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飲食店経営者の約7割が「年収の壁」引き上げに賛成 シンクロ・フード調査

2025.01.21

飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスをワンストップで提供する「飲食店ドットコム」を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一)は、飲食店を対象に「年収の壁」問題についての意識調査を実施した。

調査概要

調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:318
調査期間:2024年12月12日~2024年12月18日
調査方法:インターネット調査
調査主体:飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ
出典元:飲食店リサーチ(株式会社シンクロ・フード)
※回答者について:本調査では回答者のうち67.9%が1店舗運営となっており、また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は49.7%(首都圏の飲食店の割合は66.9%)となっている

「働き控え」が発生しているアルバイト・パート雇用の飲食店は4割超

「働き控え」が発生しているアルバイト・パート雇用の飲食店は4割超

本調査ではまずはじめに、現在自店で雇用しているアルバイト・パートスタッフの人数について質問。最多は「1~3名(30.2%)」で、次いで「0名(アルバイト・パートスタッフの雇用なし)(25.2%)」「4~6名(15.1%)」「7~9名(10.4%)」と続き、10名以上の雇用がある店舗は19.1%であることがわかった。

次に、アンケート調査を実施した2024年12月時点で「年収の壁」の影響によるパート・アルバイトスタッフの「働き控え」が発生しているか質問。その結果「まだ発生していない(59.7%)」が最多となった一方で「発生している(40.4%)」との回答も4割を超え「10月までに発生している(28.6%)」が3割に迫った。

「年収の壁・支援強化パッケージ」認知度と利用状況

「年収の壁・支援強化パッケージ」認知度と利用状況

続いて本調査では、2023年10月に政府が発表した施策「年収の壁・支援強化パッケージ」について質問。どの程度の認識があるかを尋ねる項目では「ほとんど知らない(42.5%)」との回答が最多で、次出「聞いたことはあるが、内容は知らない(29.2%)」「ある程度の内容まで知っている(22.3%)」が続いたという。「具体的な内容まで知っている」との回答は6%にとどまったことが報告された。

さらに、支援の利用状況については「(利用するか)分からない(60.1%)」との回答が最多に。次いで「支援申請する予定はない(31.4%)」「支援申請を準備・検討している(6.6%)」と続き「(既に)助成金などの支援を受けている」という店舗は0%であったことがわかった。

「支援申請する予定はない」と回答した理由としては「申請対象外だから(49.0%)」「制度内容を理解できていないから(30.0%)」「申請手続きが煩雑だから(16.0%)」「制度の申請方法が分からないから(15.0%)」などが挙げられたという。

「103万円の壁」引き上げに約7割の飲食店が賛成

「103万円の壁」引き上げに約7割の飲食店が賛成

次に本調査では「年収の壁」による働き控えに対してどのような予防策・対策をしているか質問。「特に対策はしていない(61.0%)」が6割を超えた一方で「働き控え分の人員補填をする(23.3%)」「年末に集中しないように、前倒しでシフト調整する(18.9%)」といった回答も一定数みられたという。

政府与党が2024年12月20日に決定した令和7年税制改正大綱では「年収103万円の壁」について、123万円へ引き上げる方針が示されている。本調査ではこの「103万円からの引き上げ」という部分のみで賛否を聞いたところ、74.5%が「賛成」と回答したという(本調査は2024年12月12日~18日に実施)。

「賛成」と回答した理由としては「103万円の基準は物価や賃金の上昇に見合っていない」「人手不足の解消、スムーズなシフト調整につながる」「手取り金の増加から、経済全体の活性化が期待できる」といった内容の声が寄せられたようだ。

本調査では最後に「年収の壁」に対する自店の課題や意見についても質問。「「103万円の壁」を含む年収制限を引き上げるべき」との声や、社会保険加入で負担が増えることを懸念する声などが寄せられたことを、同社は報告している。

参考:経済成長と豊かさが実感できる税制へ 令和7年度与党税制改正大綱を決定(自由民主党)

まとめ

多くの飲食店はアルバイトやパートといった短時間労働者を雇用しており「年収の壁」に関しては様々な課題が存在する。本調査でも7割超が「103万円の壁」の引き上げに賛成している一方で、社会保険等の負担増を懸念する声が寄せられている。

同社は税制改正が今後長期的に段階を踏んで進められているとの見方を示しており、今後も継続した調査を実施するとのこと。短時間労働者を雇用する企業は、今後の動向にも注目していただきたい。

また本調査では「年収の壁・支援強化パッケージ」について低い認知度と利用実態が明らかになっている。短時間労働者が「年収の壁」を意識せずに働くことができる環境づくりを支援する施策であり、条件を満たす企業はぜひ活用を検討してみてはいかがだろうか。

参考:年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省)