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労使合意の証である雇用契約。雇用契約書を電子化するメリットやおすすめサービスを紹介

2022.12.01
オフィスのミカタ編集部

雇用主と労働者の双方が労使合意をしたことを証明する雇用契約は、入社する新入社員と交わすべき契約のひとつ。雇用契約書に関しては法的に作成義務があるわけではないが、作成することで労使トラブルの際に書面を基に話し合いをすることができるため、できる限り作成したい。

ここでは雇用契約の定義や雇用契約書の電子化へのメリット、電子化を推進するために活用したいツールについて紹介する。

雇用契約とは労働者を守るために交わす契約

雇用契約の定義を、民法をもとに解説する。また、業務委託契約との違いについても見ていこう。

民法623条に定義された労働供給契約のひとつ
雇用契約の定義については民法第623条に記されており、「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」とある(参照:民法|e-GOV法令検索「第八節 雇用における(雇用)第六百二十三条」)。

労働契約が認められた労働者は、労働基準法により雇用者からさまざまな保護を受けることができる。つまり、雇用契約を結ぶことで、労働者は法律のもとで守られるということになる。

雇用契約を交わした労働者に対し企業には保護義務あり
前述した通り、雇用契約を結ぶことで雇用者は労働者に対して保護を与える義務が生じる。具体的には
・労働保険(雇用保険、労働災害保険)や社会保険(厚生年金、健康保険)の加入
・年次有給休暇
・残業代の規制
・雇用者の一方的な都合による、労働者に不利益な雇用条件の変更を禁止する「雇用条件の不利益変更の禁止」
・雇用者の一方的な都合による解雇を禁止する「解雇権濫用法理」
といった義務だ。

保険加入や有給休暇に関しては一定の労働条件や付与要件を満たした場合に発生するが、それ以外は正社員だけでなく、契約社員やアルバイト、パートであっても同様の権利を持つ。

業務委託契約(請負契約・委任契約)との違い
民法には雇用契約のほかに、「請負契約」「準委任契約」といった業務委託契約がある。業務委託契約と雇用契約との違いは、主従関係の有無にある。雇用契約には雇用主、労働者という明確な主従関係があるが、業務委託契約は独立した事業者間の契約とみなされる。したがって、労働者ではないとの判断から労働基準法や労働契約法などの保護を受けることができない。

雇用契約書を電子化する企業が増加している背景

雇用契約に関する書面「雇用契約書」の交付は法律で義務付けられているわけではない。しかし労働条件などを書面で記し、双方が署名・捺印をしておいた方が、後々トラブルなどが発生したときなどの対処に役立つのでぜひ作成してほしい。従来は紙での交付が主流だったが、2019年4月1日の労働基準法の改正により、一気に契約書の電子化の流れが加速した。

また、リモートワークをはじめとする働き方の多様化が増加していることから、企業・労働者双方にとってオンラインでの雇用契約書の取り交わしが、負担が少なくスピーディに行えるという利点も後押ししたと言える。

下記記事では、雇用契約の電子化に関する詳しい内容を解説している。ぜひ参考にしてほしい。
雇用契約の電子化。雇用契約書・労働条件通知書の電子契約の効率的な進め方を解説

労使合意を証明する雇用契約書を電子化するメリット

雇用契約書を電子化することのメリットを見てみよう。

採用業務や契約管理の効率化が進む
紙による雇用契約書の管理をしている場合、採用業務や契約更新時などに、毎回印刷をして押印をしてという作業が発生する。しかし、電子化してしまえばすべての工程をオンラインで進めることができ、業務の効率化を図ることができる。

契約書の作成や印刷代、保管に係るコストカットが叶う
契約書を作成すると、印刷代やインク代のほか、保管に際してファイル代・キャビネット代、場所代がかかる。電子化により、これらすべてのコストをカットできる。

