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年末調整に必要な書類一覧と電子化による効率的なファイリング方法、便利なサービスを紹介

2022.06.22
オフィスのミカタ編集部

年に一度の業務とはいえ、短期間に膨大な書類の処理を要する年末調整は担当者にとっても従業員にとっても大変な作業。そこで今回は年末調整書類の効率的な保存方法と業務効率が格段に上がる電子化サービスについて紹介する。

年末調整手続の電子化に向けた政府主導のDXの流れと取り組み

政府が企業のDX化を進めているのは周知の事実だが、年末調整手続きにおいても例外ではない。書類作成の簡素化や、控除額の検算が不要になるなど、社員・担当者双方にとってメリットが多いため、今後導入する企業は増えていくと思われる。

従業員からの提出が必要な主な書類一覧

まずは年末調整時に従業員が提出すべき主な書類について解説する。

扶養控除等(異動)申告書
書類を提出する年の12月31日時点で従業員が扶養している親族の情報を記入する書類。配偶者控除や扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除の対象かどうかを確認するため、全員の提出が義務付けられている。2021年から住民税用の「給与所得者の扶養親族申告書」と統合された。

基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得⾦額調整控除申告書
1枚で3種類の申告書が提出できるようになっており、「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「所得⾦額調整控除申告書」の適用状況が確認できる。

保険料控除申告書
国民健康保険や国民年金などの保険料や保険税を従業員が直接自分で支払っている場合や同一生計の親族の社会保険料を社員が払っている場合に記入する。申告書とともに控除証明書を添付する必要があり、証明書は加入保険会社から毎年10月ごろに郵送されるので、年末調整まで紛失しないよう注意したい。電子データでの提出も可能となっている。

控除証明書等
さまざまな控除を申請する際に提出する書類。生命保険(一般生命保険、介護医療保険、個人年金)、地震保険、社会保険、小規模企業共済などが対象となる。

住宅借⼊⾦等当別控除申告書
住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・リフォームした場合に一定の要件を満たすと「住宅借⼊⾦等特別控除」や「特定増改築等住宅借⼊⾦等特別控除」を受けることができる。申告書とともにローンを利用した金融機関が発行した「住宅取得資⾦に係る借⼊⾦の年末残⾼等証明書」と住宅⾦融⽀援機構が発⾏する「融資額残⾼証明書」を提出する必要がある。

年末調整の対象にならない人にも注意

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は全員提出する必要があるが、年末調整の対象とならない人がいるので注意したい。対象外は以下の条件に当てはまる従業員だ。

・年収が2,000万円以上
・災害減免法の規定によって、すでに源泉所得税の支払い猶予や還付を受け取っている
・他社で「給与支払者が扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合
・非居住者(1年以上の海外赴任など)
・日雇労働者などで継続して雇用しておらず、源泉徴収税額表の日額表を適用している

従業員の年末調整にて企業がガバナンスとして保存する主な申告書一覧

続いては、年末調整後に企業が保存すべき申告書の一覧を見ていこう。

扶養控除等(異動)申告書
他社に提出している人以外は全社員が提出する書類。提出が遅れている人にも提出義務があることを説明し、速やかに提出するように促す必要がある。

従たる給与についての配偶者控除等申告書
該当従業員の合計所得が1000万円以下で、生計を一にする配偶者の合計所得が48万円以下の場合に受けられる控除のための申告書類。該当従業員の合計所得が1000万円以下で、配偶者の所得が48万を超えた場合でも133万円以下であれば、配偶者特別控除を受けることができる。

給与所得者の基礎控除申告書
合計所得額2500万円以下の従業員が合計所得に応じて最大48万円控除されることになっており、そのための申告書類となる。申告書を提出しないと控除されないので、該当者には必ず提出させるようにしたい。

給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料や地震保険料といった自身で加入している保険から、社会保険料や共済掛金などで給与から差し引かれていない保険料について控除する際に必要な書類。

所得金額調整控除申告書
給与による収入が850万を超える従業員で、以下のいずれかの要件を満たすと適用される控除に必要な書類だ。
・23歳未満の扶養親族がいる
・従業員本人が特別障害者である
・従業員の扶養親族や同一生計配偶者が特別障害者である

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
住宅借入金などの年末残高に応じて、控除を受ける際に必要な書類。初年度のみ自身で確定申告する必要があるが、2年目からは年末調整で申請できる。

