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倒産増加率が30年ぶりの高水準|企業、個人とも「自己防衛」の時代に【TSRデータインサイト】

2024.01.05

東京商工リサーチは12月に実施したアンケートにて、2024年は自社業界の倒産が「増える」と回答した企業が56.7%に達したことを明かした。一方で「減る」とした回答はわずか3.7%で、企業の警戒感は高まっていることが明らかになっている。倒産が「増える」と回答した業種上位は、2024年問題を控える「道路貨物運送業」で85.5%、出版や広告制作など「映像・音声・文字情報制作業」と、コスト増が続く「農業」がそれぞれ83.3%と続く。

倒産への危機意識が必要な時代に

2023年はコロナ支援の反動や物価高、人手不足などで倒産が急増した。増加率(前年比)はバブル崩壊後の1993年以降では最大だ。抑制傾向が続き、緩慢になっていた倒産への危機意識が必要な時代に突入した。

2023年1月から11月までの負債1000万円以上の倒産は7880件に達した。すでにコロナ禍の2020年(7773件)2021年(6030件)2022年(6428件)の各年の年間件数を超えた。集計中の12月を含めると、2023年は8000件台半ばを超える勢いで、前年比30%増となる可能性もある。2008年(リーマン・ショック)11.0%増、2000年(ITバブル崩壊)22.2%増だった前年比をはるかに超える勢いだ。

焦付の増加により与信調査を徹底する動き

東京商工リサーチによれば、ある専門商社では審査部門を久しぶりに増員。焦付の増加で与信調査の徹底が上層部から命じられたという。冬の時代が続いた審査部門の強化を急ぐ企業が増えているようだ。また「2023年は倒産が増えて取引を断るケースが増えた」とするリース会社審査担当者の声も。金利引き上げ交渉も始まったが、若い担当者は経験がなく初の経験に苦戦しているという。

消費者向けサービスを提供する企業の倒産も目立つ。会員債権者が約10万人に及ぶ脱毛サロン「銀座カラー」運営会社は12月15日に破産。同月には歯科医院も破産し、治療中の患者約2,600名が被害を受けた。

倒産は2001年の1万9146件と比較するとまだ半数にとどまるが、倒産にカウントされない廃業も高水準で、私的整理の枠組みが整いつつある。自社(自分)とかかわりのある企業が事業を辞めたり、債務整理に着手する可能性が高まっていると言えるだろう。

まとめ

こうした状況を受け、企業も個人も企業の経営状況への「防衛力」を向上させる取り組みが必須と言えるだろう。バックオフィス担当者は自社の発展を目指し、経済状況を正しく把握しておくことが必要だ。中小企業庁では東京商工リサーチの調査結果を、負債総額、資本金別、業種別、原因別で倒産状況を取りまとめている。併せて参考にしていただきたい。

参考:中小企業庁【倒産の状況】