景気見通し、悪くなると回答した割合が46.7%に 日本生産性本部調査

調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人日本生産性本部(本部所在地:東京都千代田区、理事長:前田和敬)は、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査「働く人の意識調査」を実施している。2020年5月以降、四半期毎(2023年7月調査より6カ月に1回へ変更)に実施しており、2024年7月29日に第15回の結果を取りまとめ、公表した。
調査概要
調査期間:2024年7月8日~9日
調査対象:20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1100名
調査方法:インターネットでのアンケート
出典元:第15回 働く人の意識調査 今後の景気は悲観的見通しが5割に迫る、テレワーク実施率は16.3%に増加(公益財団法人日本生産性本部)
景気見通し「悪くなる」が増加 感染不安は調査開始以来最小を更新

本調査では、今後の景気見通しについて、2022年4月調査以降「どちらとも言えない」が増加傾向にあったというが、今回調査では前回の1月調査から減少して41.7%となっている。
一方で「悪くなる(24.5%)」「やや悪くなる(22.2%)」の合計は46.7%となり、前回1月調査の40.4%から5pt以上増加したことがわかった。特に「悪くなる」については「やや悪くなる」よりも増加幅が大きく、20.4%から24.5%へ増加している。
また、自身が新型コロナに感染する不安について「かなり不安を感じている(8.8%)」「やや不安を感じている(34.9%)」は、ともに前回1月調査からさらに減少。調査開始以来最小を更新したことがわかった。年代別では、50代、60代で「かなり不安を感じている」「やや不安を感じている」の割合の合計がそれぞれ48.0%、38.1%となり、調査開始以来最小となっている。
希望する働き方「メンバーシップ型」が微増で自己啓発への意欲は減少持続
続いて希望する働き方について、本調査ではメンバーシップ型を「同じ勤め先で長く働き、異動や転勤の命令があった場合は受け入れる」ジョブ型を「仕事内容や勤務条件を優先し、同じ勤め先にはこだわらない」働き方として質問。その結果、ジョブ型が2023年7月調査の67.4%から64.8%に微減した一方で、メンバーシップ型は32.6%から35.2%へと微増したという。
さらに、本調査は自己啓発への意向についても質問しており「行っている」は前回1月調査の13.5%から13.4%に「行っていないが、始めたいと思っている」は24.5%から21.9%に微減したことがわかった。一方で「特に取り組む意向は無い」は64.7%であり、過去最大に。雇用者の自発的な学習意欲の低下傾向が続いていることが明らかになった。
テレワーク実施率は増加も、大企業の実施率は低下
本調査結果によると、テレワークの実施率は過去最低であった前回1月調査の14.8%から微増し、16.3%に。2023年1月調査から減少が続いていたというが、増加に転じた結果となっている。
さらに本調査では、テレワーク実施率を従業員規模別に分析。その結果、中・小規模企業の実施率は増加している一方で、1001名以上の勤め先で減少がみられたという。なお、年代別では20代、30代が増加傾向にあることが明らかになった。
テレワーカーの週当たり出勤日数は「3日以上」が57.0%と前回1月調査の50.3%から増加を示している。「1〜2日」を含めた83.8%がハイブリッド型で実施しているようだ。
本調査では自宅での勤務で効率についても質問しており「効率が上がった(26.5%)」「やや上がった(52.4%)」の合計が、前回1月調査の70.2%から78.9%へと増加。過去最高となったことが報告された。
なお、今後もテレワークを行いたいと考える人は「そう思う(44.1%)」「どちらかと言えばそう思う(34.6%)」を合わせて約8割におよんでいる。
まとめ
本調査結果から、働く人たちの新型コロナへの感染に対する不安感は減少していることがわかる。5類移行から1年以上が経過し、人々の意識も変化しているのだろう。また、コロナ禍で急速に普及したテレワークについて、2022年10月調査以降は低下が続いていたというが、前回調査から若干の増加がみられている。
テレワーク実施者のうち、8割以上が週に1回以上はオフィスに出社しており、ハイブリッドワークが浸透している様子がうかがえた。今後もテレワークを継続したいと考える人が約8割におよんでおり、感染症対策としてではなく、働き方の選択肢のひとつとしての継続活用が期待されているようだ。テレワーク実施率が今後どのような推移を見せるか、引き続き注視したい。