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フリーアドレスは本当に効果があるのか? ビジネスメタバース提供のoViceの見解は?

2023.11.01
オフィスのミカタ編集部

総務省行政管理局では、シームレスな働き方を目指し、テレワークの活用やフリーアドレスの活用などのオフィス改革が行われている。アバターを使い交流する2次元のビジネスメタバース「ovice」を提供するoVice株式会社が2023年に実施した調査では、7割以上の企業がコロナ禍以降にフリーアドレスを導入していることが明らかとなった。一方で、同調査において「フリーアドレス導入により、各種効果を実感している社員は4割未満」という結果も出ている。フリーアドレスは本当に効果があるのか、課題はどこにあるのか、oVice株式会社に取材した。

フリーアドレス導入の現状

同社が実施したフリーアドレスに関する調査によると、多くの企業が導入の目的を「オフィススペースの有効活用」や「コミュニケーションの活性化」と回答。コロナ禍以降に導入した企業が7割を超えていることも明らかになった。

同社広報の薬袋(ミナイ)氏は、調査実施の背景について 「新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後も、多くの企業が働き方改革に取り組んでいます。弊社サービス導入に関して問い合わせをしてくださった企業の方にお話を伺うと、働き方改革の一環として同時に『フリーアドレス導入』に取り組まれている企業も多かったことから、そこにはリモートワークとオフィスへの出社が混在する昨今の働き方ならではの課題があるのではないかと考え、調査を行いました」としている。

実際に調査では「フリーアドレス導入により効果があったと感じること」についても尋ねており、「オフィススペースの有効活用」が38.8%、「コミュニケーションの活性化」が31.1%、「社員一人ひとりの自律的な働き方の促進」が24.3%という回答となり、効果が「特にない」と感じている社員が2割以上いることがわかった。

働き方改革により浮かび上がるフリーアドレスの新たな課題

調査結果からはフリーアドレスが浸透している様子が伺えるが、前述した通り各種効果を実感している社員は4割未満である。企業は本来の効果を得られていると考えていいのだろうか。薬袋氏は 「フリーアドレスの効果を図るとき次の2つの視点が必要だと考えました。企業として得られる定量的な効果と、働き手(=人)が感じる定性的な効果。定量的には経費面を中心に各種の効果を得られるため導入が広がっていることと考えます。一方、働く人が効果を実感するのは各項目でいずれも4割に満たないという結果がでたことで、定性面ではまだまだ課題があることが浮き彫りになったといえます」と述べた。

働き手がフリーアドレスの効果を感じていない理由として、出社とリモートワークを併用する働き方「ハイブリッドワーク」に対してフリーアドレスを機能させる制度や機能が整っていないからではないかと薬袋氏。

新型コロナウイルス感染症拡大前の生活様式に戻りつつある今、出社とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を導入する企業が増えてきている。このハイブリッドワークとフリーアドレスをかけ合わせることで、以下の問題点があげられているという。

①社員がそもそもオフィスに出社しているのか、リモートワークなのか
②オフィスにいる場合どこにいるのか
③出社する場合、そもそも席があるか分からない

ハイブリッドワークが増えてきたからこそ、全員がオフィスに出社し着席する機会がないと想定し設計されたオフィスも少なくないだろう。経費の面では削減されているが、固定席がないために社内の居場所確認と出社判断に手間がかかり、フリーアドレスの効果を実感するにはまだまだ課題があるようだ。

まとめ

フリーアドレスの導入は、企業として定量的な効果が得られているものの、働き手の効果としては課題があることが分かった。

フリーアドレスを有効的に活用していくにはどうすればいいのだろうか。薬袋氏は 「オフィス出社とリモートワークが混在する環境において、どこにいても、いつでも、誰とでもコミュニケーションを取ることができるサービスの導入やルール作りが必要だと感じています。それによって、組織の生産性が向上するとともに、物理的に離れた場所(国内外問わず)からも優秀な人材を採用でき、多様な人材の集まる強いチームを作ることができると考えています」と語った。