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「簡単すぎる仕事・飽きを感じる仕事」が社会人4年目の離職意向を高める|社会人2~4年目社員対象調査

2024.03.14

組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー、所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、社会人2~4年目の900人に対し、2023年8月に直面している困難や不安(壁)に関して意識調査を行った。

調査実施の背景

調査実施の背景

同社はこれまでに、本調査から直面する困難や不安(壁)の実態(※1)やリーダーシップ発揮経験と壁の捉え方の関係性(※2)について分析し、レポートを発表してきた。今回は、仕事の難易度や量など、若手社員が直面している仕事の内容について調査・分析している。

市場ニーズや外部環境の変化に伴い、社員が組織から期待されることが大きく変化している。同社が実施した調査(※3)によると、一般社員に期待されていることの中身は、10年前と現在とで大きく異なる結果となっている。

同社によると、現在は「非定形的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」「自ら現場で判断し、行動する」など、主体性や自立自走の姿勢を若手社員に求める企業も増えてきているという。しかし、非定型的な業務に対して、自らの役割に基づきやるべき事を判断し、行動するのは難易度の高い仕事だ。そうした難易度の高い仕事が求められることを、若手社員本人はどう捉えているのか。同社は若手社員の早期離職やモチベーション低下が問題となる昨今の実情を踏まえ、2~4年目社員の「仕事への向き合い方」を調査した。

※1 出典元社会人2~4年目社員の意識調査 直面する壁 実態編(ALL DIFFERENT株式会社)
※2 出典元社会人2~4年目社員の意識調査 リーダーシップ発揮経験と直面する壁(ALL DIFFERENT株式会社)
※3 出典元特別調査レポート第3弾 組織・チームのあり方の変化に関する意識調査(ALL DIFFERENT株式会社)

「仕事の飽き」社会人2年目が最も実感

「仕事の飽き」社会人2年目が最も実感

同社は今回の調査結果で、社会人2~4年目の若手社員が直面している「仕事に関する壁」について、社会人2~4年目の若手社員がどのような捉え方をしているか、調査・分析。まず、仕事の壁に直面したことがあるかという質問に「とてもよくある」「たまにある」と回答した割合を抽出した。

仕事の難易度について、仕事が難しすぎる・求められる役割が高すぎることが「とてもよくある」「たまにある」と回答した割合は、社会人2年目が38.3%、社会人3年目が36.0%、社会人4年目が39.7%となった。一方、仕事が簡単すぎる・求められる役割が低すぎることが「とてもよくある」「たまにある」と回答した割合は、2年目が25.4%、3年目は21.3%、4年目21.4%に。

次に、仕事の量が多いと感じる割合を比較した結果、社会人2年目は40.7%、社会人3年目は42.0%、社会人4年目は46.3%となり、年次があがるにつれ、仕事の量の多さに壁を感じていることが判明した。

最後に、仕事が飽きた、つまらないと感じた割合を比較すると、社会人2年目は42.4%、社会人3年目は38.0%、社会人4年目は40.0%となった。前年の調査結果(※4)でも、社会人2年目が仕事に対して最も飽きを感じていることがわかり、今回も同様の結果となったという。

※4 出典元2022年若手社員の意識調査 社会人2~4年目の壁【TOP3編】(ALL DIFFERENT株式会社)

仕事の難しさの壁、年次が上がるにつれ「不安」増加

仕事の難しさの壁、年次が上がるにつれ「不安」増加

続いて同社は、仕事を進めるにあたり仕事が難しすぎる・求められる役割が高すぎると感じた社員が、その状況をどのように捉えたか、年次別に比較した。

社会人2年目は「不安に感じた」と回答した割合が30.4%、次に「成長の機会と感じた」が24.3%「大変と感じた」が20.0%となった。

社会人3年目は「不安に感じた」と回答した割合が31.5%、次に「成長の機会と感じた」が25.9%「期待に応えようと感じた」が25.0%に。

社会人4年目は、「不安に感じた」と回答した割合が38.7%、次に「成長の機会と感じた」が26.9%「大変と感じた」が23.5%となっている。

年次別に比較すると、回答が最も多く集まったのは全年次共通で「不安に感じた」であり、さらに年次が高まるにつれて、その不安が高まる傾向にあることがわかった。同様に「成長の機会と感じた」と回答する割合も年次があがるにつれ、高くなることが判明。同社は興味深い点として、社会人3年目は「期待に応えようと感じた」「負けたくない・乗り越えたいと感じた」とポジティブに回答する割合が他年次より高く、難しい仕事に対して前向きに立ち向かおうとする姿勢が見受けられたことを挙げた。

仕事が簡単である壁、年次により捉え方に違い

仕事が簡単である壁、年次により捉え方に違い

次に同社は、仕事を進めるにあたり、仕事が簡単すぎる・求められる役割が低すぎると感じた社員が、その状況をどのように捉えたか、年次別に比較している。

社会人2年目は「この経験を楽しもうと感じた」が34.2%、次に「期待に応えようと感じた」が23.7%となり、上位2項目がポジティブな回答に。

社会人3年目は「この経験を楽しもうと感じた」が23.4%と最大となり、次に「期待に応えようと感じた」「負けたくない・乗り越えたいと感じた」が同等の割合で21.9%となった。

