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契約書審査とは。重要性と審査の流れ、確認すべきポイントを解説

2023.02.16
オフィスのミカタ編集部

契約書審査とは、自社が締結する契約書について内容を審査する業務である。自社を契約トラブルから守り、リスクを最小限に抑えるために重要で、企業では法務部門が行うことが多い。この記事では、契約書審査が必要な理由や審査の流れ、契約書審査において確認すべきポイントを解説する。自社で契約書審査を行う際の参考にしてほしい。

目次

●契約書審査とは
●契約書審査が必要な理由
●契約書審査の流れ
●契約書審査時に確認すべきポイント
●まとめ

契約書審査とは

契約書審査とは、契約書の記載内容について、さまざまな視点で確認を行うことを指す。契約の当事者双方にとって合理的な内容となるように、必要に応じて加筆修正を行う重要な業務だ。法令遵守のため、法律の知識を持つ法務担当者が行うケースが多い。

(関連記事:『法務とは?業務内容や必要なスキルを紹介』

そもそも契約書とは何か
「契約書」とは、相手方との取引内容を文書にしたもの。ビジネスシーンにおいては、顧客や取引先との取引の際に交わされる。法律では、特別な場合を除き、契約時に契約書の作成は必ずしも必要ではないが、企業においては、契約内容の確認と契約成立の証拠として契約書を作成するのが一般的だ。

契約書審査とは、契約内容を確認すること
契約書審査とは、締結前の契約書について、その内容を審査する業務である。法令に違反していないか、自社が不利なビジネスにならないか、わかりやすい文面かなど、さまざまな角度から契約内容をチェックして、リスクが最小限になるように調整する。法務担当者が行う以外に、外部の弁護士にリーガルチェックを依頼する、法務業務のアウトソーシングサービスを利用することも可能だ。

(関連記事:『法務業務のアウトソーシングとは。切り出せる業務や得られるメリット、注意点などを解説!』

契約書審査が必要な理由

契約書審査が必要な理由として、主に以下の4つが挙げられる。

自社に不利な契約による損失を防ぐ
自社に不利な契約の締結を未然に防げれば、損失を回避できる。特に相手方が提示した契約書について、自社にとってどのようなリスクがあるのかを洗い出し、自社に不利益な条項の修正・削除を求めることで、損失を防ぐことが可能だ。

認識の齟齬や誤解によるトラブルを防ぐ
双方の認識に齟齬や誤解があると、契約後にトラブルに発展しかねない。契約書審査の段階ですり合わせを行うことで、契約後の取引を安全かつスムーズに進めることが可能になる。齟齬や誤解に気付かずに契約を進めると、追加費用の発生や損害賠償の責を負うなどの恐れがあるため、慎重な審査が必要だ。

契約の有効性・合法性を保つ
契約書審査を行うことで、契約の有効性・合法性を確保できる。必要条項に漏れがないか、契約成立を立証できる体裁が整っているか、違法になっていないかなどを、契約書審査によって確認しよう。

想定されるトラブルを回避する
契約書の内容によっては、トラブルの発生が予見できることがある。例えば、契約の一方だけに有利、業界の商慣習と合っていない、会社方針と乖離しているなどがあれば、契約の実行は難しい。契約書審査で契約内容を調整することで、トラブルを回避または損害を軽減することができる。

契約書審査の流れ

契約書審査は、一般的に以下のような流れで行う。契約書には、自社で作成した契約書と取引の相手方が作成した契約書の2種類があるが、いずれの場合も同じ流れだ。

審査の受付
初めに、自社の営業職などの現場担当から、法務担当が契約書審査の依頼を受ける。受付を終えたら、予定している取引の内容や自社のニーズを確認するために、場合によっては現場の担当部署にヒアリングを実施しよう。契約書の審査が多い企業では、受付方法を決めておくと業務負担軽減につながる。

問題点の洗い出し
契約書の内容について、問題点の洗い出しを行う。誤字脱字などのミスのほか、疑問点や不明点の有無を確認し、自社にとってリスクとなり得るものや認識の齟齬が生じる可能性のある表現などを抽出しよう。法務担当者だけでは判断できない部分があれば、現場の担当者と認識を合わせていく。契約内容に応じて適用される法令が異なるため、関連法規も十分に確認する。

修正案作成とフィードバック
修正案を作成して、現場担当にフィードバックする。法的な知識がない人でも理解しやすいように、わかりやすい表現で修正することが重要だ。相手方に交渉が必要な修正部分は、修正が必要な理由も伝えることで、担当部署が相手方に説明しやすくなる。

修正内容の最終確認
修正案が完成したら、最終的な確認を行おう。契約書の修正は相手方との関係性に影響を及ぼすため、相手方も理解しやすい体裁と相手方にも受け入れやすい内容であることが重要だ。

契約書審査時に確認すべきポイント

契約書審査で確認すべき主なポイントは、以下のとおりだ。

形式の確認
契約書の形式は確認すべきポイントである。契約書のタイトル、契約の当事者名、契約締結日、印紙や割印のほか、日付のズレなども確認しよう。契約書のひな形や過去の事例と異なる部分があれば、追加・変更された部分について、新たな視点での審査を行う必要がある。

条項の正しい理解
契約書の目的を達成できる条項となっているか、条項について正しい理解が重要だ。取引内容に応じた条項か、トラブルを想定した条項が記載されているか、抜けや漏れがないかなどを確認しよう。法律の改正によって、契約書の条項について旧法と新法で相違がある場合は、新法を適用するかどうかの検討も必要だ。

まとめ

契約書審査は、自社に不利益な条項や不備を見極めてリスクを回避する、リスクマネジメントの役割がある。審査の担当者には専門知識と契約を理解する能力などが求められるが、契約書審査を支援するツールの利用や、外部の弁護士事務所や契約書審査サービスに審査を依頼することも可能だ。契約書を交わすことの多い企業は、自社の利益を守るために契約書審査の導入を検討してみてほしい。