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【帳票DXDAY】バックオフィスDXを実現する総務担当者のためのセミナー開催レポート

2022.06.06
オフィスのミカタ編集部【PR】

ウイングアーク1stでは、2021年7月9日と2022年1月26日の2回に渡り、オンラインイベント「帳票DXDAY」を開催した。「バックオフィスDX」をテーマに、有識者による社会的潮流の解説をはじめ、業務改善に取り組む企業の事例紹介、DXを後押しするサービスの紹介などが行われた。ここでは、バックオフィスDXを進めたい総務担当者向けに、セミナーの概要をお伝えする。

DAY1 2021年7月9日 帳票の電子化はバックオフィスDXの第一歩

スペシャルセッション
国税庁OBが解説!電帳法対応のポイントと、紙書類のデジタル化から始めるバックオフィスDXのススメ

SKJ総合税理士事務所 所長・税理士 袖山喜久造氏
<プロフィール>
東京国税局、国税庁において長年大規模法人の法人税調査等に携わる。2012年税理士開業し同年SKJ総合税理士事務所開設。企業の電子化に関する法令対応コンサルティングを実施する。SKJコンサルティング合同会社業務執行社員、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)法務委員会アドバイザー・トラスト推進フォーラム(TSF)特別会員。

初日のスペシャルセッションでは、国税庁で電子帳簿保存法を担当した、SKJ総合税理士事務所の袖山喜久造氏が登壇。「電子帳簿保存法と関連書類のデジタル化から始めるバックオフィスDX」について語った。

2021年度の電子帳簿保存法改正により、税法関連書類の電子保存がこれまで以上に簡単になった。こうしたなか、書類のデジタル化には、最終的な保存方法から検討することを、袖山氏は推奨する。

今回の法改正により、電子取引で交わされた書類は、紙に出力し保存という方法ができなくなり、必ずデータでの保管が求められる。一方、紙面で交わされた書類については、従来どおり紙面もしくはスキャナ保存が可能だ。しかし紙面で保存すると、データと紙の二元管理となり、書類の検索性や閲覧性が劣ってしまう。そこで書類は、可能な限りデータで保存し、一元管理することを推奨している。

さらに2023年10月から消費税のインボイス制度が導入されるが、これによる社内の事務処理負担の増加が予想される。そのため、インボイス制度の導入までに、社内外で電子取引・保存について仕組みの検討、導入が求められる。


事例セッション
帳票の電子化はバックオフィスDXの第一歩 伊藤忠商事 帳票Web配信プロジェクト

伊藤忠商事株式会社 IT・デジタル戦略部 全社システム室 六畑聡太氏、鈴木亨氏
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 流通第1本部 商社システム営業第2部付 工藤啓之氏
ウイングアーク1st株式会社 Business Document事業部 BDコンサルティングサービス部 東日本第2G GMG 樽井亮太郎氏

1858年創業の伊藤忠商事は、現在は世界60カ国、約90の拠点を持つ総合商社として、繊維から、機械、住生活、金融などさまざまな分野で、幅広いビジネスを展開。

そんな同社では、2019年から次世代基幹システム構築プロジェクトを推進している。これまで、紙と電子とで分かれていた帳票基盤を文書管理プラットフォーム「SPA」を利用することで統合した。他にも「SPA」「SVF」などウイングアーク1stの帳票製品を多数採用し、ユーザーの業務改善や高度化を推進した。

帳票基盤の刷新では、アドオンやカスタマイズを極力排除し、保守性を向上させた上で運用負担を軽減している。また単なるシステムの基盤刷新にとどまらない、さまざまな業務改善も図った。なかでも「帳票ウェブ配信プロジェクト」では、請求書を含めた対外帳票をウイングアーク1stの製品を利用し、取引先へ電子配信することを実現した。

本セッションでは、プロジェクトに携わった4名が座談形式でプロジェクトを振り返った。


ソリューションセッション
企業間のDXを実現するinovoiceAgent 新たな電子取引プラットフォームの可能性を初公開

ウイングアーク1st Business Document事業部 副事業部長 名護屋豊氏

ウイングアーク1stから、商取引プラットフォーム「invoiceAgent」がリリースされた。請求書をはじめ、企業間のあらゆる取引文書を配信・受領・管理し、電子帳簿保存法対応まで実現する「invoiceAgent TransPrint」をコアに、電子契約など新たな機能を実装することにより最先端の企業間DXを実現する。

これまで、各企業内でDXが進められきた一方で、企業間における課題が浮上してきた。業務の効率化を実現するため、企業間でのDXが求められるという。

「invoiceAgent」では、電子取引や電子契約、電子伝票などのサービスを提供。契約書をはじめ、見積書、請求書、領収書などを電子化することができる。また「TransPrint」は、Web配信を実現するクラウドサービスだ。発行業務を自動化でき、帳票の一元管理とデータ流通が可能となる。さらに先日リリース された「WingSign」では、電子契約や電子印鑑、電子保管といったサービスが提供される。これらのシステムの導入により、煩雑だった企業間における帳票管理のDXを進めることができる。

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DAY2 2022.01.26 電帳法対応から広がるバックオフィスDX

スペシャルセッション
つながる時代の経理DX アジャイルで挑む改正電子帳簿保存法対応

株式会社We will 代表取締役 税理士 杉浦直樹氏
<プロフィール>
1975年生まれ、浜松市出身。We will accounting associates株式会社 代表取締役。大学卒業後日本オラクルにて会計ERPパッケージの13社同時展開プロジェクト等、多くのプロジェクトに携わる。同社退社後、米国ベンチャー企業を経て市内税理士事務所へ入所。
その後、仲間とともに税理士法人We will、We will accounting associates株式会社を設立し、中小中堅企業の業務DXに携わる。オープンイノベーション施設であるThe Garage for startups 主宰。デジタルワークシフトコンソーシアム浜松共同代表。

