2025年の税金滞納による倒産が過去10年間で2番目の高水準に TSR調査

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2025年1-5月の全国企業倒産(負債1000万円以上)の「コンプライアンス違反」倒産のうち「税金滞納」関連を集計・分析。過去10年間で2番目の高水準で推移していることを報告した。
4カ月連続で前年同月を下回ったものの過去2番目の高水準

TSRの報告によると、2025年5月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は、1月に並ぶ11件となり、前年同月と比較して26.6%減となっている。2月から4カ月連続で前年同月を下回っている状況だ。しかし、1-5月の累計は71件(前年同期比13.4%減)に達し、2016年以降の10年間では2番目の高水準を維持していることが明らかになった。
負債総額は、5月が前年同月比16.2%減の36億7500万円、1-5月累計は前年同期比35.5%減で273億5600万円と報告されている。1-5月累計は、負債10億円以上が6件(同200.0%増)と3倍に増えたものの、同100億円以上はゼロ(前年同期1件)だったため、4年ぶりに前年同期を下回った。
TSRは1-5月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産の特徴として、資本金1千万円未満が41件(前年同期比10.8%増)で構成比57.7%と、小・零細規模の企業が大半を占めている点を挙げている。その背景には、資金繰りに大きな負担となっている、物価や人件費、金利引き上げなどのコスト増などがあると分析した。
出典元:2025年5月の「税金滞納」倒産 今年最少の11件 1-5月累計は71件、10年間で2番目の高水準(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
過剰債務を抱え、収益改善が進まない企業では、新たな資金調達も難しい状況である。そうした中、物価高や人件費などのコスト負担は増加し、運転資金の確保のために納税(納付)を後回しにする企業の行き詰まりが目立っているようだ。
TSRは企業の安定した収益確保に自助努力は当然だとしながらも「レピュテーションリスクを招きかねない徴収方法の見直しと納税への話し合いなど、改善点を探る努力も必要だろう」との見解を示した。
企業を取り巻く経営環境は安定しているとは言いがたく、コロナ禍の負債を解消できない企業も少なくない。今後も不透明な状況が続くとみられる今、小・零細規模の企業には特に厳しい状況が続くだろう。今後の倒産動向にも注目したい。