2025年5月の国内景気、2カ月連続の悪化も大企業は改善傾向 TDB調査

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万6389社を対象とした2025年5月の国内景気動向を調査・集計。景気DIが2カ月連続で悪化していることを発表した。ここでは企業規模別の集計結果に注目し、概要を紹介する。
2025年5月の景気DIは42.6 2カ月連続で悪化に

TDBの発表によると、2025年5月の景気DIは前月から0.1pt減少し、42.6となっている。大型連休という下支え要因はあったものの、物価の上昇やトランプ関税の影響もあり、回復には及ばなかったようだ。
トランプ関税の行方は不透明感を高めており、米中経済の減速や世界貿易量の縮小は輸出産業を圧迫。不安定な為替動向や節約志向の高まりなどマイナス要因も多く、TDBは今後も国内景気は当面弱含みで推移すると予測している。
中・小規模は低調も大企業で3カ月ぶりに改善

「大企業」(46.8):前月比0.1ポイント増
3カ月ぶりに改善となった大企業。大型連休で外出機会が増加したことにより「娯楽サービス」や「旅館・ホテル」が好調だったようだ。そのほか「不動産」でも大幅な上昇がみられるなど、5業界が50台に回復したことがわかった。
「中小企業」(41.9):前月比0.1ポイント減
2カ月連続での悪化となった中小企業は、前月比0.1ポイントの減少であった。「運輸・倉庫」では改善がみられ、インバウンド需要による貸切バスなどでのプラスもあったという。しかし家具や家電、自動車といった耐久財の購買意欲低下が響いた「小売」は低調となった。
「小規模企業」(40.8):前月比0.2ポイント減
小規模企業も中小企業同様に2カ月連続での悪化がみられた。自動車や産業機械関連で受注が減少したほか、仕入単価の高止まりも影響し、10業界中5業界が悪化している。
調査概要
調査期間:2025年5月19日~5月31日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万6389社、有効回答1万645社、回答率40.3%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2025年5月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
大企業では回復傾向がみられたものの、中小・小規模企業では2カ月連続での悪化となったことが判明。小規模企業ほど厳しい状況となり、低調な推移がみられている。
トランプ関税の影響で自動車業界の生産動向に危機感を表す声が強まるなど、今後も大きな回復は見込まれていない国内景気。一方で、インバウンド需要の継続や物価高対策、大阪・関西万博、IT関連の設備投資などは下支え材料となりそうだ。
TDBは国内景気回復に向けては、高水準の賃上げとインフレ率低下による実質賃金の増加がカギを握っていると分析している。今後の賃上げ動向にも注目したいところだ。