景気が「悪くなっていると感じる」回答が13.1ポイント増【2024年度 上期景況調査】
株式会社フリーウェイジャパン(本社:東京都中央区、代表取締役:井上達也)は、中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主373人を対象とした「2024年上期経営状況に関するアンケート」を実施した。調査結果の概要をお伝えする。
調査概要
調査タイトル :2024年上期経営状況に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年6月25日~2024年7月2日
調査対象:中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主373人
出典元:株式会社フリーウェイジャパン
景気が「悪くなっていると感じる」回答が増加 理由のトップは「受注量や販売量の動き」
本調査ではまず、自身が働かれている会社・業界の景気についてどのように感じるか質問。その結果「やや良くなっている(25.7%)」「悪くなっている(25.3%)」「やや悪くなっている(21.7%)」「変化なし(21.4%)」「良くなっている(5.9%)」となり、昨年度上期調査と比較すると「悪くなっている」との回答が13.1ポイント増加したことがわかった。
「悪くなっている」「やや悪くなっている」と回答した理由として何に注目したか尋ねる項目では「受注量や販売量の動き(61.7%)」「取引先の様子(42.3%)」「受注価格や販売価格の動き(28.6%)」が上位に並んでいる。
また、2023年度下期と比較した営業利益については「変化なし(44.5%)」「悪化(29.8%)」「改善(25.7%)」との回答が寄せられた。
事業戦略/ビジネスモデルの見直し、対策を32.4%が実施
続いて本調査では、2024年度上期に事業戦略/ビジネスモデルの強化、見直し、対策は行ったか尋ねている。その結果「行っていない(67.6%)」「行った(32.4%)」となり、実施企業が昨年上期から7.6ポイント増加したことが明らかになった。
実施した施策については「既存の商品・サービスの見直し、アップデート(39.7%)」「新しい商品・サービスの開発(35.5%)」「取引先の見直し(25.6%)」が上位となっている。
また、2024年度下期に向けて予定している対策としては「既存の商品・サービスの見直し、アップデート(34.6%)」「新しい商品・サービスの開発(20.9%)」「取引先の見直し(18.2%)」が多く挙げられた。
賃金の引き上げ、もしくは引き下げの実施予定
次に、来年度の賃金の引き上げ、もしくは引き下げの実施予定に関する調査結果を見ると「変動はない」が最多で44.8%と半数近くに及んでいる。「引き上げ予定(引き上げ済み)」は26.8%で「検討中」が14.2%となったほか「引き下げ予定(引き下げ済み)」とする企業も4.0%存在することが判明した。
引き上げ予定(引き上げ済み)の理由には「従業員の定着率向上のため(士気確保・モチベーション向上)(63.0%)」「物価高騰による社員の生活への影響に配慮するため(48.0%)」「人材確保のため(人材採用を有利に進められるため)(26.0%)」が上位に並ぶ。
価格転嫁「できていない」7割超え 政府に求めるのは「物価高対策」
さらに本調査では、物価高、資源高、電気代高騰などのコスト増に伴う価格転嫁について「できていない」が前回に続き7割超えの78.8%にも及ぶことが明らかにされている。来年度の賃金を「引き上げ予定(引き上げ済み)」と答えた方の理由のうち「原材料・エネルギー価格の高騰の影響はあるが、価格転嫁できているため」は7.0%の結果だったことからも、十分な価格転嫁が進んでいないことは明白だ。
なお、今後政府に求める経済支援策としては「物価高対策(41.0%)」「中小企業向けの支援策の拡充(38.3%)」「個人向け減税(32.7%)」が上位の回答となっている。
採用活動状況と定額減税による影響
また本調査では、2024年上期の人材採用について、2023年度と比べた際にどのような変化があったか質問。その結果「2023年度も2024年度上期も採用活動を実施しなかった」が最多で58.7%となっている。
定額減税による実質賃金の引き上げによって、賃上げを延期・停止する可能性については「そう思わない(63.8%)」「どちらかというとそう思わない(19.0%)」「どちらかというとそう思う(12.1%)」「そう思う(5.1%)」と、多くの企業では影響を及ぼしていないことが明らかになった。
まとめ
本調査により、中小企業/零細企業において半数近くが景気が悪くなっていると感じていることがわかった。自社の営業利益が悪化したと回答したのは約3割に及ぶ。物価高などのコスト増に伴う価格転嫁が未だ進んでいない実態も明らかになっており、賃上げについても防衛的な実施が多いようだ。
そうした中、事業戦略/ビジネスモデルについて強化・見直しなどを実施している企業は昨年よりも増加したものの、約3割にとどまっている。さまざまなコストの増加、人材不足など、中小企業/零細企業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続く。価格転嫁の促進と事業戦略の見直しは、事業活動の継続において重要な取り組みである。企業として成長を続けるためにも、積極的に取り組んでいくべきではないだろうか。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構では経営に悩む中小企業に向けて、ハンズオン支援(専門家派遣)を実施している。経営課題の解決に向けた取り組みのひとつとして、こうした支援策を活用することも検討してみては?
ハンズオン支援(専門家派遣)(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)