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企業の56%で賃上げ見込むも、中小の厳しさ浮き彫りに【企業の2023年度賃金動向意識調査】

2023.02.17

政府は、賃上げと労働移動の円滑化、人への投資という3つの課題の一体的改革を進めている。とりわけ、昨今の物価高騰から企業へ従業員に対する賃上げ協力を求めており、賃金改善の動向が大きく注目される。そこで帝国データバンクは2023年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2023年1月調査とともに行ったもの。なお、賃金に関する調査は2006年1月以降、毎年1月に実施し、今回で18回目。

調査概要

調査期間:2023年1月18日~1月31日
調査対象:全国2万7,362社
有効回答企業数:1万1,719社(回答率42.8%)
調査主体:帝国データバンク
※出典:「景気動向オンライン」

2023年度、企業の56.5%で賃金改善見込み

2023年度、企業の56.5%で賃金改善見込み

2023年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は56.5%と2年連続で増加、2018年度見込み(2018年1月調査)と並び過去最高水準となった。一方、「ない」と回答した企業は17.3%と前回調査(19.5%)から2.2ポイント低下、調査開始以降で最も低い水準だった。

賃金改善の理由、「物価動向」が急増

賃金改善の理由、「物価動向」が急増

2023年度に賃金改善が「ある」と回答した企業に、その理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が71.9%(複数回答、以下同)と最も多かった。また、今回調査で初めて尋ねた「従業員の生活を支えるため」は70.1%と7割を超え、トップに迫る水準となった。さらに、飲食料品などの値上げが続いている「物価動向」(57.5%)は前回より35.7ポイント増加しており、2015年度(23.8%)を大きく上回る過去最高水準に達した。

総人件費は平均3.99%増加見込み

総人件費は平均3.99%増加見込み

2023年度の自社の総人件費が2022年度と比較してどの程度変動すると見込むかを尋ねたところ、「増加」を見込んでいる企業は、69.6%と前年比で2.5ポイント増加していた。一方、「減少」すると見込む企業は5.8%(前年比2.9ポイント減)となった。その結果、総人件費の増加率は前年度から平均3.99%増加すると見込まれる。

まとめ

賃金改善が「ある」と見込む理由では、依然として「労働力の定着・確保」が最も多く、「従業員の生活を支えるため」に行うという企業も7割にのぼる。企業の人手不足感が新型コロナ禍以前の水準まで高まり、物価高が進行するなか、賃金改善の動向は今後の経済を見通す上でより重要な要素となっていると言えるだろう。