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配属先告知の遅さが内定承諾保留、内定辞退の増加に? 24卒生の配属ガチャに関する意識調査

2024.03.19

キャムコムグループの株式会社インタツアー(本社:東京都港区浜松町、代表取締役:作馬誠大)は、24卒学生を対象とした調査「『配属ガチャ』についての意識調査」の結果を発表した。ここでは調査結果の概要を紹介する。

調査実施の背景

24卒採用はそれ以前と変わらず売り手市場であり、早期化もますます加速している。そんな中、同社は「配属先を自分で選びたい」という学生のニーズが高まっていることに着目。日本企業の多くは新卒採用において、入社後に配属先を決めるメンバーシップ型雇用を行っているが、学生の間では、いわゆる「配属ガチャ」を忌避する傾向が強まっているのだという。同社は、最新の就活動向では「希望の職種に就けること」や「ワークライフバランスを実現できること」が入社企業を選ぶ重要な判断軸となっているとして「配属ガチャ」に関する調査を実施。就活がほぼ終わった24卒学生を対象として、勤務地や職種などの配属に関わる条件、配属先の告知を受けた時期、それらが内定承諾や辞退に与えた影響などを聞き、データにまとめた。

調査概要

調査概要

『24卒対象「配属ガチャ」についての意識調査』
調査機関:株式会社インタツアー
調査対象者:24卒大学生
調査母数:6903名(文系学生6265名、理系学生638名)
回答数:232名
調査方法:『インタツアー』マイページまたはSNS経由によるWebアンケート
調査期間:2024年1月22日~2024年1月31日
出典元:「配属先が選べないからエントリーしなかった」24卒生は48.7%!?「配属ガチャ」についての意識調査-資料ダウンロード(株式会社インタツアー)

配属先で重視するポイント「勤務地」がトップ

配属先で重視するポイント「勤務地」がトップ

本調査ではまず、配属先について重視するポイントを「勤務地」「職種・部署」「特に気にしない」の3択で聞いている。その結果、64.2%の24卒生が「勤務地」を選択しており『配属ガチャ』の要因としては勤務地が大きな位置を占めていることが明らかになった。「職種・部署」は24.6%で「特に気にしなかった」学生も11.2%となった。

続いて同社は、希望する勤務地がある場合に、その希望の理由について質問。最も多い回答は「実家があるから(27.2%)」で、次いで「今住んでいる場所に近いから(26.3%)」「友人がたくさんいるから(22.0%)」が続いた。また「希望の配属地はない」と回答した学生は11.2%となった。

希望の職種・実際に配属された職種のトップは「営業職」

希望の職種・実際に配属された職種のトップは「営業職」

3つ目の設問では、希望の職種について聞いている。回答で最も多かったのは「営業職(33.6%)」で「企画/管理職(28.9%)」が続いた。

実際に配属された職種についても「営業職(55.6%)」が最多で、2番目には「IT/通信系エンジニア職(15.5%)が続いた。本調査では回答者の9割以上が文系学生ということもあり、建築土木などの職種は希望・配属共に0となっている。

希望の職種と実際に配属された職種のギャップについて、特に差が大きい職種は「営業職」と「企画/管理職」であった。「営業職」は希望よりも配属が22.0%多く、一方「企画/管理職」は希望よりも実配属が20.3%少なくなっている。

配属先の告知時期が内定辞退に影響

配属先の告知時期が内定辞退に影響

本調査では続いて、配属先の告知時期を3つに分けて聞いた結果「内定式後~入社式(50.0%)」が最多となったことを報告した。また、配属先の告知時期について過半数の55.6%が「遅いと思った」と回答しているという。

同社はこの回答をクロス集計し「早いと思った」「ちょうどいいと思った」ともに内定通知~内定式までの期間は高く、内定式後入社式までの期間に入ると73.0%が「遅いと思った」と回答していることを明らかにした。

また、配属先の告知時期が内定の承諾保留や内定辞退に影響したかどうか尋ねる設問では「内定承諾保留や内定辞退の要因となった」と回答した24卒生は24.6%に。また、実際に辞退はしなかったものの「内定辞退を検討する要因になった」と回答した24卒生も11.2%となっている。

この回答結果を設問6の「配属先の告知時期についてどのように感じましたか」とクロス集計すると、より顕著な関係性が見られる。配属先の告知時期が「早いと思った」24卒生で内定承諾保留・内定辞退に「要因となった」は0%で、意思決定に迷いは出ていない。一方「遅いと思った」24卒生では「要因となった」は合計44.2%(24.0%+20.2%)まで上昇しており、配属先の告知時期が遅れることで内定承諾保留・内定辞退の増加につながることがうかがえる結果になった。

なお「配属先が選べないからエントリーしなかった」24卒生は48.7%となっており、勤務地や職種を選べず、実際の配属でギャップが生じることが、学生のエントリーの意思決定を阻害していると考えられる。

「地域限定社員」「ジョブ型雇用」を志望した24卒生は2~3割にとどまる

「地域限定社員」「ジョブ型雇用」を志望した24卒生は2~3割にとどまる

設問9で同社は、勤務エリアが一定の範囲に限定される「地域限定社員」についてどう思うかを聞いた。最も回答が多かったのは「地域限定社員について知っていたがエントリーしなかった(42.2%)で、次いで「エントリーした中に地域限定社員が含まれる(29.3%)」という結果に。「地域限定社員のみにエントリーしていた」0.9%を加えると、72.4%がこの制度(雇用形態)について認知していることがわかる。

また、業務を明確に分けた職種で採用する「ジョブ型雇用」について最も多かった回答は「ジョブ型について知っていたがエントリーしなかった(48.3%)」で、2番目に「ジョブ型雇用について知らなかった(31.0%)が続いた。

まとめ

希望する配属先と実際の配属先とのギャップが生じることや、配属先の告知時期などが、学生のエントリーの意思決定や内定承諾に影響していることが明らかになった。

一方で、勤務地や職種を選べる「地域限定社員」「ジョブ型雇用」などを選択する学生はそう多くなく、制度自体を認知していない学生も3割程度存在する。こうした制度の対象となる求人が増えることや、学生の認知度が上がることで、希望する配属先を求めてエントリーする学生は増加するのではないだろうか。

本調査結果からは、内定辞退や早期離職を防ぐためにも、学生らの選択肢を広げられる求人内容としていくことが肝要と考えられる。今後の採用計画等の参考にしていただきたい。