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【人的資本理論の実証化研究会】「人的資本の投資対効果」開示レーティングを実施

2023.09.05

一橋大学大学院 小野浩教授と、一橋大学大学院 特任教授 兼 Institution for a Global Society 株式会社 代表取締役社長 福原正大が、共同座長を務める「人的資本理論の実証化研究会」は、日経225銘柄における2023年3月期を決算期とする185社を対象に、有価証券報告書における「人的資本の投資対効果」の開示に関するレーティング(格付け)を実施し、上位50社の社名・結果を発表した。本レーティングは、本研究会の「人的資本」の捉え方に基づき、現在の有価証券報告書において義務化されていない指標である、①人的資本の投資対効果の評価、②人的資本投資の対象の明示有無の2点を、評価のポイントとしている。

レーティング結果

レーティング結果

185社の平均は、合計スコアが4.13点(10点満点)、①スコアが2.17点(5点満点)、②スコアが1.96点(5点満点)となった。有価証券報告書に記載が必ずしも要求されていない、人的投資の「戦略」と「指標及び目標」についてどこまで記載すべきなのか、多くの企業が頭を悩ませている印象が見受けられる。他方で、明確に人的資本投資の戦略として人材の能力について開示し、経営戦略に必要な人的資本(=能力)を言語化して目標を設定している企業もあった。

スコア①「人的資本投資への評価指標」のトップはエーザイ(5点満点中5.5点)。また、スコア②「人的資本投資対象の明示」のトップは、双日、コニカミノルタ、NTTデータグループ、富士通、千葉銀行、富士フイルムホールディングス、日本製鉄の7社(5点満点中4点、株式コード順)となった。

上位50社の結果レポートはこちら

*同じ順位の企業は、株式コード順

人的資本理論の実証化研究会 概要

2023年3月期決算から義務化される「人的資本の情報開示」に向けて、多様な人的資本の指標に関する議論が行われている。本研究会は、日本企業がこれらの開示にとどまらず、「そもそも人的資本が企業価値にどれだけ寄与するものか(人的資本の投資対効果)」を明らかにすることで、経営者へデータに基づいた人材施策の投資判断を促し、かつ投資家への戦略的な情報開示を実現するために発足した。2023年度は32社の企業が参画している。(2023年8月末時点)

本研究会では、ゲーリー・ベッカー氏のもと学んだ小野教授の人的資本理論に基づきながら、人材能力データ・財務データ等を含めた企業の実データを分析し、研究を進めている。

まとめ

『人的資本の投資対効果』開示レーティング~有価証券報告書 日経225版(2023年3月期決算企業)~が発表された。人的資本経営の参考にしていただきたい。