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ボーナスとは?種類や支給時期、ボーナスにかかる税金・社会保険などを解説!

2022.09.01
オフィスのミカタ編集部

ボーナスとは、固定給が支払われている従業員に対し、給与とは別に支給する報酬の事を指す。ボーナスの支給時期や支払い回数は企業によって異なるが、一般的には夏と冬の2回支給している企業が多い。ボーナスは支給対象者や支給回数などが複雑なため、手続きに迷う担当者もいるのではないだろうか。本記事では、ボーナスの概要や一般的な支給方法、支給時期を解説するので、参考にしてほしい。

目次

●ボーナスとは?
●ボーナスの種類
●ボーナス支給額の決め方
●ボーナスを支給する際の注意点
●ボーナスにかかる税金・社会保険料
●まとめ

ボーナスとは?

ボーナスとは、毎月の給与とは別に支給する報酬のことで「賞与」や「特別手当」などと呼ばれることもある。ここでは賞与の概要をみていこう。

ボーナスの概要
ボーナスは、固定給の支払いをしている従業員に対し、毎月の給与以外に支給する報酬を指す。ボーナスは労働の対価としてひと月に一度以上支払いが義務付けられている「給与」とは違い、法的な支払い義務はない。ただし、ボーナスを支給する場合には社内規程に明記する必要があることを覚えておきたい。

ボーナスと賞与は違う?
また、ボーナスは「賞与」とも呼ばれる。国税庁の定義によると、「賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏季手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの」だとしている。賞与の定義内に「ボーナス」と明記されていることから、ボーナスと賞与は同義として扱って問題ないと言えるだろう。

参考:国税庁『No.2523 賞与に対する源泉徴収』

ボーナスの平均額は?
厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査によると、2022年の冬季賞与の平均額は380,787円で(2021年11月~2022年1月の間に賞与として支給された給与を特別集計したもの)、前年から0.1%増加した。主な産業別にみると、「製造業」で3.4%増、「卸売業・小売業」で3.6%増、「医療・福祉」で0.3%減だった。

参考:厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果速報等』

ボーナスの支給回数および支払い時期
ボーナスは一般的に下記のような支給日や支払い時期が多いとされる。

・夏と冬の年2回支給
・1年の間で期間を定め3回以上支給
・年度末に1回支給

ボーナスは企業が独自に支給時期や回数などのルールを決めることが可能なため、支給時期などは企業によりばらつきがあることが特徴だ。

ボーナスの種類

ボーナスの種類は主に下記の3つが挙げられる。

基本給連動型ボーナス
基本給連動型ボーナスは、多くの企業で採用されている方法で、基本給に連動して支給されるものだ。基本給連動型賞与は一般的に「基本給の〇ヵ月分」と言われることが多い。ここで言う「基本給」とは、毎月の給与の総額ではなく、総額から「残業手当」や「役職手当」などを除いた給与額となる。

業績連動型ボーナス
業績連動型ボーナスは成果主義型のボーナスだ。業績連動型ボーナスは個人や部門の業績や、組織の業績に連動し支給額が変動する性質がある。日本経済団体連合会が示すデータによると、業績連動型ボーナスを取り入れる企業は年々増加している傾向にあり、2016年から6年連続で5割を超えているという。計算方法は企業によっても異なるが、まずは「賞与原資」を決める企業が多いとされている。「賞与原資」とは賞与に配分できる原資の指標となるもので、以下のようなものを指標とすることが一般的だ。

・営業利益もしくは経常利益の〇%
・限界利益、売上総利益(粗利)の〇%
・売上高の〇%
・経営者が事前に決めた予算(経費のうちの〇%)など

「賞与原資」の総額が決まったところで、従業員個人へ配分していく。この際、従業員個人の評価方法を決定し、会社への貢献度を示す明確な指標を決めることが重要だ。また、個人の評価だけでなく、企業として目指す目標などを設定し、その目標を達成すれば賞与原資に加算する方法もある。

参考:「2021年夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」を発表 (2022年6月2日 No.3546) | 週刊 経団連タイムス

決算ボーナス
決算ボーナスとは、決算月の前後に会社の業績に応じて支給されるボーナスだ。通常の夏・冬などのボーナスに加え、決算ボーナスを支給する企業もあるが、決算ボーナスのみという企業もある。決算ボーナスは通常のボーナスに比べて決算と連動したものであることから、社員のモチベーション向上に役立つとされている。また、経営側にとっては、決算前にボーナスを支給することで、法人税を節税できるというメリットもある。ただし、業績が悪化した場合、決算ボーナスを支給できないケースもあり、逆に従業員のモチベーションを低下させてしまうリスクもあることを覚えておきたい。