2日目のスペシャルセッションでは、経理システムの構築に携わり、バックオフィス業務に詳しい、税理士の杉浦直樹氏が、電子帳簿保存法改正への対応に求められる経理部門の姿勢について語った。

2021年度の電子帳簿保存法の改正により、「紙との決別という意思」が明確になった、と杉浦氏は語る。この改正に対しては、カード決済やPDF請求書受領などを駆使し、可能な限り電子取引データに移行したうえで、残った紙面についてのみスキャナ保存することを推奨している。

続いて、今後経理事務に加わる新たな要素として、インボイス制度とPeppolの導入について解説した。2023年10月からインボイス制度が導入される。これにより、データ量が増加、経理事務の作業量も大幅に増加することが予想される。また電子化したインボイスについては「Peppol」に準拠して、策定することが発表された。「Peppol」は受発注や請求に関わる電子文書をネットワーク上でやり取りするための国際規格で、電子インボイス推進協議会を中心に、実現に向けた準備が進められている。

こうした来たるべき未来の先に、取引情報のすべてが社内外とつながるという未来が到来する、と杉浦氏は指摘する。これにより経理には、経営判断に必要な事実情報の適正さを保証し続け、社内外のつながりを設計するとともに、変化への素早い対応が求められる。

また経理事務に関わるDXについては、インボイス制度の導入までの2年間を1つのプロジェクトとして捉え、機敏で柔軟に適応し続ける、いわゆる「アジャイル」な対応が必要だ。企業のDXを推進する突破口は経理にあり、経理が変わることで会社全体の流れを変えることができる、と杉浦氏は締めくくった。


事例セッション
電帳法対応で月7,000枚の請求書を電子化 物流業界の根深い紙文化からの脱却

株式会社ロジクエスト 執行役員 社長室室長 後平佐保子氏
<プロフィール>
2013年、慶應義塾大学経済学部卒業。翌年、HEC Paris 経営大学院修士課程を修了の後、フランス現地の戦略コンサルティングファームに初の日本人社員として入社。主にDueDilligenceと組織改編の案件に従事。その後、アジア各国にて電動車両の製造から販売までを手がけるテラモーターズに参画、電動バイク事業を担当する。ベトナム法人責任者、ネパール法人責任者を歴任後、2018年より株式会社ロジクエストに入社。配送現場から社内および顧客への運用まで、新たな視点からIT導入を進め包括的なDX化に取り組む。

物流企業であるロジクエストでは、国際便と国内便を展開。なかでも国内便では、車、バイクに加え、自転車やハンドキャリーといった4つの配送手段を持っていることで、あらゆる配送ニーズに対応している。物流業界では、紙面での情報のやり取りが常態化しており、ロジクエストでは、これまで全国5,500名のドライバーから毎月7,000枚の月報が送られるほか、請求書が3,000枚と、社内は紙で溢れていた。

こうした状況で、書類の保管や検索性に課題を感じ、電子帳簿保存法に対応する形でデジタル化を進めた。社内を横断できる社長室が中心となりプロジェクトを進行。検討から半年あまりで、デジタル化の運用にまで漕ぎつけた。開始から3ヶ月で28,000件をデータ化し、SPACloudでデータ保管する運用となった。またこれまで手書きだった日報も、最終的にはアプリでの入力に移行し、紙面の発生も抑制している。

後平氏は、「運送会社でありながら、知識ゼロの状態からコンスタントな運用にまで漕ぎつけた。紙に悩んでいる会社さんも多くいらっしゃると思うが、実際に取り組むとそれほど難しくないので、ぜひDXに挑んでほしい」と語った。


ソリューションセッション
ニューノーマルな文章活用のあり方 SPAではじめるシンプルなDXと電帳法対応

ウイングアーク1st Customer Success部 上級文書情報管理士 小野優貴氏
<プロフィール>
愛知県名古屋市生まれ、在住。IT業界でネットワークエンジニア、システムエンジニア、セールスエンジニアを経て2015年にウイングアーク1st株式会社へ入社。
会計、生産、設計、セキュリティなどに関するシステム開発・提案の経験を活かし、現職では様々な分野における帳票や文書管理の課題解決を支援している。上級文書情報管理士、文書情報マネージャー。

2021年度の改正電子帳簿保存法では、宥恕措置として、電子取引データを電子保存できない、やむを得ない事情がある場合に限り、2023年までは書面に出力しての保存を認めるとしている。裏を返せば、2023年までには、完全に電子保存できる仕組みを整えておく必要があるということだ。

経理業務のDXという点では、まず電子取引への対応を進める。次に、書類のデジタル化へと範囲を広める。そしてインボイス制度の開始に合わせて、電子インボイスを導入する、という3段階での対応が求められる。

今回、イベントを主催したウイングアーク1stでは、帳票クラウドサービス「SVF Cloud」や文書ソリューション「SPA」、企業間流通を支える「invoiceAgent」と、帳票・文書管理に関わる、さまざまなソリューションを提供している。

「SPA」および「SPACloud」は、電子帳簿保存法やAI OCR、文書管理などに対応するソフトウェアだ。電子取引の電子保存から導入をはじめ、スキャナ保存、書類へと拡張することが可能となっている。また「invoiceAgent」は、今後始まるインボイス制度などを見据えたシステムで、帳票のWeb配信が可能となる。また電子取引については、保存だけでなく、授受にも対応する。

今回のアーカイブ動画については、同社サイトで閲覧することができる。改正電子帳簿保存法は今年1月から施行された。今回のイベントを参考に、自社の経理システムのデジタル化に向けて、検討してみてほしい。

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