要な業務の一つだ。しかし、実際にNDAを締結する際にはどのようなことに注意すべきか迷う担当者もいるのではないだろうか。本記事では、NDAチェックの必要性のほか、契約書のチェックのポイントを解説するので、実務でのNDA締結の際に役立ててほしい。

目次

●NDA(秘密保持契約)とは
●NDAチェックのポイント
●NDAチェックには、契約書レビューサービス活用が有効
●NDAチェックを行わないとどうなる?
●まとめ

NDA(秘密保持契約)とは

NDAとは、自社の秘密情報を相手に開示しなければならない場合に、目的外での使用や第三者への開示・漏洩を防ぐために締結する契約書のことで、「秘密保持契約書」とも言われる。NDAの締結を行うのは、他企業と新規取引を開始する時などで、企業の競争力維持に必要な秘密情報(営業秘密)を、法律上の保護下に置く目的がある。新規取引に際しては、自社が保有する秘密情報を取引先と共有しなければならないことがあるだろう。そうした際に、近年では最初にNDAを締結することが定着してきている。NDAの概要については下記の関連記事に詳しく記述されているため参考にしてほしい。

関連記事:オフィスのミカタ『NDA(秘密保持契約)とは?関係する法律や主な契約条項 』

NDAチェックのポイント

NDAを締結する際に、事前に確認したいポイントは以下の5つ。具体的なNDAチェックポイントをみていこう。

ポイント1.契約の目的は合っているか
NDAの目的は、開示する秘密情報の、目的外での使用を禁止するという点にある。そのため、まずはどのようなビジネスを目的としてNDAを締結するのか、という前提を確認することが重要だ。契約の目的は、NDAの第1条に書かれることが一般的だが、そこで実際に計画している取引先とのビジネス内容と記載内容が合致しているかどうかの確認を行おう。

ポイント2.秘密情報の範囲が適切か
自社が秘密情報を開示する立場である場合には、秘密情報の範囲を広く網羅的に定めておくことが有利に働くと言われている。例えば、範囲を「〇〇に関連して開示された一切の情報」といった表現を用いれば、秘密情報の範囲を網羅的に規定することが可能だ。

一方で、秘密情報を受領する立場であった場合は、開示する立場とは逆で、秘密情報の範囲は限定的である方が有利とされている。典型的な例は、秘密情報の範囲を開示に際して秘密(マル秘)マークが記された文書を開示される場合などが限定的な秘密情報に該当する例と言える。

NDAに明記された秘密情報の範囲が自社に不利な内容とならないかなど、後のトラブルを回避するためにも念入りな確認をおすすめする。

ポイント3.秘密保持義務を負う人的範囲は適切か
NDAのチェックを行う際には、秘密情報を開示する方・開示される方のいずれであっても、NDAが規定する人的範囲に余剰や漏れがないかどうかを確認することで、情報漏洩などのリスクに対応できるようにしておきたい。

取引先とのビジネスを進めるためには、そのビジネスに関わる人の範囲を決めて秘密情報を共有する必要がある。内容によっては、関連会社や委託先などにも秘密情報を共有しなければならないこともあるだろう。情報を開示する立場である場合には、秘密情報が共有される人的範囲をNDAに明記し、予め秘密保持義務を負う人を規定することが重要だ。

ポイント4.秘密保持義務が存続する期間が適切か
NDAの契約有効期間は一般的な契約と同じく、有効期間を定めた上で自動更新条項を置くことが多い。情報を開示する立場である場合には、開示する秘密情報の内容に応じ、有効期間を調整するのがよいだろう。

ポイント5.秘密情報の複製・破棄・返還についての記載があるか
複合機などの普及により、開示した秘密情報は簡単に複製されてしまうリスクがある。ましてや近年ではデータでの情報の受け渡しが一般的になっていることにより、データの複製はより簡単だ。複製されては困る情報については、予め事前の許可が必要な旨を規定するなどの対策が盛り込まれているかを確認したい。

また、契約終了後に秘密情報を破棄または返還してもらえるよう定める契約書も多い。秘密情報の複製を認める内容を定めている場合は、その複製物に関しても破棄・返還してもらえるよう定められているかも確認しておきたいポイントだ。

NDAチェックには、契約書レビューサービス活用が有効

NDAチェックは、法知識などが必要になる場合が多く、専門性の高い業務と言える。自分でチェックを行う場合には、契約書レビュー支援サービスなどを活用するのが有効な手段だろう。

契約書レビューサービスとは、契約書の内容についてリーガルチェックを行うサービスのことを指す。近年ではAI技術を活用した契約書レビューサービスを提供している企業も多くみられるようになっている。実務でAI契約書レビューサービスの利用を検討中、もしくは選定に迷っている担当者は以下の記事に詳しく記載されているので、参考にしてほしい。

関連記事:オフィスのミカタ『AI契約書レビュー支援サービス。サービス紹介と選定のポイントを解説』

NDAチェックを行わないとどうなる?

NDAチェックを行わないことのリスクは、意図せず秘密情報の開示・漏洩が発生する可能性があることだろう。秘密情報を開示する側、開示される側双方にとっても、情報の漏洩は取引の信頼に関わる問題だ。NDAに盛り込みたい秘密情報の範囲や、秘密保持義務を負う人的範囲に抜け漏れがあった場合などには、そのようなリスクがある。リスクを回避するためにも、NDAの内容を締結前にチェックする手間を惜しまずに実施したい。

まとめ

NDAチェックは、企業間の取引開始時など秘密情報を他社に開示する場合に締結する「秘密保持契約」において、欠かせない確認業務だ。契約目的や秘密保持の範囲・期間など、NDAをチェックする上では、ポイントを押さえておくことも重要となる。ツール活用なども念頭に、記事を参考に実務でのNDAチェックに役立ててほしい。