ボーナス支給額の決め方

ここでは、ボーナスの支給額の決め方はどのようなものがあるか、紹介していこう。

ボーナスの金額の決め方
ボーナスの金額は、基本給連動型を採用している場合には「給与の〇ヶ月分」という決め方をするのが一般的だ。また、ボーナスの支給基準となる基本給は、年齢・勤続年数・職種・スキルなどを考慮し決められるケースが多いようだ。基本給連動型の場合は、下記のように計算する。

毎月の給与が20万円で「基本給2ヵ月分」のボーナスの支給を行う場合

【基本給が20万円の場合】 20万円×2ヵ月=40万円

【基本給18万円+手当2万円の場合】 18万円×2ヵ月=36万円

企業規模によるボーナスの決め方
ボーナスの決め方は企業規模によっても異なる。中小企業では、その部署の責任者が社員を評価・査定し、その上で経営者が最終決定を行うケースが多いとされる。一方で、大企業は客観的な計算式をあらかじめ決めているケースが多く、「基本給×〇ヵ月分×評価係数」などといった計算式を用いる企業もある。この際、評価係数には個人の成績を反映することが多いとされている。

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ボーナスを支給する際の注意点

ここからは、ボーナスを支給する際に知っておきたい注意点を解説する。

就業規則・労働協約・労働契約に明記
ボーナスを支給する場合には、「就業規則」「労働協約」「労働契約」のいずれかに明記する必要がある。支給額に関する条件は企業ごとに決定できるが、ボーナスを支給有無やボーナス金額の基準に関する法的な根拠となるため、ボーナスを支給する場合には必ず明記しなければならない。「就業規則」については、給与規定のように賃金の支払いに関する規程を別に設ける企業もある。

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パートやアルバイトには支給する?
パートやアルバイトなどの非正規社員に対しボーナスを支給する企業は少ないとされているが、企業によっては支給する場合もある。例えば、繁忙期や決算期などに、数千円から数万円程の「謝礼」として支払うケースだ。また、非正規社員をボーナス支給の対象としている企業では、「一定のスキルがあること」や「一定以上の勤務時間があること」など条件を設けている場合もある。非正規社員にボーナスを支給するケースでも、支給対象や支給条件は就業規則や賃金規定に盛り込む必要があるため注意が必要だ。

ボーナスにかかる税金・社会保険

ボーナスは会社から支給される報酬に含まれるため、毎月の給与と同様に税金や社会保険料の計算対象となる。ここでは、ボーナスにかかる税金および社会保険について解説する。

所得税
ボーナスから差し引く所得税は、次のように算出する。

1.前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額を算出する。

2.「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に「1」で求めた金額を当てはめ、ボーナスに乗ずべき税率を求める。

3.「1」の金額に「2」の税率を乗じ、税額を算出する。

前月の給与(社会保険料を差し引いた金額)の10倍を超えるボーナスを支払う場合や、前月に給与の支払いがない場合は計算方法が異なるため、詳しい計算方法は国税庁のHPを参考にしてほしい。

参考:国税庁『No.2523 賞与に対する源泉徴収』
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社会保険料
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保険料もボーナスからの控除が必要だ。ボーナスの場合は給与と違い、健康保険と厚生年金分の社会保険料の控除時期が異なるため特に注意が必要だ。具体的には、給与から控除する健康保険、厚生年金保険料は、保険料の発生した月の翌月の給与から控除するが、ボーナスは翌月控除でなく当月控除となる。

【健康保険・厚生年金保険料】
ボーナスにかかる健康保険・厚生年金保険料は賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額に保険料率を乗じて求められる。また、ボーナスを支払った後は、管轄の社会保険事務所などに「賞与支払届」を提出する必要がある。なお、年4回以上のボーナスを支給する場合は、給与とみなされ、標準報酬月額の対象に含まれることを覚えておきたい。詳しくは日本年金機構のHPを参考にしてほしい。

参考:日本年金機構『令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)』
参考:日本年金機構『従業員に賞与を支給したときの手続き』
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【雇用保険料】
雇用保険料は健康保険・厚生年金保険料とは違い、ボーナスの総額に保険料率を乗じて求める。雇用保険料の算出では、1,000円未満の端数を切り捨てしないので、混同しないよう注意する必要がある。

参考:厚生労働省『雇用保険料率について 』
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まとめ

ボーナスは通常の給与とは別に支給されるものだが、企業ごとにルールを定められるため、支給に際しては自社の規程などをしっかり確認する必要がある。税金や社会保険料の手続きも通常とことなる場合があるため、本記事を参考に理解を深めてほしい。