「業績予想非開示」企業65社に、化学業界への影響顕著 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2027年3月期の業績予想を非開示とした上場企業に関する調査結果を発表した。非開示企業は65社と前年から75.6%増加し、トランプ関税の影響が注目された前年を大きく上回った。
背景には、中東情勢の悪化による原材料調達やエネルギー価格への懸念がある。企業経営を取り巻く不確実性が高まるなか、企業には資金計画やコスト管理の見直し、リスクシナリオを踏まえた経営支援が求められている。
調査概要
集計方法:自社開示、金融庁・東証などの公表資料に基づき、2027年3月期業績予想を非開示とした企業を集計
集計対象:5月末までに2026年3月期決算を公表した企業(決算発表を6月以降に延期した企業は集計対象外)
※売上高、営業利益、純利益など1つの項目でも予想を開示した企業は除外
※上場廃止予定を理由に非開示とした企業、TOKYO PRO Marketだけの上場企業、不動産投資法人(REIT)は除外
※証券業種「証券、商品先物取引業」の企業は、外部環境に関係なく毎年ほぼ全ての企業が業績予想非開示のため、除外
※本調査は、今回が初めての実施。過去のデータも今回の調査の一環で収集した。発表時点で上場している企業が対象
出典元:2027年3月期「期初予想非開示」65社 ナフサなどの調達不安から、最多は「化学」(株式会社東京商工リサーチ)
業績予想「非開示」企業、65社に増加
TSRの報告によると、2027年3月期の業績予想を非開示とした上場企業は65社となり、前年の37社から75.6%と大幅に増加。非開示理由として最も多かったのは「中東情勢の影響(40社)」で、そのほか具体的な内容を示さず「未確定な要素が多い」と先行きの不透明感を挙げた企業もみられている。
証券業種別では「化学(17社)」が最多となり、非開示企業全体の4分の1超を占めた。対象企業はすべて中東情勢を理由の1つとしており、具体的にナフサ由来原料の調達不安や原料価格高騰への懸念を挙げている企業もあった。
また、電力会社を中心とする「電気・ガス業」や「卸売業」でも非開示企業が増加した。エネルギーや原材料価格の変動は製造部門だけでなく、調達や物流、販売価格にも影響を及ぼす。企業にはサプライチェーン全体を見据えた「コスト管理」が求められるだろう。
まとめ
中東情勢の緊迫化は、原材料やエネルギーの調達コストを通じて企業経営に広範な影響を及ぼしている。特に化学業界では、生産に不可欠なナフサ由来原料の確保や価格変動への懸念から、業績予想を開示できない企業が急増した。
先行きが読みづらい状況では、予算や利益計画は複数のシナリオを想定した経営管理が重要となる。経理・財務部門では資金繰りやコスト動向のモニタリングを強化し、総務部門では事業継続計画(BCP)の見直しや調達リスクへの備えを進める必要がより高まっている、といえるだろう。














