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帳簿とは?帳簿が必要な理由や、種類、記入方法などをまとめて解説!

2022.06.24
オフィスのミカタ編集部

帳簿とは、一般的に会社の経理などで作成される会計簿を指す。帳簿は決算書の作成の基となるほか、経営状況などを把握するための資料として作成する場面が多いだろう。しかし、一口に帳簿と言っても種類が多く、全体像を把握するのは難しい。本記事では、帳簿の基本的な役割や主な種類などを解説する。帳簿を扱う担当者は参考にしてほしい。

目次

●帳簿とは
●帳簿の種類は主帳簿・補助簿の2種類
●主帳簿の記帳方法
●補助簿の記帳方法
●帳簿記帳を効率化するには会計ソフトの利用が近道
●まとめ

帳簿とは

まずは、帳簿の目的や必要とされる理由などをみていこう。

帳簿の目的は、お金の流れや財政状況を可視化すること
帳簿とは、一般的に会社の経理などで作成される会計帳簿のことを言う。具体的には、事業の取引や資産、負債、お金の流れなどが記載された帳面や台帳のことを指し、会社の財政管理おいて非常に重要なものだ。帳簿をつける目的は、「日々の取引の把握」、「財政状況および経営状況の把握」にある。帳簿を正しく付けることで正しい決算、正しい経営状況の把握、正しい経営判断につながる。そのため、帳簿作成業務では、日々発生する取引内容や財産の状況などを正確に記載することが重要だ。

帳簿作成は会社の義務。帳簿が欠かせない理由は?
会社は会社法によって帳簿の作成・保存が義務付けられている。違反すると100万円以下の罰金が課されることもある。加えて、帳簿は決算書の基となる資料であることからも、作成は必須だ。

決算書との違い
帳簿と同じように、「会社の財政状況を把握する」という目的を持つ書類には、「決算書」がある。決算書は、帳簿に基づいて作成される決算期時点の数字を記した財務諸表を指す。決算書は、株主総会や取締役会、監査役などそれぞれの承認を得て税務署に提出する必要がある重要資料だ。帳簿は日々のお金の流れを記した書類で、帳簿を基にまとめられた書類が決算書と覚えておこう。

帳簿の種類は主帳簿・補助簿の2種類

帳簿には「主帳簿」と「補助簿」の2つの種類がある。主帳簿は作成が必須な帳簿だが、補助簿は、事業形態によって必要なものが異なり、すべてを作成する必要はないケースもある。それぞれどのような帳簿が含まれるのか、確認しよう。

主帳簿とは
主帳簿とは、法人または青色申告を行う個人事業者が作成しなくてはならない帳簿だ。主帳簿には「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2種類がある。

<仕訳帳>
仕訳帳とは日々のすべての取引を仕訳し、「借方」、「貸方」に分けて発生順に並べたものだ。具体的には、「借方」に資産が増加した際の費用や、費用が発生した際に記載を行い、貸方には、負債や純資産の増加、収益の発生があった際に記載する。仕訳帳は下に記載する「総勘定元帳」の基になる資料だ。

<総勘定元帳>
総勘定元帳は、すべての取引を勘定科目別にまとめたものだ。仕訳帳から勘定科目ごとに日々の取引を転記・記録した帳簿で、会社の勘定科目ごとの残高を把握したい時に役立つ資料だ。また、青色申告を行う個人事業者は、控除を受けるために必須の帳簿となる。


補助簿とは
補助簿とは、主帳簿を補う目的で作成される帳簿だ。補助簿には主に下記のような帳簿が含まれる。

・現金出納帳
・預金出納帳
・得意先元帳
・仕入先元帳
・固定資産台帳

主帳簿の記帳方法

ここでは、主帳簿に含まれる「仕訳帳」と「総勘定元帳」の記載例をみていこう。

仕訳帳の記帳例
下図のように、仕訳帳には「取引日付」、「借方勘定科目」、「借方金額」、「貸方勘定科目」、「貸方金額」、「摘要」の記載が必要になる。

 

