2024年全国企業「休廃業・解散」前年比約1万件増で過去最多 TDB調査

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に、2024年に発生した企業の休廃業・解散動向について調査・分析を実施。2024年の休廃業・解散が、6万9019件と前年比約1万件増で過去最多となったことを報告した。
※「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)を除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(但し「みなし解散」を除く)を確認した企業の総称 ※調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある ※X年の休廃業・解散率=X年の休廃業・解散件数/(X-1)年12月時点企業数
前年比1万件の大幅増となった2024年の休廃業・解散

TDBは、2024年に全国で休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む、以下:休廃業)の件数について分析結果を報告。2024年1月以降、休廃業・解散件数は前年を大幅に上回る水準が続き、4年ぶりの増加となった前年に続き、2年連続での増加となったという。年間件数としては前年に比べて9914件・16.8%の大幅増で、現行基準で集計を開始した2016年以降で最多を更新。6万9019件となったことがわかった。
休廃業した企業の雇用人数(正社員)は少なくとも累計8万7003人に及んでおり、前年(7万8053人)から約9千人増加し、2016年以降で最多を記録している。消失した売上高の合計は前年(2兆8424億円)から増加し、2兆9493億円に上った。

また、2024年に休廃業となった企業のうち、保有資産の総額が債務を上回る状態で休廃業した件数=「資産超過型」の割合は65.1%を占め、2016年以降で最高を記録。休廃業する直前期の決算で当期純利益が「黒字」だった割合は51.1%となり、集計を開始した2016年以降で過去最低を更新したことがわかった。この結果「黒字」かつ「資産超過」状態での休廃業が判明した企業の割合は全体の16.2%を占めることになる。TDBは2024年の休廃業・解散動向の特徴として、総じて直近の損益が悪化した企業が多い点を挙げた。
なお、休廃業・解散時の経営者年齢は、2024年平均で71.3歳と報告されている。4年連続で70歳代となったほか、前年から0.4歳上昇し、調査開始以降で最高齢を更新したという。最も休廃業が多い年齢も75歳と、過去最高齢だった22年に並ぶ。廃業を決断する経営者の年齢は上昇傾向がさらに加速していることが明らかになった。
出典元:レポート全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)
まとめ
11年ぶりの高水準となった企業倒産(法的整理)と同様に、大幅な増加傾向で推移した2024年の休廃業動向。TDBはその特徴として「黒字・資産超過」の割合が過去最小となった点と、休廃業の現場における高齢化が一段と進行している点を挙げている。
また、近年「前向きな廃業」の考えが浸透し、業界大手の企業が自主廃業を決断するといった事例もみられているという。人手不足や後継者難といった経営課題が多い中、2025年以降も「円満な廃業」を選択する企業が増加する可能性は高いだろう。
自主的な廃業が増加すれば、取引先やサプライチェーンを担う企業へ連鎖的な廃業が広がることも懸念される。TDBはこうしたリスクを軽減する取り組みの重要性が高まっているとして、中小企業支援策と同時並行で進める必要があると指摘した。
参考:倒産集計 2024年(1月~12月) - 帝国データバンク