リモートワークでの人事採用が可能になる
紙での雇用契約書作成の場合、押印作業があるため出社が必要となるが、オンラインで全てが完結すれば在宅で雇用契約書の作成から契約の進行まで進めることが可能となる。

電子契約に特化したサービス

電子契約に特化したおすすめのサービスを紹介する。

クラウドサイン
国内で導入社数130万社以上、累計契約送信件数が1000万件超の「クラウドサイン」。弁護士がサービス全体を監修し、電子署名として初めて認められたことから認知度が高い電子契約サービスだ。官公庁や金融機関も利用しており、高セキュリティが魅力のひとつ。雇用契約書だけでなく、さまざまな契約書の作成を支援してくれる。
https://www.cloudsign.jp/

DocuSign
世界180カ国以上で100万社以上、10億人以上のユーザーが利用している「ドキュサイン」。44の言語での署名が可能で、グローバル企業での利用率が高いのが特徴だ。400を超えるアプリと連携が可能で、普段使っているツールを変えることなくサービスを利用できる。
https://www.docusign.jp/

BtoBプラットフォーム 契約書
シリーズ累計75万社の導入実績があり、豊富な機能を持つ「BtoBプラットフォーム 契約書」。契約書のアップロード、契約締結依頼、契約締結の簡単3ステップで契約業務が完了するため、大幅な業務効率の改善が可能だ。取引先は利用が無料なのも大きなポイントになる。
https://www.infomart.co.jp/contract/index.asp

GMOサイン
自治体でも採用されている「GMOサイン」は、送信料が1件あたり110円と他社と比べて安く設定されていることもあり、導入企業が140万社を突破。部外秘の文書も安心して保管できる機能を有し、電子帳簿保存法にも準拠していて安心な文書作成が可能だ。
https://www.gmosign.com/

マネーフォワードクラウド契約
契約送信数や保管数による従量課金がなく、無制限で利用できる「マネーフォワードクラウド契約」。契約送信も無料なので、毎月の契約書作成が多い企業にとって有用なサービスといえる。
https://biz.moneyforward.com/contract/

雇用契約だけでなく人事・労務手続き全般をサポートするツール

雇用契約など、契約に関わるサービスだけでなく、人事・労務手続きを網羅的にサポートしてくれるツールを紹介する。

ジンジャー
勤怠管理や人事・労務管理、経理業務など、さまざまなバックオフィス業務を効率化し、データの活用までをサポートする「ジンジャー」。雇用契約オプションを使うと入社前の従業員の情報収集から書類の作成まで、従業員の入社手続きに関するペーパーレス化を推進できる。
https://hcm-jinjer.com/employmentcontract/

SmartHR
人事・労務の業務効率化をサポートする「SmartHR」は、5万社以上の登録社数を誇るツール。人事データを一括管理した上で、溜まったデータを使って人材育成や離職防止など人材マネジメントの組織改善が叶う。
https://smarthr.jp/

オフィスステーション労務
情報の一元管理とペーパーレス化を推進する「オフィスステーション労務」は、利用社数2万社以上、継続率99.3%と満足度の高いサービスを提供している。雇用契約などの入社手続きがオンラインで完結でき、業務におけるミスの抑制と業務効率化を実現できる。
https://www.officestation.jp/roumu/

freee人事労務
雇用契約書のほか、社会保険の書類作成などの入社手続きをペーパーレス化し、人事業務を大幅に削減できる「freee人事労務」。弁護士が作成したテンプレートがあるため、必要な情報を入力するだけで簡単に書類作成ができるのもポイントだ。
https://www.freee.co.jp/hr/features/joining-leaving/

まとめ

雇用契約は新入社員が入社するたびに交わすべき事項だが、書面にする義務はない。しかし、労使トラブルを回避するためには書面の交付が欠かせない。人事業務の効率化を推進するために雇用契約書の電子化を進め、業務をスリム化しつつトラブル回避に努めてほしい。そのために、人事・労務関連ツールの活用を検討してほしい。