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後継者不足が顕著 2024年上半期「後継者難」倒産が過去最多に TSR調査

2024.07.10

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、「人手不足」関連倒産(後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)から、2024年上半期(2024年1-6月)の「後継者難」倒産(負債1000万円以上)を抽出し、分析。過去最多の件数となり、年間で初の500件台となる可能性があることを報告した。

年間500件を超える可能性も 深刻な後継者不足の現状

年間500件を超える可能性も 深刻な後継者不足の現状

TSRによると、2024年上半期(1-6月)の後継者不在を一因とする「後継者難」倒産(負債1000万円以上)は254件(前年同期比20.9%増)と報告された。調査を開始した2013年度以降で最多件数を更新しており、年間で初めて500件台に乗せる可能性もあるという。

内訳としては、代表者の「死亡(128件/同28.0%増)」「体調不良(88件/同15.7%増)」で216件(同22.7%増)と「後継者難」倒産の8割以上(85.0%)にも及ぶことが明らかになった。

産業別の分析を見ると、件数で最も多いのは「建設業(60件/前年同期比20.0%増)」となっている。増加率では「運輸業(19件/同216.6%増)」が突出。建設業や運輸業においては、今年4月に時間外労働の上限規制が適用されたが、人手不足だけでなく、後継者不足も顕著であることがうかがえる。

また、資本金別の分析では、後継者難は事業規模を問わず深刻な状況となっている実態が明らかになっている。TSRは、1千万円未満が146件(同23.7%増)と半数以上(構成比57.4%)を占める一方で、5千万円以上1億円未満が前年同期比60.0%増(2024年上半期8件、前年同期5件)となったほか、1億円以上が1件と2年ぶりに発生していることを報告した。

出典元:2024年上半期の「後継者難」倒産 過去最多の254件 労働集約型の産業では、人手だけでなく、後継者不足も顕著(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

TSRは分析結果を受けて「金融機関などは、事業再生のなかで、廃業支援も取り組みつつある。ただ、代表者が高齢の企業ほど業績が悪化する傾向があり、業績不振から抜け出せない企業への支援は時間の経過とともに難しさを増す。そうした支援を受けられない企業を中心に、「後継者難」倒産は増勢が続くことが懸念される」とコメントした。

過去最多件数を記録した後継者難倒産。TSRは2023年の社長の平均年齢が63.76歳(前年63.02歳)と、2009年以降で最高を更新したことも報告。代表者の高齢化に伴う事業承継が、経営上の大きな課題となっていると指摘している。

急死や体調不良など、代表者が突然事業から離れてしまう可能性は全ての企業に共通するリスクだ。改めて自社の体制を見直す機会としてみてはいかがだろうか。