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2024年のコンプラ違反が388件で2年連続過去最多更新 TDB調査

2025.01.27

株式会社帝国データバンク(以下TDB)は、2024年に発生した「コンプライアンス違反倒産」について調査・分析を行った。「コンプライアンス違反」は、意図的な法令違反や社会規範・倫理に反する行為などを指す。本調査では、こうしたコンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産(コンプラ違反倒産)」(法的整理のみ、負債1000万円以上)と定義。なお、同一企業に複数のコンプライアンス違反がある場合は、主な違反行為で分類されている。

2年連続過去最多を更新した2024年のコンプラ違反倒産

2年連続過去最多を更新した2024年のコンプラ違反倒産

TDBによれば、2024年の「コンプライアンス違反倒産」は388件となり、2023年と比較すると37件(10.5%増)の増加となったことが報告されている。3年連続で前年比を上回っており、2年連続での300件超で過去最多を記録したという。

TDBは業種別(大分類)の分析結果についても報告。最も多いのは「サービス業:122件(構成比31.4%)」で、次いで「建設業:68件(同17.5%)」「小売業」:54件(同13.9%)」と続いている。また、中分類では「広告・調査・情報サービス業:50件」が最多で、次いで「運輸業:38件」「その他のサービス業:33件」が続いたという。

出典元:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)

「粉飾」倒産が3年連続増加 違反類型別

「粉飾」倒産が3年連続増加 違反類型別

続いてTDBは違反類型別の分析結果を報告。最多は「粉飾:95件(構成比24.5%)」で、2019年の84件を上回り過去最多を更新したという。2020年に始まったゼロゼロ融資など各種支援策の活用により表面化しづらい状況が続いていたが、返済期限到来のタイミングで発覚するケースが目立ち、増加傾向で推移していることが報告された。粉飾決算による倒産企業の負債規模は大型化。金融機関をはじめとする多くの取引先を巻き込む倒産が発生しているようだ。

次いで、労働安全衛生法違反や指定取消などの「業法違反:72件(同18.6%)」が続いており、その内26件は「運輸業」で国土交通省の行政処分等の公表により問題の表面化が進んでいると報告された。資金流出や横領といった「資金使途不正:70件(同18.0%)」は、不透明なM&Aが行われ資金流出した複数企業が倒産したようだ。

またTDBは、コロナ禍の雇用調整助成金など各種補助金の「不正受給:49件(同12.6%)」が、2022年以降急増し、2年連続で過去最多となったことを報告している。

まとめ

TDBは2024年の全国企業倒産件数は9901件(前年比16.5%増)と報告しており、その約4%を占めたのが、この「コンプラ違反倒産」だという。2025年も既にコンプラ違反倒産は散見されているとして、TDBは今後も増加傾向で推移するとの見方を示している。

コンプラ違反は法令違反、不正受給のほか、ハラスメントや情報漏洩などといった社内規定違反など、さまざまな行為を含んでおり、各方面への対策が求められる。対策を怠ったが故に発生したコンプラ違反への社会の目は厳しい。SNS時代となった今、従業員の何気ない一言が発端となり、取引先や消費者からの信頼を一気に失うことも珍しくない。

企業は法令を遵守することはもちろん、社内規定や行動規範の策定と周知、管理体制の構築など、予期せぬコンプラ違反を引き起こさないための対策を十分に講じる必要があるだろう。