仕訳帳は取引発生ごとに、記入を行う。日々の全取引を発生順に並べ記録していくため「仕訳日記帳」とも呼ばれる。仕訳を記帳する際には、取引ごとに「借方」、「貸方」に分類し勘定科目および金額を入力していく。資産が増加したり費用が発生したりした場合には、「借方」に、負債や純資産が増加したり、収益が発生する際には「貸方」に記載する。例えば、仕入れ先に買掛金20万円を支払った場合は、借方「仕入20万円」、貸方「買掛金20万円」と記帳する。このことでお金の流れを把握することが可能だ。なお、借方と貸方の金額は必ず一致させる必要がある

総勘定元帳の記載例
総勘定元帳は、下図のように、すべての取引を勘定科目別にまとめたものだ。

 

総勘定元帳は、仕訳帳に記載した仕訳を勘定科目別に転記し作成する。仕訳帳がお金の流れを把握するものであるのに対し、総勘定元帳は積み上げ式に取引を記録していく。各勘定科目を一覧で確認でき、それぞれの残高をすぐに把握したい際に役立つ資料だ。決算時は、総勘定元帳を基に貸借対照表や損益計算書などの決算書類を作成するため、重要な帳簿だ。

補助簿の記帳方法

ここでは、代表的な補助簿5種類の記載方法を紹介していく。

現金出納帳
現金出納帳は、現金取引が行われた際の入出金の記録を日付順に記帳していく。入金伝票や出勤伝票をもとに、現金の取引を記帳するもので、作成は会社が任意で選択できる。しかし、現金出納帳を作成することで入出金の流れを可視化できるため、社内の不正防止の観点からも現金出納帳の管理を行う会社が多い。

預金出納帳
預金出納帳は、会社が保有する金融機関の口座の入出金を日付順に記帳していくもの。金融機関ごとに出納帳を作成し、日付・相手科目・入出金の理由・金額・残高を記帳する。通帳があれば不要と思われがちな面もあるが、日付や振込額など一部の情報しか記載できない通帳と違い、預金出納帳は、入出金の理由を含めて口座ごとにすべてのお金の流れを把握できるため、欠かせない帳簿と言えるだろう。

得意先元帳
得意先元帳は、得意先ごとの取引をまとめた帳簿だ。「売掛帳」と呼ばれる場合もある。得意先元帳では、取引先との取引内容や取引金額、売上、回収などの動きを日付順に記帳する。得意先元帳を見れば、その得意先との取引が発生した日付や金額を明確化できるという特徴を持ち、売掛金の回収状況のスムーズな把握につながる帳簿だ。

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仕入先元帳
仕入先元帳は、仕入れ先ごとに取引をまとめた帳簿で「買掛帳」あるいは「買掛金元帳」とも呼ばれる。仕入れ先との取引内容、取引金額などを含むお金の流れを発生日付順に記帳していく。万一、買掛金の支払いが漏れるなどといったことがあると、仕入れ先にとっては売上が回収できない状態となり、会社の信用問題にも発展しかねない。そのため、仕入先が多いほど仕入先元帳での管理が重要だ。

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固定資産台帳
固定資産台帳は、会社の保有する固定資産管理を目的に作成されるもの。固定資産とは10万円以上で購入し、かつ事業のために1年以上使用する資産のことを指す。具体的には会社で使用している機械や車、パソコンなどの備品が固定資産台帳の記帳対象だ。固定資産台帳は税金の計算にも関わる重要な帳簿で、資産の区分、耐用年数、取得年月日、償却方法、取得金額などを資産購入時に記帳し、毎年1回、資産ごとに償却するタイミングで更新を行う必要がある。

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帳簿記帳を効率化するには会計ソフトの利用が近道

かつては帳簿を手書きで付けていた時代もあったが、今では主にエクセルや会計ソフトで帳簿をつけている会社が多いだろう。それぞれにメリット・デメリットはあるが、帳簿作成の効率化を図るなら会計ソフトによる帳簿付けがおすすめだ。会計ソフトの中には、PCやアプリで日々の取引内容を入力するだけで自動で帳簿作成ができるものもある。手書きや手入力で起こりがちな転記ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーの防止にも役立つため、導入を検討してみるのもよいだろう。

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まとめ

帳簿は会社の財政管理に欠かせないもので、一部の帳簿は作成が義務化されている。一方で、日々の取引について詳細に記帳する必要があり、ヒューマンエラーや業務の効率化などが課題となっている企業も多いだろう。帳簿について理解を深め、より効率的に帳簿作成を行えるような方策も併せて検討してみてはいかがだろうか。