2025年4月の国内景気、3カ月ぶりに全規模でそろって悪化 TDB調査

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万6590社を対象とした2025年4月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表した。本レポートの中から、企業規模別の集計結果について、今月も概要を紹介する。
2025年4月の景気DIは2カ月ぶりの悪化

TDBの発表によると、2025年4月の景気DIは前月から0.8pt減少し、42.7を記録。2023年2月以来の水準まで低下していることが明らかになった。景況感の急速な冷え込みについてTDBは、トランプ関税による影響があると指摘。自社の業績や今後への不安感から、個人消費にも伸び悩みの傾向がみられているという。
金融市場は乱高下し、規模や業種を問わず先行きへの警戒感が高まった4月。特に自動車・鉄鋼関連においては、輸出の停滞が目立っている。インバウンド需要では堅調を維持する様子もみられているが、世界経済の不確実性が高まるなか、TDBは弱含みでの推移を予測している。
企業規模を問わずそろって悪化 大企業・製造業の落ち込みが波及

「大企業」(46.7):前月比1.2ポイント減
2カ月連続で悪化となった大企業は「製造」がトランプ関税の影響で大きな落ち込みをみせている。特に大幅な悪化となったのは「輸送用機械・器具製造(同6.6ポイント減)]
「鉄鋼・非鉄・鉱業(同5.7ポイント減)」などが挙げられた。
「中小企業」(42.0):前月比0.7ポイント減
大企業同様に2カ月ぶりの悪化となった中小企業。大企業・製造業の悪化を受けて、自動車部品を中心に「輸送用機械・器具製造(同5.0ポイント減)」の低調が目立ったという。さらに「小売」では総合スーパーが大幅な落ち込みをみせたことも明らかになっている。
「小規模企業」(41.0):前月比0.6ポイント減
小規模企業は3カ月ぶりの悪化となり「運輸・倉庫」や「卸売」で悪化が進んだという。大企業・中小企業の落ち込みが小規模企業にも波及している様子がうかがえる。
調査概要
調査期間:2025年4月16日~4月30日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万6590社、有効回答1万735社、回答率40.4%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2025年4月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
トランプ関税による先行きの不透明感は、多くの企業における警戒感の高まりへとつながっているようだ。個人消費の弱さや原材料価格の高止まりも逆風となり、景況感は大幅に悪化。
TDBは今後の下支え要因として、インバウンドの継続、減税や物価高対策、大阪・関西万博、IT関連の設備投資などを挙げるが、大きな回復とまではいかない見通しだ。当面は弱含みで推移すると見込まれている国内景気。今後も動向に注目したい。