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スーパー業界が3年ぶりに増収増益も大手と地場・中堅の格差広がる TSR調査

2025.05.12

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、保有する企業データベースからスーパーマーケット経営会社の2024年の業績(2023年12月~2024年11月期)を最新期とし、5期連続で業績が判明した725社を抽出、分析。2024年「スーパー経営会社」の業績動向調査を実施した。

3年ぶりに増収増益 物価高による商品価格の上昇が業績改善に寄与

3年ぶりに増収増益 物価高による商品価格の上昇が業績改善に寄与

TSRの発表によると、全国のスーパー経営会社725社の2024年の業績は、売上高合計が23兆3384億1500万円(前期比6.3%増)で、利益は3741億4600万円(同31.7%増)となっている。2022年、2023年と2期連続で減収減益の厳しい決算が続いたが、3年ぶりの増収増益となった。また、2024年の利益率は1.60%で、2021年(1.37%)を上回り、過去5年で最高となった。TSRは物価高に伴う商品価格の上昇が背景となって、業績改善に寄与したとの見解を示している。

一方で、大手と地場・中堅の格差が広がっている。スーパー全体の収益は改善したが、売上高1000億円超の大手スーパー(49社)と、1000億円未満の地場・中堅スーパー(676社、以下地場・中堅)の2024年の業績比較では、大手スーパーの増収率が前期比7.5%増に対し、地場・中堅は同3.6%増にとどまったという。

また、最終損益を売上高で除した利益率は「大手スーパー:1.7%」に対し「地場・中堅:1.3%」で、利益率も大手に及ばなかったことが明らかになった。なお、赤字企業率は「大手スーパー:8.1%(4社)」「地場・中堅:21.1%(143社)」で、地場・中堅が13.0ポイント高かった。

売上と利益について、前年業績との増減を比較した結果でも、大手と地場・中堅の格差が明らかになっている。大手スーパーは、最新期(2024年)の増収の構成比が91.8%(45社)に対し、地場・中堅は54.5%(369社)にとどまり、37.3ポイントの乖離があった。

出典元:スーパー業界、物価上昇で3年ぶり増収増益  大手と地場・中堅の格差広がる(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

物価上昇による価格転嫁で値上げ効果は大きく、大手企業はその恩恵を受けたと考えられる。その一方で、企業規模の違いで物価上昇への温度差もあるようだ。

TSRは大手が地場や中堅スーパーを手中にする形でのM&Aの活発化や、過当競争に耐えきれない小規模の地場スーパーの倒産が相次いでいる点に注目。スーパー経営会社にはスケールメリットや効率化を求める動きが今後ますます強まるとして、合従連衡や淘汰がさらに進むと予測しているようだ。