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賞与支払届の手続きの方法と注意点。業務効率化を進める対応サービスも紹介

2022.02.10

従業員のモチベーションアップに一役買っているものの一つといえば賞与(ボーナス)。ただ、給与計算担当者にとっては毎年の業務ではあるものの、半年に一度程度しか発生しないことや賞与支払届の申請までの期限が短いことが負担になっている場合も多い。今回はそんな賞与支払届の手続き方法と注意点を解説したい。また、業務の効率化を進めるためのサービスについても紹介する。

賞与支払届の定義と関連用語

「賞与支払届」とは、賞与にかかる社会保険料を算出して保険料を納付するために必要な書類。賞与を支給する度に提出する必要がある。賞与支払届の定義や申請書類に関係する用語を見ていこう。

被保険者賞与支払届
賞与を支給した場合、日本年金機構に「被保険者賞与支払届」を記入し、提出する必要がある。書類に関しては、賞与支払い予定月の前月に被保険者の氏名等が印字された用紙が日本年金機構から送付される。提出方法等は以下の通りだ。詳しい内容は後述する。

※日本年金機構「電子申請(e-Gov)」
「電子申請・電子媒体申請」

標準賞与額
「標準賞与額」とは、賞与に係る健康保険・厚生年金保険の保険料を計算するための指針となる金額を指す。標準賞与額の具体的な計算方法については次のパラグラフで紹介する。

対象となる賞与
従業員に労働の対償として支払うもので、年3回以下支給するものは全て賞与の対象となる。また、結婚祝い金などの労働の対償ではないものに関しては賞与の対象外となる。

賞与にかかる保険料の計算方法
まずは標準賞与額を割り出すことから始めよう。税引き前の賞与総額から1000円未満を切り捨てた金額が標準賞与額となる。この標準賞与額に健康保険・厚生年金保険の保険料率をかけた金額が保険料となり、保険料は会社と従業員で折半して負担する。

賞与支払届の手続き・作成方法

毎年のことながら作業期間が大幅に開くため、忘れがちな賞与支払届の手続き・作成方法。わかりやすいように順を追って説明していこう。

賞与支払届の手続き
毎年、賞与を支払っている会社であれば、日本年金機構または健康保険組合から賞与支払予定前月に賞与支払届が郵送で届くので、賞与前月に届いているか確認しよう。

また給与システムを導入している会社では、賞与支払届の作成ができる場合も。ただ、健康保険組合によっては定型フォーマットがあるため、既存のフォーマットでなくても受理してもらえるのか確認する必要がある。

保険料の算出
前述した全従業員の標準賞与額を基に保険料を算出する。

届出書類の作成
算出した保険料を基に以下の書類を作成していく。

賞与支払届
賞与支払届には事業者名等の情報、従業員の氏名、生年月日、賞与額など記入すべき箇所が複数ある。日本年金機構のサイトに記入例があるので参考にしてほしい。

賞与不支給報告書
賞与を支給しなかった場合にも書類は提出しなければならない。その際に提出するのが「賞与不支給報告書」。忘れずに提出しよう。

届出書類の提出
書類の作成方法によって提出先が異なるが、日本年金機構または健康保険組合から送付された書類を作成した場合・CDやDVDにデータを入れて電子媒体で提出する場合は、事業所のある所在地を管轄する年金事務所または事務センターに送付もしくは持参する。電子申請でオンライン送信する場合は「e-Gov電子申請」から手続きをする。

保険料の納付
書類提出後に保険料決定通知書が送付され、保険料が決定する。決定した保険料は翌月末日までが支払期限となっているため、忘れずに支払うようにしたい。

賞与支払届の対応における注意点と対策

賞与支払届を作成する際の注意点と対策について紹介する。

賞与不支給への対応
賞与の支給がない場合にも、賞与不支給報告書を管轄の日本年金機構または健康保険組合に提出する義務がある。忘れないように気をつけよう。

標準賞与額には上限あり
標準賞与額には上限があり、健康保険は年度(4月から翌年3月まで)の累計額が573万円。厚生年金保険は1カ月150万円と設定されているが、同じ月に2回以上支給される場合は合算した金額が適用されるので注意したい。

70歳以上の従業員への対応
70歳以上の従業員に関しては、賞与支払届の備考欄にある「70歳以上被用者」に◯を付け、マイナンバーまたは基礎年金番号を記入する必要がある。また、協会けんぽ(全国健康保険協会)の健康保険に加入している場合には、賞与支払届の被保険者氏名欄の余白に「高齢任意」と記入することを忘れないようにしたい。

育児休業中の従業員がいる場合
育児休業中は保険料が免除となるため保険料の支払自体はないが、標準賞与額を決定して年間累計額に含める必要がある。よって、賞与支払届の記入は忘れないようにしてほしい。

年4回以上の賞与を支給する際の対応
賞与とは年3回以下で支給された労働対価とあり、年4回以上支給される場合は標準報酬月額の対象となるため標準賞与額と計算方法が異なるため注意が必要だ。

賞与支払届の提出が遅れる・忘れた場合

賞与支払届の提出を忘れた場合、支払日の2カ月後に賞与支払届督促状が届く。督促状が届き次第すぐに支払うようにしてほしい。保険料の納付は賞与を支払ってから2年以内という期限がある。それを超えると徴収時効が成立してしまい、将来の年金が減るなど従業員の老後の生活に大きく影響する可能性がある。しっかりと賞与支払届を期限内に提出し、保険料を納付するようにしよう。

賞与支払届の作成手続きはクラウドサービスを活用

年に数回の業務ではあるが、普段とは違う手続きや短い申請期限は担当者にとって大きな負担となる。そんな負担を大きく減らしてくれるのがクラウドサービスだ。今回は特に人気の高い4つのサービスを紹介する。

SmartHR
労務管理業務がペーパーレスで完結する「SmartHR」では、賞与支払届の作成も簡単。「行政手続き」から「賞与支払届の作成手続き」をクリックすると、従業員リストから該当する従業員を絞り込むことができる。あとは画面上の指示の通りに進めば完了だ。

ジョブカン
「ジョブカン」では、ジョブカン給与計算で賞与を確定すると、自動的に賞与支払届が作成される仕組みがあり、担当者の負担がかなり軽減できる。さらに、提出方法によって出力方法を変えられるのも強みだ。紙での提出から電子申請まで複数から選択できる。

マネーフォワード クラウド社会保険
社会保険の手続きに必要な書類作成や電子申請提出に対応している「マネーフォワード クラウド社会保険」。「マネーフォワード クラウド給与」と連携させることで、確定した賞与を基に賞与支払届の作成と申請が簡単にできる。

弥生給与
長年、経理担当者の給与計算を支えてきた弥生のクラウドサービス「弥生給与」では、予算をもとに賞与の試算ができ、賞与支払届用の資料も簡単に集計できる。汎用用紙に印刷可能なのも嬉しいポイントだ。

まとめ

通常業務に加え、年に数回発生する賞与に関わる手続きは、担当者にとって大きな負担となる。クラウドサービスを利用すれば、賞与金額から自動で賞与支払届を作成できるなど負担を増やすことなく正確な業務をこなすことができる。ぜひ導入を検討してみてほしい。

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