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退職代行利用が幅広い年代に拡大、3割超が業務への影響を実感 TSR調査

2025.06.23

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は6月2日~9日、インターネットで「退職代行」についてアンケート調査を実施。「退職代行」業者から退職手続きの連絡を受けた企業は7.2%で、大企業は15.7%にのぼる結果となったことを報告した。

調査概要

調査期間:2025年6月2日~9日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:6653社
出典元:「退職代行」による退職、大企業の15.7%が経験 利用年代は20代が約6割、50代以上も約1割(株式会社東京商工リサーチ)
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義。退職代行に関するアンケートは2回目。

「退職代行」業者を利用した従業員の退職 全企業で7.2%、大企業は15.7%

「退職代行」業者を利用した従業員の退職 全企業で7.2%、大企業は15.7%

TSRの報告によると「2024年1月以降、貴社では「退職代行」業者を利用した従業員の退職がありましたか?」との質問に「正社員・非正規社員であった(1.0%)」「正社員のみであった(5.3%)」「非正規社員のみであった(0.8%)」との回答を合わせて「退職代行を活用した従業員の退職があった」企業が7.2%になったという。

規模別の分析では「大企業:15.7%(489社中、77社)」に対し「中小企業:6.5%(6164社中、404社)」と、2倍以上の開きがみられている。TSRは大企業で退職代行が増えたことについて 「母数が多いほか、福利厚生や退職手続きが整備されており、退職による影響が小さく、退職代行でもしがらみなく退職できる心理などが働いている」と推察している。

業種別、年代別の分析結果

業種別、年代別の分析結果

退職代行を利用した従業員の退職があったと回答した企業の業種別分析(母数10社以上)では、百貨店などを含む「各種商品小売業:30.0%(10社中、3社)」が最多となったことが報告されている。次いで、美容・理容業、クリーニング業などを含む「洗濯・理容・美容・浴場業:20.8%(24社中、5社)」が続いたという。

また、退職代行を利用した従業員の年代は、全企業で「20代:60.8%(452社中、275社)」が最も多く、以下「30代:26.9%(122社)」「40代:11.0%(50社)」「50代:6.4%(29社)」「10代:5.0%(23社)」「60代以上:2.8%(13社)」と続いている。「20代」と「30代」の利用が圧倒的に多いものの、幅広い年代に利用が広がっていることが明らかになった。

退職代行利用で3割超が業務に影響あり

退職代行利用で3割超が業務に影響あり

次にTSRは、退職代行を利用した従業員の退職による業務への影響について調査。全企業で「退職者の業務をカバーするため、従業員の残業が発生した:31.1%(376社中、117社)」との回答が最も多く、次いで「退職代行を活用した理由について検証した:30.3%(114社)」「引き継ぎが円滑にできず、商品・サービスの提供に影響がでた:23.4%(88社)」「退職代行を活用しない退職手続きより時間がかかった:21.8%(82社)」などの声が寄せられている。

「従業員の士気が低下した:14.0%(53社)」「パソコンや携帯電話など会社貸与機器の回収に時間がかかった:13.5%(51社)」「退職した従業員の上司・管理職へのフィードバック・研修を実施した:6.3%(24社)」といった声もあり、多岐にわたる影響が発生している様子がうかがえる。

また、その後の採用に影響を与えたか尋ねる項目では「影響はない:74.0%(431社中、319社)」が最多となったものの「応募者の転職回数や職歴をより厳格に見極めるようになった:20.8%(90社)」「応募者のリファレンスチェックをするようになった(より厳格化した):10.2%(44社)」「適性検査(SPIなど)で退職代行を活用した退職者と同じ傾向の応募者の採用を厳格化した:5.8%(25社)」といった声も一定数寄せられたようだ。

まとめ

退職代行の利用が広がる一方で、企業でも応募者の転職回数や職歴、リファレンスチェック(過去の職務情報の確認)など、対策をとる動きがみられている。採用時の条件がより厳しくなれば、安易な利用がキャリア形成に悪影響を及ぼす可能性も出てくるだろう。

社員の退職代行利用によって業務への影響を感じている企業も3割を超えており、企業側が今後ますますの対策を講じていく可能性は十分にある。TSRは退職代行サービスについて「一度立ち止まり将来設計を再確認するフェーズに入ってきたのかもしれない」と提言した。