2023年8月の景気動向 同業界でも規模で二極化する傾向に

株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2023年8月18日から8月31日までの景気動向調査を行い、その結果を公表した。ここでは、規模別の景気動向に絞って紹介する。
2023年8月の景気DIは前月比0.3ポイント減の44.9
TDBが調査した資料によると、2023年8月の景気DIは2カ月ぶりに悪化したという。要因としてガソリンを含むエネルギー価格上昇や台風による人流・物流の停滞が考えられるようだ。

規模別で見ると下記の通り、大企業と中小企業では2カ月ぶりの悪化に対し小規模企業では3カ月ぶりに回復した。また業種間や企業間で二極化する傾向がみられている。
■大企業全体:前月比0.6ポイント減。2カ月ぶりに悪化
・「不動産」は、土地や物件価格の高騰やテナントの賃料負担能力が回復途上
・自動車の生産安定化や好調な海外需要はプラス材料に
■中小企業全体:同0.3ポイント減。2カ月ぶりに悪化
・「サービス」は人材派遣・紹介や警備・メンテナンスなど10業種が下落
・「不動産」は金融機関の住宅向け融資が積極的だったことにより上向きに
■小規模企業全体:同0.1ポイント増。3カ月ぶりに改善
・飲食店や宿泊業が台風の影響で大きく落ち込む
・建設資材の高騰や人手不足の深刻化
・製造業のほか、秋の国内旅行の予約が好調に推移
今後はおおむね横ばい傾向で推移か
今後の景気DIについて、TDBの資料では「今後の国内景気は、好材料と悪材料が混在するなかで、おおむね横ばい傾向で推移するとみられる」と記載されている。

好材料は、物価上昇に伴う賃上げの広がりやインバウンドの拡大。特に中国では政府が8月10日から日本への団体旅行解禁を発表している。また10月の大型連休「国慶節」に向けて期待が高まるだろう。他にも経済、社会システムが再構築されていくなかで、DXや脱炭素化の推進、自動化・省力化投資の拡大が見込まれるという。
バックオフィスの方々にとっては、インボイス制度や電子帳簿保存法がDX化と聞くと思い浮かぶ話題の一つだろう。また、脱炭素化の推進をはじめとするカーボンニュートラルを目標にした仕事内容や業務内容に準ずるGX(グリーントランスフォーメーション)人材の確保は急務となっている(※)。
悪材料としては、物価上昇に対する消費量の低下や人手不足や中国経済の減速、地政学的リスクが考えられる。企業が原材料価格の高騰などの上昇分を価格にどれだけ上乗せできているかを示す、価格転嫁率は全体で43.6%だが『運輸・倉庫』は2割程度にとどまり依然厳しい状況だ。
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調査概要
調査対象:2万7667社
有効回答企業:1万1571社
調査時期:2023年8月18日~8月31日
調査方法:インターネット調査