社会人4年目は「この経験を楽しもうと感じた」が28.1%と最大となり、次に「不満を抱いた」が26.6%「期待に応えようと感じた」が25.0%と続いた。

社会人2年目、3年目は仕事が簡単なことに対してポジティブに捉える傾向にあるのに対し、社会人4年目では「不満」の割合が高まる結果となった。

仕事の量が多い壁、年次が上がるにつれ「大変」と「期待に応えよう」が増加

仕事の量が多い壁、年次が上がるにつれ「大変」と「期待に応えよう」が増加

続いて、仕事の量が多すぎると感じた社員が、その状況をどのように捉えたか、各年次別に比較。

社会人2年目は「大変と感じた」と回答した割合が23.0%となり、次に「期待に応えようと感じた」「不満を抱いた」が19.7%となった。

社会人3年目は「大変と感じた」が31.7%「期待に応えようと感じた」が24.6%「負けたくない・乗り越えたいと感じた」「成長の機会と感じた」が22.2%と同等の割合となっている。

社会人4年目は「大変と感じた」が31.7%「期待に応えようと感じた」が23.7%「成長の機会と感じた」が21.6%と続いた。

全年次で「大変」「期待に応えよう」「成長の機会」と感じる割合が高く、特に社会人3年目・4年目ではポジティブな回答が多くなっていることがわかる。

仕事の飽きの壁、社会人4年目で「会社を辞めたくなった」が急激に高まる

仕事の飽きの壁、社会人4年目で「会社を辞めたくなった」が急激に高まる

最後に、仕事を進めるにあたり仕事が飽きた、つまらないと感じたことのある社員が、その状況をどのように捉えたか、年次別に比較している。

社会人2年目は「不満を抱いた」が22.8%、次に「不安に感じた」が22.0%「我慢した」が20.5%と続いた。

社会人3年目は「我慢した」が27.2%「不満を抱いた」が22.8%「会社を辞めたくなった」が18.4%との結果に。

社会人4年目は「不満を抱いた」が26.7%「会社を辞めたくなった」が25.8%「我慢した」が22.5%となった。

「仕事の飽き」は、社会人2年目では「不満」「不安」「我慢」が高い割合となり、社会人4年目では「会社を辞めたくなる」は他年次に比べ7ポイント以上高くなる結果となっている。

また、仕事が飽きた、つまらないと感じた場面については、社会人2年目では「いつも同じ業務をやっている」と回答した割合が23.6%と最も高くなり、次に「役割が変わらない」「メンバーが変わらない」が18.9%。社会人3年目では「役割が変わらない」が23.7%でトップ、次に「いつも同じ業務をやっている」が22.8%。社会人4年目では「いつも同じ業務をやっている」が30.8%となり、次に「新しい知識・スキルが身につかない」が23.3%と続いた。

社会人2年目、3年目では業務内容や役割が変わらないことに対して飽きやつまらなさを感じており、社会人4年目になると同じ業務が続き、知識やスキルが身についていないことに対する飽きやつまらなさを実感していることが明らかになった。

調査概要

ラーニングイノベーション総合研究所「若手社員の意識調査(仕事の量・質・難易度編)」
調査対象者:22~34 歳の社会人 2 年目~4 年目の就労者
調査時期:2023年8月2日~8月7日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:900人(社会人2年目300人、3年目300人、4年目300人)
※各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析対象外
※構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある
出典元:【社会人2年目~4年目社員の意識調査(仕事の量・質・難易度編)】簡単すぎる仕事・飽きを感じる仕事、社会人4年目で「離職意向」が高まる結果に| ニュースリリース |人材育成・社員研修(ALL DIFFERENT株式会社)

まとめ

直面した壁に対してポジティブからネガティブへ、ネガティブからポジティブへと、年次によって変化する様子がうかがえる調査結果となった。特に4年目では、飽きを感じる仕事から離職意向が高まる傾向にあることが判明している。こうした若手社員の意識の変化を理解し、それぞれの年次に合わせた業務の割り振りが必要となりそうだ。

同社は本調査結果を受けて「彼らを早期に活躍させ、長期的に定着させるためには、未経験だがこれまでの経験の延長にある業務や、達成には一定の努力が求められる業務といった、ストレッチなアサインメントをすることが重要」とした上で「与えようとしている課題に育成対象者が対処できる状況にあるかを慎重に見極めること、また、キャリアパスなどを提示することで、この会社で働くとどのように成長できるかなど、キャリアの広がりをイメージさせていくことが大切」とコメントした。

若手社員の定着と成長は、企業の業績向上と成長につながる。壁と向き合う若手社員にどのようなサポートを行っていくか、この機会に改めて検討してみてはいかがだろうか。