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人的資本情報開示の義務化が広がる中、約8割の中小企業経営者が人的資本経営に課題 

2024.01.12

株式会社エフェクト(所在地:東京都中央区、代表取締役:石井住枝)は、中小の経営者を対象に「人的資本経営の実態と課題感」に関する調査を実施した。

調査実施の背景

欧米諸国ではすでに人的資本情報開示の義務化が広がっており、日本でも2023年3月期から開始されている。日本の人的資本情報開示は「有価証券報告書の提出義務がある企業」に義務づけられているが、この動きは今後中小企業にも広がっていくだろう。

人的資本情報開示に関するガイドラインでは、コンプライアンス・倫理、コスト、多様性、リーダーシップ、組織文化、健康・安全、生産性、採用・配置・異動・離職、スキル・能力、後継者の育成、労働力の可用性の11領域に関する開示項目が定められている。まさに‟人を大切にする企業指針“が求められるため、自ら考え、変化にあわせてチャレンジする力が重要になってくる。

だからこそ、経営として人的資本、人材育成がますます重要になるが、実態として人財資本経営ができている企業はどの程度で、具体的にどこに力を入れて実施しているのだろうか。

そこで同社は、中小企業の経営者を対象に「人的資本経営の実態と課題感」に関する調査を実施した。

調査概要

調査期間:2023年11月7日~2023年11月8日
調査方法:リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
調査人数:1006人
調査対象:調査回答時に中小企業の経営者であると回答したモニター
モニター提供元:ゼネラルリサーチ

人的資本経営の重要度と課題感

人的資本経営の重要度と課題感

同社は始めに、人的資本経営をどの程度重要視しているか調査。「人的資本経営の展開について、どの程度重要視していますか?」と質問したところ、およそ85%の中小企業経営者が、人的資本経営を重要視していると回答した。

続いて「人的資本経営について、課題に感じることはありますか?」と質問したところ、「(課題はあれど)何をすべきかわからない(18.7%)」「(課題はあれど)どこから手を付けるべきか悩んでいる(39.2%)」「(課題はあれど)まだ何も手をつけていない(つけられていない)(23.8%)」と、課題はあるが、どこから手を付ければよいか悩んでいる事が多いと判明。人的資本経営の重要性は理解しているが、人材育成に反映できていない実態が浮き彫りになった。

次に同社は、今後自社にどのような力が必要だと思っているかを調査。「今後、必要になってくるのはどのような力だと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ「チーム・組織をつくる(運営する)力(44.8%)」が最も多く、次いで「自ら課題を発見する力(41.1%)」「問題解決力(38.0%)」と続いた。

社内環境と人材教育・育成の成果実態

社内環境と人材教育・育成の成果実態

続いて同社は「自社内ではどのように人材育成を行っていますか?」と質問した結果「自主性に任せていて会社としては実施していない(33.9%)」が最も多い回答となったとしている。

さらに「次のうち、自社内で教育のために行っていること(複数回答可)」について「仕事の裁量は個々に任せている(34.3%)」が最多の回答となったことも明らかにした。

また「次のうち、行っている研修内容(複数回答可)」という質問に対しては「何も行っていない(42.7%)」が最多となり、人的資本経営の重要さを認識しているにもかかわらず、実際には人材研修を行っていない企業が約4割となっていることを発表した。

人材教育の成果が出ず原因も把握できていない経営者が多数

人材教育の成果が出ず原因も把握できていない経営者が多数

次に同社が、人材教育や研修を行っていると回答した経営者に、「教育・研修の効果はどのくらいありますか?」と質問したところ、「大きな変化が起きている」は17.2%にとどまり「その場は効果があるが持続しない(37.0%)」「自分の仕事に応用させることが難しい(27.3%)」「まったく出ていないと思う(18.5%)」に回答が集まっている。

「成果が出ていない理由や原因について把握できていますか?」との問いに「十分把握できていると思う」としたのは15.0%で「あまり把握ができていないと思う(53.1%)」「全くできていないと思う(31.9%)」が多い結果となった。

さらに「成果が出ていない理由や原因について、自社内でどのようなフォローをしていますか?」との質問には「あまりフォローができていない(77.4%)」が最多の回答となっている。

まとめ

今回の調査では、およそ85%の中小企業経営者が「人的資本経営を重要視している」と回答している一方、人的資本経営に課題を感じているものの、何をどこから手を付ければよいかわからない経営者が8割以上いることが明らかになった。

今後ますます重要となるであろう人的資本経営。バックオフィス担当者はどんなことに取り組んでいくべきか、改めて考えていく必要があるだろう。

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