年末調整の流れや手順については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてほしい。
総務担当者必見!押さえておくべき年末調整の手順と、便利ツール

企業における年末調整関連の膨大な書類は電子化による管理を推奨

年末調整関連の書類は多く、年末の忙しい時期に社員に書類作成を依頼する気苦労、短期間にこれらの書類をまとめ上げる大変さで業務担当者は大きな負担を感じ、ヒューマンエラーも発生しやすい。しかし、これらの問題は年末調整書類の電子化により、大幅に改善が可能だ。

年末調整関連の書類をスムーズにファイリングする方法

膨大な年末調整関連の書類の保管期限やファイリング方法について見ていこう。

保管期間7年分の書類など必要書類を取捨選択する
年末調整関連の書類は提出期限であった年の翌年1月10日の翌日から7年間保管する義務がある。忘れずに保管してほしい。

命名規則を用いて年末調整書類の一覧性を担保して分類する
年末調整の書類は背表紙に取扱年と書類内容が分かるようにしておくのが鉄則。その上で、中身を申告書ごとにラベリングするなどして視認性を高くし、取り出しやすいように工夫する。

電子帳簿保存法など法令に従い書類の電子化を進める
従業員全員の年末調整関連書類を7年分保管するとなると、従業員数にもよるが、かなりのスペースが必要となる。そこで進めたいのが、年末調整書類の電子化だ。電子帳簿保存法の改正などで電子書類化のハードルはグッと下がっている。システム上で一元管理できるため、業務効率もアップすることから、ぜひ導入を検討してみてほしい。

保管期間が過ぎたらセキュリティリスクに重きを置き随時処分をする
保管義務である7年が経った書類から、適切な方法で処分していこう。書類はシュレッダーにかけるなどして、情報漏洩がないように徹底しよう。

主要会計ソフトへの連携もできる電子化対応のおすすめ年末調整サービス

年末調整書類を電子化できるおすすめのサービスを紹介する。

SmartHR
登録社数4万社以上と、人事・労務管理の業務効率化で実績を上げている「SmartHR」。従業員の情報はクラウド上で自身が入力できるため、常に最新情報に更新可能だ。年末調整時には、従業員はSmartHRのアンケートに答えるだけで作業が終了し、業務担当者は集約した情報をCSVで一括出力できる。給与計算ソフトに取り込んだら完成するという効率の良さが魅力だ。
https://smarthr.jp/

ジョブカン労務HR
帳票の作成は従業員が自身で行い、手続き書類を自動作成できる「ジョブカン労務HR」。作成した電子書類はボタン一つで電子申請できるため、業務時間を大幅に減らすことが可能だ。年末調整書類は従業員への簡単なアンケート形式で情報収集でき、クリックだけで自動作成できるため、従業員・担当者どちらにとっても使い勝手がよいといえるだろう。
https://lms.jobcan.ne.jp/

マネーフォワード クラウド年末調整
年末調整の書類配布から提出までをすべてクラウド化した「マネーフォワード クラウド年末調整」。すべてウェブ上で行われるため、面倒な書類の準備や回収の手間がないのも魅力だ。またe-TAXやeLTAXを利用して電子手続きができる。マネーフォワード給与と連携することができるが、他社の給与計算ソフトとも連携可能だ。
https://biz.moneyforward.com/tax-adjustment/

freee人事労務
“労務のヒューマンエラーをゼロにする”を掲げる「freee人事労務」では、年末調整にかかる時間が5分の1になるペーパーレス年末調整が特徴。自動計算でミスなく書類の作成ができる。全体の進捗管理もウェブ上で簡単に確認でき、リマインドメールもすぐにできる。また、給与明細への反映も自動だ。
https://www.freee.co.jp/hr/

年末調整 弥生給与 22
年に一度しかない業務でいつまで経っても慣れないという人にピッタリなのが、「年末調整 弥生給与 22」。年末調整ナビがしっかりとナビゲーションをしてくれるので流れに沿って作業を進めれば、ミスなく正確な年末調整業務が行える。
https://www.yayoi-kk.co.jp/products/payroll/function/adjustment.html

まとめ

年末調整は年に1回しかない業務のため、毎年やっているけれど忘れてしまって毎回慣れない状態で業務を行なっているという担当者も多いだろう。年末調整サービスは、そんな担当者の業務ストレスやミスから解放してくれるので、ぜひ導入を検討してみてほしい。