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企業が納税すべき住民税とは?種類から業務効率化の方法まで解説

2022.07.28
オフィスのミカタ編集部

住民税というと、個人にかかるものを思い浮かべる人が多いと思うが、実は法人にも住民税を支払う義務がある。今回は法人住民税と個人住民税について、さらに個人住民税の徴収方法やミスなく住民税を設定する方法を紹介する。

企業にとっての住民税は法人住民税と個人住民税の2種類

企業にとっての住民税は2種類あり、「法人住民税」と「個人住民税」となっている。それぞれについて解説する。

法人住民税は所在する都道府県および市町村に支払う税金
地域社会の構成員である法人にも、個人と同様に負担を求めるべく設定されているのが「法人住民税」だ。均等割と法人税割の2つで構成されており、それぞれ資本金額や従業員数、法人税額によって税額が変わる(参照サイト:総務省「法人住民税」)。

個人住民税は個人が負担すべき地方税
個人住民税は個人が負担する地方税。前年の1月1日〜12月31日の所得に対して課税され、毎年5月から6月ごろに納税通知書が届く。支払い方法については次の項目で解説する。

個人住民税の支払い方法のうち、会社が納税する方法は特別徴収が一般的

個人住民税の支払い方法には大きく分けて2つある。それぞれの方法と退職した際の徴収方法について紹介する。

自分自身で住民税を納付する「普通徴収」
個人事業主やフリーランスの方の納付方法を「普通徴収」という。年4回(6月、8月、10月、翌1月)に分けて支払うことになる。

会社などの事業者が従業員から徴収した税額を納税する「特別徴収」
会社員の場合は会社がまとめて住民税を納付する「特別徴収」が一般的だ。特別徴収の場合は毎月の給与から天引きされ、まとめて会社が納税する。

退職した時の支払い方法は退社のタイミングによって変わる
退職時に次の勤務先が決まっている場合は、新しい勤務先に申し出て特別徴収を受けることができる。特別徴収にしない場合は、退職のタイミングで徴収方法が変わる。
・1月1日〜5月31日に退職した場合
この期間に退職した場合は一括徴収が原則となる。退職日から5月までの住民税を、退職月の給与や退職金から事業者が一括して徴収して納付する。

・6月1日〜12月31日の退職した場合
上記の期間に退職した場合は普通徴収となり、居住地に送付された納付書を利用して住民税を支払う。しかし、退職する勤務先に一括徴収を申し出て、翌5月までの住民税を一括徴収してもらうことも可能だ。

個人住民税に関する詳しい内容は下記リンクにて解説している。参考にしてほしい。
おさえておきたい!人事・労務の基礎知識Vol.2 個人住民税の特別徴収の手続きの流れとケース別の対応

特別徴収に係る個人住民税の計算方法

個人住民税の計算方法を紹介する。

総所得金額を算出する
まずは年間(1月1日〜12月31日)の収入から経費や控除額を差し引いた額である総所得金額を算出する。給与所得者は源泉徴収票から給与所得の額が分かる。確定申告をした人であれば、合計所得金額が該当する。

所得控除をする
住民税の計算では所得控除が認められているため、以下の項目を控除する

・基礎控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・医療費控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・寡婦控除
・障害者控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・雑損控除

課税所得を算出し、所得割を計算
上記の所得控除額を総所得から引いて課税所得額を割り出し、所得割を算出する。計算式は以下の通りだ。

課税所得額×税率(10%) = 税額控除前の所得割額

税額を控除する
上記の税額控除前の所得割額からさらに、税額控除を差し引く。対象となる税額控除は以下のようなものとなる。

・住宅借入金等特別税額控除
・寄附金税額控除
・配当控除
・外国税額控除
・配当割額及び株式譲渡所得割額の控除
・調整控除

均等割の加算
税額控除後の所得割に均等割額を加算する。これは都道府県、市町村の2種類があり、地域ごとに金額が異なる。居住地の均等割の金額を確認して加算した合計額が住民税額となる。住民税額を特別徴収であれば12に分割し、普通徴収の場合は4分割にして納める。

特別徴収税額の納付時期と納付方法

企業が特別徴収税額を納付する時期と納付方法について解説する

特別徴収税額決定通知書に同封された納入書で毎月納付する
毎年5月31日までに届く「特別徴収税額決定通知書」に納入書が同封されており、月額割が印字されている。この納入書を利用して毎月納付する。

取扱金融機関へ持ち込むか、e LTAXやインターネットバンキングで納税する
納付は金融機関のほか、eLTAX(地方税ポータルシステム:エルタックス)でインターネットバンキングからも行える。

特定の小規模事業者には納付期限の特例がある

特別徴収税額の納付は年12回に分けて行うとされており、毎月10日が納付期限だ。しかし給与の支払いを受ける人が常時10人未満の事業者においては年2回にまとめて納入できる制度がある。事前申請が必要なため、市役所等に確認してほしい。

手間のかかる個人住民税の特別徴収は給与計算システムに組み込むと業務効率がアップする

住民税額は毎年のように変更されるため、その度に給与計算に反映させる必要があり、給与計算の担当者にとって負担となる。従業員数が多ければ多いほど、負担は大きくミスへとつながる危険性も。給与計算システムの多くは簡便に変更が可能で、業務効率のアップとミスの軽減が両立する。ここではおすすめの給与計算システムを紹介する。

freee人事労務
住民税額の更新が一括でできる機能を搭載したfreee人事労務。住民税額を更新するだけで毎月の控除は自動ででき、給与明細の作成もシステムにお任せ。新年度の住民税計算用に作成する給与支払報告書の作成も簡単で、市区町村ごとにまとめて印刷できる上に郵送先の窓口の宛先ラベルまで自動出力が可能。住民税にかかる作業が劇的に楽になるだろう。
https://www.freee.co.jp/hr/resident-tax/

ジョブカン給与計算
従業員情報の「住民税額月別設定」に新年度の住民税額を登録することで毎月の給与明細で控除してくれるジョブカン。CSVインポートにも個別登録にも対応しているため、柔軟な登録方法が選択できる。給与支払報告書に関しても作成・出力可能だ。
https://payroll.jobcan.ne.jp/

マネーフォワード クラウド給与
従業員情報から住民税納付額をCSVのインポートで一括でも登録できるマネーフォワード クラウド給与。eLTAXから出力したデータのインポートも可能だ。さらに住民税振込用のFBデータが出力できる点も大きな魅力だろう。
https://biz.moneyforward.com/payroll/

まとめ

住民税は毎年必ず設定する必要があり、給与計算担当者にとっては大きな負担となる作業だ。業務負担を軽減し、ミスを減らすために給与計算システムの活用は有効な手段といえる。ぜひ導入を検討してほしい。