地方企業の約7割が副業IT人材の受け入れに興味 レバテック調査

レバテック株式会社は、東京圏および地方企業のIT人材を採用する人事担当者に対して、IT人材の採用・活用における実態調査を実施。調査結果について企業編・人材編に分けての発表を予定しており、今回「企業編」が公開された。
調査概要
調査対象:企業のIT人材採用において選定や最終決裁をする立場にある195名
調査年月:2024年12月11日~2024年12月12日
有効回答数:195名
調査方法:インターネット調査
調査主体:レバテック株式会社
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
出典元:レバテック株式会社
地方企業のIT人材採用における課題は「応募数の不足」

本調査結果を見ると、IT人材の年間採用目標について、2023年度・2024年度の両方で達成または達成見込みであると回答した企業は全体の50.3%と約半数であることがわかる。本結果について同社は、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉を指す)に本社所在地がある企業(以下:東京圏の企業)では55.7%、地方(東京圏以外※)に本社を置く企業(以下:地方企業)では45.8%が達成または達成見込みと回答したとの分析結果を報告。地方企業は東京圏の企業に比べて約10pt低いことが明らかになった。
正社員採用における課題について、東京圏の企業では「競合との差別化ができていない(35.2%)」が最も多く挙げられているという。一方で、地方企業の採用課題は「応募数が集まらない(43.0%)」が最多となり、地方企業は母集団の形成に苦戦している様子がうかがえる。
※本調査では、東京圏を「東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県」とし、地方を「東京圏以外の地域」と定義。この定義は「若年層における東京圏・地方圏移動に関する意識調査(内閣府)」に準拠。
副業IT人材の受け入れに地方企業の約7割が興味

本調査では続いて、現在、副業IT人材の受け入れをしていない東京圏の企業に対し、受け入れの検討状況について質問。「過去に検討したことがあり、今後もその意向がある(47.7%)」「過去に検討したことはないが、今後検討したい(11.4%)」は合わせて59.1%と6割近くとの結果になっている。一方で、地方企業では両者を合わせて72.4%となり、副業IT人材の受け入れ検討に前向きな企業がより多いことが判明した。
なおITフリーランスの活用については、現在ITフリーランスを活用していない企業の約58%が興味を示す結果となったことが報告されている。東京圏の企業と地方企業を比較すると、地方企業が「今後検討したい(21.7%)」と回答した割合は東京圏の企業より8.1pt高いという。
地域外からの人材獲得に向けた取り組み

次に本調査では地方企業に対し「企業が所在する地域以外からIT人材を採用・活用するために取り組んでいることはあるか」と質問。「ある(62.6%)」との回答が6割を超えたことを報告した。
具体的な取り組みとしては「都心部の水準に合わせた給与の引き上げ(50.7%)」「移住費や引越手当の補助(46.3%)」「フルリモートで働ける社内環境の整備(41.8%)」などが多いようだ。
同社は本結果に対して「地域外からのIT人材確保には、柔軟な働き方の整備に加え、場所にとらわれない給与水準の見直しも重要な要素になるでしょう」とコメントしている。
まとめ
本調査において、副業IT人材の受け入れについて東京圏の企業よりも地方企業の方が高い関心を示していることがわかった。他地域への人口流出などの影響で母集団形成に苦戦している地方企業だからこそ、IT人材確保の手段を広げたいと考えていると推察される。
地方企業の副業人材活用は、人材不足の解消はもとより、新たな知見や視点が取り入れられることで、企業の成長へとつながる可能性もある。副業人材を地方へ呼び込んでいく取り組みは、今後より重視されていくことだろう。
日本政策金融公庫総合研究所では、副業・兼業人材の受け入れに積極的に取り組む鳥取
県、岐阜県、愛媛県松山市において、自治体等の支援機関、受け入れ企業、副業・兼業人材それぞれにヒアリングを行っている。併せて参考にしていただきたい。
都市部の副業・兼業人材の活用と地方創生(日本政策金融公庫)