オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

APIとは? メリット・デメリットや連携サービスを紹介

2020.11.24

 企業におけるデジタル化・クラウド化が推進されている昨今、「API」を活用したサービスが増加している。APIの利用方法やメリット・デメリットを把握し、企業内のさまざまな業務に活用したいと考える担当者もいるのではないだろうか。

 今回は、APIの概要や活用例、メリット・デメリット、サービス会社が提供しているAPI連携サービスの具体例を紹介する。それぞれのポイントを抑え、自社のサービスや機能の充実に役立ててほしい。

目次

●APIとは
●APIのメリット
●APIのデメリット
●サービス会社が提供しているAPI連携サービスの具体例
●まとめ

APIとは

 APIは「Application Programing Interface」の頭文字を取った略語で、「アプリケーションとプログラムをつなぐもの」を意味する。まずは、APIの概要と活用例を見ていこう。

APIの概要
 APIとは、アプリやソフトウェア同士をAPI機能を利用して連携させる仕組みのことだ。ソフトウェアの一部を外部に向けて公開することで、他のアプリケーションと機能を共有したり拡張したりすることが可能となる。

 APIには複数の種類が存在するが、Web上に公開されている「Web API」を指すことが一般的だ。クラウド同士のデータを連携させることで、外部のWebアプリケーション機能や情報を自社のアプリケーションでも使用できるようになる。Web APIは利用者を問わず無料で使用できるものが多いため、現在多くのサービスに活用されている。

APIの活用例
 APIを活用したサービスには以下のような例が挙げられる。APIには多種多様な機能があるため、ソフトフェアやプログラムの組み合わせによりさまざまなサービスの提供が可能となる。

・会員専用ページのあるWebサイトに会員登録をする際、ログイン認証にSNSのアカウント
 を利用する
・自社のホームページに検索エンジンの地図を挿入する
・異なるソフトウェアやサービス間でチャット機能を共有する
・商品紹介ページのレビュー欄に通販サイトやSNSの評価コメントを表示する
・ナビゲーションアプリで現在地情報を利用する
・あるプログラムから数値やデータを取り込み、別のプログラムでそのデータを解析する
・あるSNSへの投稿を別のSNSにも自動で投稿する

APIのメリット

 APIを利用することにより、業務や対外サービスにおけるさまざまな効果が期待されている。ここでは、企業がAPIを活用するメリットを紹介する。

利便性・生産性の向上
 APIのメリットは、連携によって利便性や生産性が向上することだ。勤怠データと給与システム、売上データと販売管理システムなど、システム間の自動連携によって入力作業が自動化されれば、業務の効率化や作業の省略化が可能となる。人の手を介することによるミスも防げるため、確実な作業や信頼できるサービスの提供を行うことができるだろう。

開発コストの削減
 APIを用いて既存プログラムを利用すると、自社で一からプログラムを開発したり組み上げる必要がない。そのため、システムやプログラムの開発コストを抑えながら、効率化を図ることができる。短縮できた開発時間を他の業務や工程に利用することも可能だ。外部サービスの利用により、簡単に機能拡張と多様なサービスの提供ができることは、企業にとって大きなメリットになると言えるだろう。

セキュリティ・顧客満足度の向上
 セキュリティや顧客満足度が向上することもAPI導入のメリットだと言える。例えば、会員登録やログインの際のSNS認証で考えてみよう。この際、自社開発のシステムよりも既存のセキュリティレベルが高いシステムを導入する方が、ユーザーの安心感や信頼度が上がると考えられる。また、ユーザーが新たな登録をする必要がないため、顧客満足度の向上や、より多くのユーザー獲得の効果が期待できるだろう。

手続きの電子化が可能に
 APIは行政サービスにも活用されており、政府は2018年に「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を策定した。この中では、デジタル技術を活用した行政サービス改革の断行、地方のデジタル改革、民間部門のデジタル改革を掲げている。

 例えば、APIを利用してe-Gov(電子政府)やe-Tax(電子申告)に対応したシステムを使用すれば、従業員データなどを基にした書類の作成や手続きをオンライン化することが可能だ。書類作成や窓口に出向く時間を大幅に削減でき、業務効率が飛躍的に上がるだろう。

APIのデメリット

 APIにはさまざまなメリットがある一方で、課題も存在する。ここでは、APIを導入する際に生じる可能性のあるデメリットをについて確認しよう。

仕様変更などで不具合が生じる可能性がある
 APIのデメリットは、APIを提供している企業が機能や仕様の変更、提供を停止した際に、自社のサービスやシステムに不具合が生じる可能性があることだ。特に提供会社の機能やサービスに頼りすぎるシステムでは、ユーザーに適切なサービスを提供できないリスクが高まる。顧客に対するAPIサービスの提供は、リスクを把握した上で依存しすぎず、自社サービスを充実させるための補完機能として考える必要があるだろう。

サーバーに障害が発生すると利用できない
 API連携をしているサービスでサーバーに何らかの障害が発生した場合、自社サービスが利用できなくなったり、連携に失敗してデータが正確に取得できなかったりする可能性もある。サーバーの障害はAPIの過剰リクエストによって連携に問題が生じるケースや、悪徳業者による不正アクセスなどのケースがあり、さまざまな事態の想定と対応策を検討しておくことも重要だ。

サービス会社が提供しているAPI連携サービスの具体例

 各サービス会社では、APIを用いて多種多様な連携サービスを提供している。ここでは、各企業が提供している具体的なAPIサービスを紹介する。

freee
 会計や労務管理に特化した基幹業務システム「freee」では、APIを用いてさまざまな機能を公開している。典型的な例として「POSレジによるデータ入力」「Excel、Googleスプレッドシートによるデータ入力」「CRMシステムによるデータの同期」「帳票作成システムへのデータ出力」などが挙げられている。また、開発者コミュニティを運営し、freeeからの情報発信の他、freeeへの開発リクエスト、APIに関する開発サポートも行っているそうだ。

参照:請求〜入金取消を自動化! 「V-ONEクラウド」と「会計freee」がAPI連携を開始
参照:出張関連業務の効率化を実現 「マイナビBTM」と「会計freee」がAPI連携を開始

奉行クラウド
 基幹業務システムを備える「奉行クラウド」は、APIを用いた自動連携によってデータ入力や取り込み作業が自動化できるサービスを提供している。公開されているサービスは「会計・税務」「人事・労務」「販売管理」のカテゴリー別に分けられ、「経費精算」「電子請求」「安否確認」「人材管理」など30以上あるものの中から自社のニーズに即したものを相談・選択することができる。

参照:『奉行クラウド自動実行エージェント』発売!バックオフィスもリモートしたい方に

Chatwork
 ビジネスチャットを提供する「Chatwork」では、APIを活用することにより以下のような連携が可能になるとしている。また、Web会議システム「Zoom」と連携したことにより、双方を起動させることなくChatworkからZoomのミーティングに参加できるようになった。

・自分宛てのメールを受信したらChatwork上にメッセージを流す
・サーバーのエラーを検知したら関係者にタスクを振る
・カレンダーに予定が追加されたらChatworkでタスクを振る

参照:テレワークを円滑に!Chatworkが「Zoom」と連携開始

まとめ

 APIは幅広い可能性を秘めており、企業やサービスの利用者にとってさまざまな価値を生み出すものとなっている。APIのメリットやデメリットを把握しつつ、自社業務の効率化やサービスの拡充が見込めるシステムや機能の連携を検討してみてはいかがだろうか。

<PR>